落久保がテレビのリモコンを押すと、報道番組が映っていた。番組のキャスターがゲスト数人の指揮者を招いて、アァ~でもないコォ~でもないと語り合っていた。そして時折映る映像は、燃え爛(ただ)れた戦車の残骸や爆撃されて崩れ落ちた住居や建物、さらに両陣営の地図が映し出された。ふと落久保は思った。人類は戦争好きなんだなぁ…と。まだ悲惨な画面を風呂上がりのカップ麺を啜りながらビールを飲み、こうして第三者として観ていられる。俺はなんて幸せなんだ…と落久保は、しみじみと思った。世界の世相は幾つかの地域で戦争が続く現状にある。落久保が暮らすこの国からは想像が出来ない争いだった。落久保はビルをグビッ! とひと口飲むとリモコンでチャンネルを変えた。映し出されたのはCMだった。とあるゲーム・メーカーの戦争ソフトが流れていた。そのとき、小学生の次男が二階の勉強部屋から降りてきた。
「やっと新発売か…。これが欲しかったんだっ!」
それとなく耳にした落久保は、人類の戦争好きを確信した。
戦争好きは、戦争の悲惨さを実感しないと嫌いにはなれないようです。^^
完