水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -81- 結果

2025年02月10日 00時00分00秒 | #小説

 最近の世相で感じられるのは、多くの人が結果を重視するという現実だ。確かに結果は重要で成果としてその後を左右するのだが、かといって何が何でも結果を求める・・という姿勢は話の流れを考える上で如何なものか…と、偉そうに思う訳である。 まあ、結果が求められなかったから、一人寂しく老いているのだが…。お笑い下さい。^^
 一市五町立の広域行政圏一部事務組合である青雲苑の担当課長会が会議室で開かれている。広域行政圏一部事務組合…舌を噛みそうな実に言いにくい行政組合だ。^^
「はい、奥目町さんのご意見は、よく分かりました。他には? …はい、皴深町さん」
「私も専決処分を承認してもよいと考えます」
「と言われますと、奥目町さんのお考えと同じですか?」
「はい、私もこの施設を考えますと、夏や冬が特に居づらいと思われます。ですから、この猛暑では当然、緊急の空調施設は導入します。ですから、この執行された専決処分の予算は認めるのが当然かと思います…」
「分かりました。反対意見の方は?」
 集まった各町の担当課長達は一同、語らない人になった。辺りに静寂が束の間、流れた。
「ないようですな…。分かりました。議案第三号の専決処分事項の承認をもとめることについての担当課長会の結論は承認とし、全員協議会に諮(はか)ることと致します」
 このあとは、出前の肝吸い付き鰻弁当が振舞われるのが慣例となっていた。すでに結果は予算執行されているのだから、認める認めないは関係ないのである。食べてしまった鰻弁当は、もう一度、体内から取り出して返すことが出来ない話と似ている。
 結果が出ていることを根掘り葉掘り穿(ほじく)るより、今後の財政再建の手立てを考えましょうよ、永田町でバッチを付けておられる皆さん!^^

                   完


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