最近の世相には忙(せわ)しい時の流れがあるように思える。昭和三十年代前半の頃までは、ほとんど通らなかった自動車が、当たり前のように激しく横行する今の世相になり、余計にそう思えるのかも知れない。
館花(たちばな)の家の前の道も車が激しく横行するようになっていた。館花が子供の頃は、一日に数台の自転車が行き来するくらいで、ほとんどの人が歩いていたのである。その頃を思うにつけ、館花は家の前を掃きながら溜め息に暮れるのだった。
『車が働いているのか、人が働いているのかが分からん…』
館花は訳の分からない愚痴を思いながら、家の前のゴミを掃くのだった。ダンプカーが落としていった小さな砕石を必死に掃き集めながら、ゴミを落とすな、ゴミをっ!! と心で愚痴りながら…。^^
あなた一人の力で世相の変化を止めることは出来ません、館花さん。コツコツと身の回りだけを掃き清められれば、それでよしっ! としましょう。^^
完