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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (87)面白くない!

2021年08月15日 00時00分00秒 | #小説

 笑わせたつもりが周(まわ)りの人々の受けが悪く、全然、笑ってくれない・・そんなことは、ありませんか?^^ 親父ギャグやダジャレの類(たぐ)いで見られる場合が多い。少しも面白くない! 訳である。^^ 辺(あた)りの雰囲気が甘(あま)めだと面白くなくても笑ってもらえるのだが、辛(から)めでピリピリ! していれば、面白くても辺りの雰囲気を凍らせるほど冷(さ)めさせてしまうのだから面白い。^^
 とある会社のとある課の一コマである。連休明けということもあり、社員達はダラけにダラけている。課長の月並(つきなみ)が一声(ひとこえ)、喝(かつ)を入れようとするのだが、全体がダラけた雰囲気は一喝(いっかつ)出来そうになく、大きな溜め息を一つ吐(つ)くと諦(あきら)めてしまった。そのとき、課のお調子者で通っている狸穴(まみあな)が口を開いた。何を言っているのか? 課長席の月並には分からなかったが、課内は狸穴の話でドッ! と笑声に沸いた。月並にすれば、何がそんなに面白いんだ? という気分である。課内全員が笑っているのだから、一人だけ笑わない訳にもいかない。月並は仕方なく課内に馴染(なじ)もうと作り笑いをし、一声、発した。
「ははは…。それは面白いっ!!」
 つい大声を出したのがいけなかった。辺りは俄(にわ)かにシィ~~ンとしてしまったのである。狸穴の話は連休中の失敗話だったのである。少しも面白くない! 話だったのだ。
 皆さんも面白い! か、面白くない! か、甘くなく辛く確認しましょう! 信号の左右をよく確認して横断するように。^^


                   完


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