家庭連合が、解散要件の「著しく公共の福祉に反することが明らか」といえるかは、要は解散に値するほど「治安を害したか」と解釈できます。
以下の5点から、解散に値するほどの治安を害したとは言えません。
1 他の宗教との対比
顕正会は1999年からここ25年で12件の刑事犯を犯しています。法友之会は、1990年に教祖らが懺悔させると称して7人を溺死させました。他に、家庭連合以上に治安を害した宗教は多いです。
一方、家庭連合は60年で刑事犯はゼロ件です。不法行為責任は多いですが、これはみな霊感弁連による「信仰辞めた、金返せ」訴訟です。
信仰している間は何も言わないのに(実際、この60年で詐欺・強迫取消しは1件もありません)、辞めて数年経って「金返せ」というのは虫が良すぎます。
こういう「背教者=裏切り者」との脱会後のトラブルが、解散に値するほど「治安を害した」事案でしょうか。トラブルは全て、脱会して霊感弁連と会った後に「発生」するのです。
なお、背教者は極少数で、信者の2,000人に1人くらいです。
さらに、多くの事案で不法行為の消滅時効3年が経過していたのに、裁判例では「霊感弁連に会ってマインド・コントロールされていた(=自由な意思決定を阻害されていた)と指摘されるまでは損害と加害者を知らなかった」と認定され、消滅時効が適用されなかったようです。
強引すぎる認定です。
そもそも「マインド・コントロール」という概念は、欧米では「エセ科学」として裁判所で否定されており、櫻井義秀教授も指摘していたとおり、責任転嫁の詭弁にすぎません。
2 正体隠し(未証し勧誘)
家庭連合の未証し勧誘が攻撃されています。
裁判例の基準を分かりやすく言うと「帰依するかの決断前に、教義の概要を説明すればいい」のです(平成26年3月24日札幌地裁判決)。
この基準を満たすのは容易なので、最近の裁判例では、家庭連合が霊感弁連に多く勝訴しています(令和になってから4勝2敗)。
最近出版された魚谷俊輔『反証 統一教会』では、「かつては拉致監禁が猖獗を極めており、拉致されぬために偽名を使う信者も多かった。いきなり『統一教会だ』と明かすと、伝道者側が身バレして拉致監禁されるおそれが高かった。その拉致を避けるために、いきなり統一教会と明かさず、信頼関係が構築されてから明かすという防御戦略だった」と書いてありました。
未証し勧誘にも拉致を防ぐための必要性と合理性があったのだと思いました。
3 拉致監禁
家庭連合信者の拉致監禁が解散請求の一因になっています。
なお、これは文科省書面が表現する単なる「監視」ではありません。12年半も監禁された後藤徹氏の裁判の高裁判決は、15度も「違法」と表現して監禁を認めています。
解散請求をすると文科省が宣言した2年前、22の民事裁判を根拠にしていました。その原告の55.4%は拉致監禁被害者です。
それとちょうど符合するように、文科省が解散命令請求の根拠として出している陳述書233通の55.8%は、拉致監禁被害者、つまり背教者が書いたものです。
背教者という僅少な「裏切り者」が虚心坦懐に公正な書面を書けるとは思いません。
「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」という憲法37条2項が示すとおり、長期の身体的拘束は人の認知を歪めるからです。
多くの反家庭連合の陳述書には「地獄に堕ちる」と言われたから…と言い訳めいて書いています。しかし、大の大人が地獄に堕ちると言われて長年にわたって献金したりはしません。
4 「被害」はあるのか
霊感弁連は「被害者救済」を声高に叫ぶものの、今、家庭連合の献金の「真の被害者」がどれだけいるか、疑問に思っています。
全国統一教会被害対策弁護団は、194人による57億円の「被害」を主張して東京地裁での「集団交渉」の「調停」を申し立てています。
しかし、「いつ、いくらの被害に遭った」という献金被害の証拠は一つも出していません。半数くらいが除斥期間を経過しています。
弁護士が350人くらいいて、弁護団結成(令和4年11月24日)から2年を経過したのに、証拠を一つも出さないのはおかしいです。
裁判になったら負けることを見越して、調停・集団交渉によって時間稼ぎをして敗訴判決を免れ、仮に家庭連合が解散になった場合に残余財産からの回収を目論むという遅延戦略なのだと思います。
よしんば献金の「被害」があったとしても、それと解散命令とは別次元の話です。
霊感弁連が、解散命令請求を出さない文科省への国賠請求をした事案で、東京地裁が「(解散命令等の規制は)個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接的な目的としたものとはにわかに解し難く、かかる損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられている」と判示したとおりです(2017年2月6日判決)。
「被害」救済すなわち献金の返還のためには解散をさせない方が安全とも言えます。
実際、霊感弁連の紀藤正樹弁護士は、オウム真理教の解散には反対していました(週刊現代1995年7月1日号)。
5 家庭連合の活動
オウム真理教は設立後11年でサリン事件を犯し、当時の日本の信者が1万人程度でした。
一方、家庭連合は韓国で設立後70年、世界195か国に広まり、日本だけでも10万人程度の活発な信者がいます。
「少数を長く騙せる。多数を短期間騙せる。でも多数を長期間騙すことはできない」というリンカンの言葉があります。
家庭連合の歴史や地理的な広がりだけから見ても、家庭連合にはそれなりの信頼性があるはずです。
私は今年6月にフランスに赴いてCESNURという宗教会議に出席しましたが、そこでも家庭連合の教義と活動は国際的にもそれなりの評価を得ていました。