「たった今、五体のミイラ合同捜査本部の分化本部として、新たに霊安室・ミイラ消滅捜査本部が設置されたところですっ!」
手羽崎管理官の声は興奮で少し上擦っていた。^^
「なんか、ややこしいことになってきましたね、口さん…」
鴫田が口橋を窺(うかが)うように呟いた。
「ああ…。管理官、どこかへ署の者が移動した・・なんてことはないんでしょうね?」
「ははは…口さん、治安を旨とする日本の警察署内で、ですよ」
「そんな訳ないか、ははは…。待てよっ! 治安といえば公安がありますよね」
「しかし、公安といえど署長の許諾無しに移動は出来んでしょ…」
「ああ、それはまあ…」
口橋は頷いたが、ふと過去の苦い一件が脳裏を掠めた。そのときも刑事警察と公安警察の捜査方針の行き違いによるトラブルがあったのである。そのとき、若い鳩村署長が入ってきた。相変わらず口をモグモグと動かしている。手には必ずコンビニで買った豆ならず煎餅の袋を手にしていた。^^
「手羽崎さん、何かあったのですか?」
「ああ、署長。探しておったのです…」
「ちょっと、小腹が空いたもので、いつもの煎餅を…」
鳩村は、よく行くコンビニで買ってきたとは言わず、暗に暈した。だが、手羽崎との間にはツーカーのような暗黙の了解があり、話がよく通じた。^^