水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

ユーモア推理サスペンス小説 無い地点 <36>

2024年07月24日 00時00分00秒 | #小説

「ははは…若い人は、まあ、いろいろありますからね…」
 何がいろいろあるのか? 口橋や鴫田には分からない。鳩村に乗り移った[憑依した]Й3番星から来た異星人にとって、地球上には、いろいろと珍しい事象があった訳である。鴫田の空腹状態も、実はその一つなのだ。^^
「さて、一度、署へ戻りますか…」
「そうして下さい。署内では署長が消えた消えたで、偉い騒ぎになってますから…」、先に連絡して下さい」
「分かりました…。ははは…それじゃ、署へ帰還しますかっ!」
「はいっ! 取り敢えず、合同捜査本部を一度、開きませんと…」
「そうですね‥‥」
「僕のパスタは?」
「馬鹿野郎っ! そんなもの、いつでも食えるだろうがっ!」
「ですよね…」
 鴫田はオーダーを立って待つウエイトレスに片手を振ってキャンセルした。
 署長を乗せた覆面パトは一路、麹町署を目指した。
 同時刻の麹町署である。
「今、口さんから連絡が…。署長が見つかったようです」
 署内から消え去り、繁華街で見つかったというマジックのイリュージョンを絵にかいたような通報に麹町署は沸き返っていた。


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