昨日の夜は、皆川博子の小説『薔薇密室』を読み返していました
第一次大戦の最中。
プロイセン・ドイツの脱走兵コンラートは負傷した騎馬士官を連れてとある僧院に逃げ込む。
その僧院ではある医学博士が奇怪な研究を行っていた。
博士は騎馬士官の命を助ける為に常軌を逸した治療を行う……。
十数年後、ナチス・ドイツと戦端を開いたポーランドの首都ワルシャワに住む少女ミルカは一人の少年と出会うのだが……。
歴史ミステリです。
剛質で端正で凄い筆力。
丁寧で精緻で複雑な構成。
す、凄いです。
登場人物達が真実を希求しているのに真実が何処にあるのか読んでいる者を幻惑させて分からなくさせてしまう……。
そもそもこの物語を書いたものは誰なのか? (皆川博子なのですけれどもね。それをちょっと脇に置くと……)
真実とは?
歴史小説なのだけれども仕掛けはたっぷり。
でもその仕掛けに頼っていない。
見事な物語です。
面白いですよ。
お勧めであります。