さて、どん尻(じり)に控(ひけ)えしはぁ~~! と、ふたたび歌舞伎の白浪五人男の口上(こうじょう)調でガナるつもりは毛頭(もうとう)いが、^^五感の最後として触覚(しょっかく)という知覚がある。肌触(はだざわ)りのいい下着を身に着け、フカフカの寝具(しんぐ)に身を包めば、これはもう至福という他はないだろう。楽しい快適な気分で安眠できる訳である。はたまた、男性ならば異性の柔肌を…まあ、これは教育上、余り宜(よろ)しくなく、多くを語らないが、^^ 語ってもらいたいお方もおられることだろう。私も語りたいのは山々である。^^ それはそれとして、そういうお方にはグッ! と我慢をしていただき、話を起こしたいと思う。^^
触覚は、痛い、暖かい、冷たい、硬い、柔らかい、気持がいい・・などと身体が直接、感じる知覚だが、楽しい気分を味わうには、やはり快適な温度、肌触り・・といった触覚だろう。
とある家の庭に面した軒先(のきさき)である。ご主人が剪定を終わり、お茶を飲みながら一息(ひといき)、入れている。
「どうも、この座布団は座り心地(ごこち)が悪いな…」
「そうお? いつも座ってるじゃない」
妻は室内のテレビを観ながら煎餅(せんべい)をバリバリ! っと齧(かじ)っている。
「…まあ、そりゃ、そうだが…」
ダメを出され、ご主人は二の句が告げない。
「ザラザラするの?」
コマーシャルでドラマが寸断されたからか、何気なく妻がご主人を窺(うかが)った。
「いや、そういうんじゃなくって、ゴワゴワっていうか…」
ご主人は語尾を濁(にご)した。
「ああ! それは、汚れが落ちやすいように洗濯糊(せんたくのり)を入れて干したからよ!」
「ああ、そうか…。それにしても、なんかゴワゴワするなぁ~」
「ちょっと、入れ過ぎたかしら…」
妻が笑いながらて言ったとき、ドラマの続きが始まった。
「人間の触覚って、なんか妙なもんだなぁ~。気になりかければ、とことん気になる…」
「ええっ! なんか言った? このお煎餅のザラザラ感がいいのよねっ!」
「いや…」
ご主人は、そんなことは言ってないっ! とは思ったが、怖(おそ)ろしくて、とてもそうとは言えず、思うに留(とど)めた。
触覚は、いろいろあるという楽しい長閑(のどか)なお話である。^^
完
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