水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -74- 気楽

2025年02月03日 00時00分00秒 | #小説

 気楽に生きられれば、それに越したことはない。最近の世相は殺伐さを一層、増し、生き辛(づら)くなっていることは、皆さんも心当たりがお有りだろう。一歩、家の外へ出れば、気楽に行動出来ないのである。実に、困ったことだ。鬼は外ぉ~~! っと追い出した鬼達が、待ち構えているのである。^^
 杉坂は、さあ来いっ! とばかり、家で見えない鬼達を待ち構えていた。外へ出れば、鬼達が待ち構えていることは明々白々だったから、籠城策を取ったのである。^^
「それにしても鬼達のヤツ、遅いじゃないか…」
 そう杉坂が独りごちたとき、ピンポ~~ン! と家のチャイムが鳴った。
『来やがったか…』
 身構えた杉坂は、入口ドアを静かに開けた。
「書留です。ハンコ下さい…」
 入り口前に立っていたのは郵便局の配達員だった。
「はい、ちょっと待って下さい…」
 杉坂は認印を取りに奥へ戻った。そして、書留を受け取った。その書留は故郷の親からの送金だった。鬼どころか、福だったのである。杉坂は、そうか、こういうこともあるんだな…とニンマリした。
 家の外には鬼も多いですが、福もいることはいるんですよ、杉坂さん! 疑心暗鬼になってビクビクせず、気楽に外へ出ましょう!^^

                   完


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