水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -79- アチラとコチラ

2025年02月08日 00時00分00秒 | #小説

 最近の世相は冠婚葬祭、特に婚と葬に敏感なように感じる。全然知らない人の不幸が写真入りで報じられても、それを見聞きした人々は、?… と思えるだけではあるまいか。まあ、マスコミでご活躍されている現場の諸氏が編集長から叱咤、指示されるノルマもあるのだろうが…。^^
 ポカポカ陽気の晴れた昼、二人の老人が公園のベンチに座り、コンビニ弁当を食べながら話をしている。
「そろそろ、お迎えのことを考えておく必要がありますな…」
「ははは…私はちっとも考えておりません。ただ、コチラからアチラへ逝けば、どういうことになるのか? を考えれば、少し怖いですが…」
「科学的には消滅して別エネルギーへ置換するということですが…」
「なかなか学問的ですな…」
「私、こう見えても、以前は大学で教鞭をとる一方、研究室におりましたもので…」
「失礼しました。学者さんでしたか…」
「いえいえ、そう大した者では…」
「それにしても、芸能関係の方がアチラへ逝かれるという報道が多いようですが…」
「それは、コチラへ来られるということではないでしょうか。その数式までは研究しておりませんので、よく分かりませんが…」
「ということは、コチラで逝くというのは?」
「ははは…アチラへ逝く、ということになりますかなぁ~」
「なるほどっ! よく分かりました」
 だ、そうです、皆さん!^^

                   完


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