水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

それでもユーモア短編集 (89)バックアップ

2019年06月07日 00時00分00秒 | #小説

 最近の情報技術[information technology=インフォーメーション テクノロジー=IT]産業は進化の一途(いっと)を辿(たど)り続けている。このまま進化すれば、どうなるのか? 果たして人類は技術に付(つ)いていけるのか? などと、偉(えら)そうに考えてはいるが、必要最低限のことを除(のぞ)いて、ほとんど私は分からない。^^ まあ、目に見えない世界は怖(こわ)い・・ということだけは言えるだろう。なにせ見えないのだから、逮捕も修理も分かるホニャララ以外は出来ないからだ。当然、私も出来ないのだが、それでも使う必要に迫(せま)られる時代なのだから困ったものだ。^^
 秋月は日長(ひなが)一日、飽(あ)きもせずPC[personal computer=パソコン]に向っていた。なにも向わなくてもいいじゃないかっ! と思う人もあるだろうが、そこはそれ、やりかけたPC作業が思うに任(まか)せず、意固地(いこじ)になった・・という秋月の性格上の問題もある。^^ 秋月は何をやっていたのか? といえば、それはPCのバックアップ[back up=不時の事故・危険に備える支援体制=後ろだて]だった。ところが、いいところまでいくと、どうのこうの[どうたらこうたら]と指示が出て、ディスク[DVD、フラッシュ・メモリーなどのデータ{資料}を収納するメモリー{記憶媒体}]を入れたり出したりする繰り返しとなったからだ。
「ええいっ! 簡単にしろっ!!」
 秋月は、ついにブツクサとPCに向って怒(いか)りの言葉を発していた。とはいえ、相手は物だけに、返答する訳がない。^^ 秋月は次第に疲れてきた。それに腹も減ってきた。まっ! 別の機会でもいいか…と、秋月はついに思い腰を上げ、バックアップした。
 このように、バックアップは、それでも! と意固地になってやるものではない・・ということになる。^^

                                  


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