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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -14- センター

2024年12月05日 00時00分00秒 | #小説

 アイドル・グループでは、センターを取るか取らないか、の競争が厳しいようだ。^^ グループのセンターを取れば、これはもう、言うまでもなくカメラでアップされる機会が増すのは必定で、世間の注目を浴びるチャンスも増えることになる。が、しかしである。現在の世相を見れば、必ずしもセンターがイケメンや美人ということでもないようだ[センターの方々、失礼っ!^^]。他のメンバーにも結構、イケメンや美人はいる・・ということになる。要するに、観る側にいる若い視聴者の好み次第ということに他ならない。
 とある普通家庭の飛岡家である。次男の今年、中学生になった拓也は勉強部屋のテレビに映し出されたアイドル・グループの一人に見惚れていた。だが、センターがカメラアップで映し出されると、自分の好みではなかったから、ムカついた。好きなメンバーが全然、映らないからだった。
『邪魔なんだよっ! ドケドケッ!』
 拓也がいくらムカついても、カメラはセンターのアイドルをアップし続けた。拓也はついに切れ、リモコンを押してテレビをオフった。拓也が好きだったのはセンターの真っ後ろにいたメンバーだったのである。切ったテレビのリモコンを置くと、拓也はため息を一つ吐いた。
「アァ~~アッ!!」
 このとき、拓也は厳しい世相の一面を垣間見た気がした。
 拓也君、そんなことで世相が厳しいと思うのは甘いよっ!^^ 世相の厳しさを知るのは社会人になってからです。今はオッカケに徹しなさい。^^ ただし、受験に支障が出ない程度に…。^^

                   完


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