水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -42- お漬物販売

2025年01月02日 00時00分00秒 | #小説

 最近の世相は、-40-にも書いたが、コンプライアンス強化の方向で突き進んでいる。生き辛(づら)くなった昨今には、ただただ溜め息が漏れるばかりである。お上(かみ)[与党政府]は本当に庶民の暮らしを真摯(しんし)に考えているのだろうか…と、ついつい疑いたくなる。^^
 とある地方にある道の駅である。販売目的で毎年、販売されているお漬物販売が食品衛生法の法強化で販売できなくなり、今年で終わることになった。知った情報によれば、食中毒防止のためだそうである。
 車を止めた旅行者がお漬物を買おうとしている。
「ええ~~っ!! 今年で終わりなのっ!?」
「そうなんですよ、お客さん。施設基準が厳しくなりましてね、作れなくなったんですよ…」
「ったくっ!! 議員さん連中は何してるんだろうねぇ~」
「パーティ券販売じゃないですかっ!」
「おばちゃん、上手(うま)いっ!!」
「お漬物も美味(おい)しいですよっ!」
「シャレも上手いっ!! だけどさぁ~、今まで一度も食中毒にならなかったけどねぇ~」
「…毎年、通って頂いて有難うございました」
「いや、こちらこそ…」
 客は料金を支払ったあと品を受け取り、外へ出ようとしてたが、立ち止まると振り向いた。
「政治が食中毒だよねぇ~、ははは…」
 客はひと言、付け加えて踵(きびす)を返し、豪快に呵(わら)い捨てながら外へ出ていった。
 確かに、今の世相は政治が食中毒でド偉いことになってます。^^

                   完


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