狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

普通の触れ方を知らないから戸惑っていたら 触れてくれた手にどれだけ夜をくぐり抜けてもずっと冷めないままの熱が脈を打つ

2020年03月16日 18時17分53秒 | VSの日記
 本日3月16日は、新バビロニア王国がエルサレムを征服した日で、カリグラがローマ皇帝に即位した日で、長屋王が謀叛の疑いで邸宅を包囲されて自害した日で、イングランドでオリバー・クロムウェルが軍を率いて長期議会を解散させた日で、スウェーデン王グスタフ3世が銃撃された(3月29日に死亡)日で、ウィレム1世がネーデルラント連合王国の初代国王に即位した日で、世界で最も古いサッカー大会・FAカップの第1回大会の決勝戦が行われた日で、『時事新報』の社説として福沢諭吉の脱亜論が掲載された日で、アーサー・エヴァンズがクレタ島のクノッソス遺跡を発掘した日で、鈴木梅太郎がビタミンB1の抽出に成功した日で、アドルフ・ヒトラーがドイツはヴェルサイユ条約を破棄して再軍備すると宣言した日で、衆議院本会議の国家総動員法案賛成演説で社会大衆党議員の西尾末広が「スターリンの如く大胆に」と発言して他党から問題視されて議員除名が決議された日で、片岡仁左衛門一家殺害事件が起こった日で、徳田要請問題で日本共産党書記長である徳田球一が衆議院の証人喚問を受けた日で、ベトナム戦争でアメリカ軍によるミ・ライ村虐殺事件が起きた日で、イタリアの元首相アルド・モーロが極左テロ組織「赤い旅団」により誘拐(後に殺害される)された日です。

 本日の倉敷は晴れでありましたよ。
 最高気温は十度。最低気温は三度でありました。
 明日も予報では倉敷は晴れとなっております。




 お鍋はぐつぐつ煮える。
 鴨の肉の紅は御師匠様の素早い箸で反される。
 白くなつた方が上になる。
 斜に薄く切られた葱は白い処が段々に黄色くなって褐色の汁の中へ沈む。
 箸の素早い御師匠様は晴着らしい付下げを着ている。
 傍に和柄鞄が置いてある。
 御酒を飲んでは肉を反す。
 肉を反しては御酒を飲む。

 狐は御師匠様に純米の吟醸酒を注いで遣る
 狐の目は断えず御師匠様の顔に注がれている。
 永遠に渇しているような眼である。
 眼の渇きは口の渇きを忘れさせる。
 箸の素早い御師匠様は二三度反した肉の一切れを口に入れる。
 白い歯で旨そうに噬む。
 永遠に渇している眼は動く顎に注がれている。
 白い手拭いを畳んで膝の上に置いて割箸を割つて手に持つて待つている。

 御師匠様が肉を三切れ四切れ食べた頃に、狐は箸を持つた手を伸べて一切れの肉を挟もうとした。
 御師匠様に遠慮がないのではない。
 其れならと云つて御師匠様を憚るとも見えない。
 「待ちなさい。其れは未だ煮えていません」
 狐はおとなしく箸を持つた手を引つ込めて待つ。

 暫くすると、御師匠様の箸は一切れの肉を自分の口に運んだ。
 其れはさつき狐の箸の挟もうとした肉であつた。
 狐の眼は又、御師匠様の顔に注がれた。
 其の眼の中には怨も怒もない。
 ただ驚がある。

 狐は驚きの眼を御師匠様の顔に注いでいる。
 食べてよいとは云つて貰われない。
 もう好い頃だと思つて箸を出すと、其の度毎に「其れは煮えていません」を繰り返される。
 
 驚の眼には怨も怒もない。
 しかし卵から出たばかりの雛に穀物を啄ばませ胎を離れたばかりの赤ん坊を何にでも吸い附かせる生活の本能は、驚の眼の主にも動く。
 狐は箸を鍋から引かなくなつた。

 御師匠様の素早い箸が肉の一切れを口に運ぶ隙に、狐の箸は突然手近い肉の一切れを挟んで口に入れた。
 もうどの肉も好く煮えているのである。
 少し煮え過ぎている位である。

 御師匠様は切れ長の美しい眼で狐の顔をちよいと見た。
 叱りはしないのである。
 只これからは御師匠様の素早い箸が一層素早くなつた。
 代りの生を鍋に運ぶ。
 運んでは返す。
 返しては食べる。
 しかし狐も黙つて箸を動かす。
 驚の眼は或る目的に向つて動く活動の眼になって其れが暫らくも鍋を離れない。
 大きな肉の切れは得られないでも小さい切れは得られる。
 好く煮えたのは得られないでも生煮えなのは得られる。
 肉は得られないでも葱は得られる。葱は美味しい。じゅるり。






 美味しいものは実力で得るべし。
 鍋を食するは知力と速さと胆力の限りを発揮し死力を尽くす闘いである。

 其の夜。狐と御師匠様は死力を尽くし闘い抜いた。
 凄惨なり。相争う者共よ。
 見事な闘いである。
 狐と御師匠様は激闘の末、ふらふらになつて御店を出た。
 そして御互いの健闘を讃えあい、家路についたのだつた。



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『銀の匙 Silver Spoon』第15巻/荒川弘

2020年03月16日 16時25分54秒 | 漫画・ゲームに関する日記
 昨日の夜は、荒川弘の漫画『銀の匙 Silver Spoon』の第15巻を読んでいました。

 中学性の頃は進学校に通っていた八軒勇吾は、受験の為の競争に挫折して担任の先生に勧められるまま大蝦夷農業高校に入学した。
 将来の夢や希望や目標を見いだせないでいる。
 周囲のクラスメイト達は実家が農業をしていることもあって具体的な目標を持っている者が多い。
 八軒は劣等感を感じながら実習や部活で多くの動物達と触れ合うことになる。
 酪農の世界での動物。人と共に歩んできた動物。経済活動の中での動物。
 厳しい現実の中で八軒は自分なりの答えを出そうとする……。

 高校生で会社を立ち上げた八軒は、大川先輩の社長命令により、急遽、大蝦夷畜産大学を受験することになった。
 さらに、会社への融資と経営相談で父親と対峙することになる。
 苦手な父親と仕事の話をしているうちに……。
 そして、遠く離れた土地で夢を叶える為に奮闘している駒場が、八軒に連絡を寄越す。
 駒場が見据える将来とは……。


 『銀の匙 Silver Spoon』完結であります。

 この漫画の主人公のタイプは珍しいと思うのです。
 真面目な優等生タイプ。通常は脇にまわったり主人公と対立する側にまわったり。物語の中で否定されることが多いです。
 そしてお金儲けを否定しないことも珍しいかも。
 夢を現実にするにはどうすればよいか? やりたいことを実現することとは? 八軒は愚直に突き進み悩みもがいていきます。
 近道は存在せず一発逆転の方法論や一攫千金の方法論はありません。
 きちんと勉強し出来ることをやりきる。その姿勢を貫くことで信頼を得る。
 世界に理不尽なことはたくさんある。その理不尽にどのように対応していくか?
 このようなことを漫画で描き切るのも珍しいかも……。

 面白かったですよ。
 楽しめました。
 お勧めであります。

 
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『Dream Fighter』

2020年03月16日 15時18分27秒 | 曲名がタイトルの日記
 昨日の夜は、Perfumeの8thシングル『Dream Fighter』を聴いていました。
 最近、私はテンションが落ちているようなのでテンションが上がる曲が効きたいと思い聴いておりました。
 疾走感溢れる曲であります。

 昨晩は繰り返し聴いておりました。


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