水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -16- 番組

2024年12月07日 00時00分00秒 | #小説

 最近、地上波ではゆったりと中高年が楽しめる番組が減ったように思える。どことなく番組がガサツになり、食べるか事件か旅か…のような番組があとを絶たないのである。そこへいくと、名匠、イ・ビョンフン監督の韓国ドラマは次回が楽しみ楽しみ…という気分を持たせてくれる。^^
 村吉はテレビを観ていた。メジャーな韓国ドラマである。王朝の宮廷女官の物語なのだが、画面を見なければ字幕[スーバー]が見えないから、何を言っているのか皆目、分からない。少し目を離せば、ドラマの脈絡が途絶えてサッパリとなるのだった。
「$%%#&??? $'$#…」
「…&"#%%!」
 そのとき村吉は、インスタントラーメンの麺を湯がいていて視線をテレビから逸らしていた。その場面が今回、この番組のクライマックスだというのに…。それは、王様[チョ~ナ~]と主人公の女官との劇的な再会場面だった。
「いい番組だが、ラーメンも食えんな…」
 これが根番組を観終えた村吉の感想である。いい番組は、食べる時間を失うのである。
 村吉さん、好きな番組は録画して、ゆっくりあとで食べながら観て下さい。^^

                   完


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