水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

愉快なユーモア短編集-62- 頭がいい人

2018年10月23日 00時00分00秒 | #小説

 頭がいい人は知識が豊富で物分りもよく、ズバ抜けて他の人より抜きん出た人である。とはいえ、頭がいい人が世の中をよく出来るのか? と問えば、必ずしもホニャララなのである。^^ むろん、頭がいいに越したことはなく、世間を愉快で明るく出来る最低限の条件なのだが、問題はそう出来る応用力が有(あ)りや無(な)しや? という問題に他ならない。分りやすい例を挙(あ)げれば、外国語の成績がいいからといって、必ずしもその生徒が頭がいい! とは言えないということだ。外国語で話された場合、理解して受け答え出来る人が成績が悪いとき、その人は頭が悪いのか? と問えば、実はそうではない。頭がいい可能性がある人なのである。可能性がある人とは、外国語が流暢(りゅうちょう)に話せるだけでは頭がいい人・・とは特定出来ないことを指す。逆のケースも当然、成立する。成績がいい生徒が外国語で話されたとき、 ? と押し黙ってしまう場合、成績は良くても頭がいいとは必ずしもホニャララなのである。^^ ということは、超有名大学を合格し、国家公務員のトップ試験を経(へ)て国や地方の頂点に立った超エリートが、いい国家経営や政治をなし得(う)るか? ということだ。その結果は自(おの)ずと明らかで、今の赤字国債の山に喘(あえ)ぐ我が国の経済状況をご覧になれば、自(おの)ずと愉快な気分でホニャララと笑っていただけることだろう。^^
 とある賑(にぎ)わいのある名店街である。二人のサラリーマン風の若者が歩いている。どうも、昼食に来たようだ。
「あの店がいいんですよっ!」
 後輩風が断言する。
「そうかなぁ~? あの店よりそっちの方がいいんじゃないっ?」
 先輩風が異論(いろん)を唱(とな)えた。
「そっちですかぁ~?」
 不満げに後輩風が返す。
「ああ、そっち! 俺の計算だと美味(うま)いし安いし内容も多いっ!」
「それなら、あの店の方も変わりませんよっ!」
 後輩風は意固地(いこじ)になった。
「甘い、甘いっ! 君は甘いぞっ!」
「なぜですっ? よく分りませんっ!」
 二人は人通りの激しい往来(おうらい)を避(よ)け、立ち止まった。
「君は頭がいいが、先が読めないっ! 確かにどちらも美味いし安い。内容だって多いっ! しかしだっ! 出来るまでの速さが違うっ! そっちだと、これから10分だが、あちらの店は優(ゆう)に30分はかかる。そうなれば、どうなるっ?」
「どうもなりません…」
「頭がいい君が何を言ってるっ! 次のプレゼンの準備があるだろっ! 20分の差は大きいぞっ!!」
「あっ!!」
「何が何でも他社には負けられんだろっ!! ははは…まあ、そういうことだっ!」
 愉快な気分で先輩風が言う。二人はその後、そっちの店へと入っていった。
 頭のいい人は応用が利(き)き、さらに加えて、先読みに長(た)けているのである。^^

                                 

 ※ 超有名大学やエリートの方々を僻(ひが)み根性(こんじょう)で愚弄(ぐろう)するつもりは毛頭(もうとう)ありませんので、その点だけは誤解なきよう、お含み置き下さい。^^


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