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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -17- レジ

2024年12月08日 00時00分00秒 | #小説

 最近のレジは便利になり過ぎて、ややこしい。^^ まあこれも、機械化しつつある世相の変化と割り切れれば何の問題もないのだが、機械に馴れていない人からすれば大迷惑な話なのである。私の場合はどうか? と問われれば、幸いにも職場で機械に馴染む機会があったから、そう戸惑うということもないのだが…。
 狩尾はいつものようにスーパーへ買物に出た。そして、これまたいつものように食材を買い物篭の中へ収納し、レジへと進んだ。ところが、である。レジのレイアウトが一変していたのである。自動支払い認識システムが導入され、レジ機械も支払方法が多様化されていたのである。狩尾もカードを持つには持っていたが、電子マネーでの支払いには、なぜかトラウマがあったのである。そのトラウマは、経済学部出身の狩尾にとって致命的な拘(こだわ)りで、G-W-G’は見える形態でなければならないというものだった。電子マネーは見えずに流動する貨幣であることは誰もが周知するところである。それが狩尾は許せなかったのである。許せば便利に生きられるのだが
、狩尾には到底、無理な注文だった。こうして、狩尾は今、買物の日々を苦しい思いで暮らしているのである。
 狩尾さん、そう深刻になられず、世相の進むまま、流されて生きれば楽ですよっ!^^

                   完


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