本日11月14日は、徳川光圀が隠居した日で、清とロシア帝国が北京条約に調印した日で、明六雑誌が停刊した日で、パリにパスツール研究所が設立された日で、ネリー・ブライが八十日間世界一周の旅に出発した日で、ドイツ軍が山東半島南西岸の膠州湾を占領した日で、日本統治下の台湾で北埔事件が起きた日で、濱口雄幸首相が東京駅で右翼青年佐郷屋留雄に狙撃されて重傷を負った日で、ニューヨーク州アパラチンにマフィア幹部が集結してアパラチン会議が行われた日で、岡山県倉敷市水島と山口県徳山市(現・周南市)に石油化学コンビナートを設立することが決まった日で、皇居新宮殿が落成した日で、アメリカの火星探査機マリナー9号が火星周回軌道に到達した日で、渋谷・四谷などで行なわれた「沖縄返還協定批准阻止闘争」で革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)の学生ら約400人が渋谷で警戒中の機動隊や渋谷駅前派出所を鉄パイプや火炎瓶で襲撃して警官1名を生きたまま焼き殺し3名に重傷を負わせた日で、ドイツとポーランドがドイツ・ポーランド国境条約に調印した日で、カンボジアのノロドム・シハヌーク元国王が13年間の亡命を終え首都プノンペンに戻った日で、浦和レッズがアジアチャンピオンズリーグで初優勝をした日で、いい石の日です。
本日の倉敷は晴れでありました。
最高気温は十六度。最低気温は八度でありました。
明日も予報では倉敷は晴れとなっております。
本日の倉敷は晴れでありました。
最高気温は十六度。最低気温は八度でありました。
明日も予報では倉敷は晴れとなっております。
或る夜の事。
狐は先輩と一緒に或るパブリック・ハウスのカウンター席に腰をかけて、絶えずミルクを舐めてゐた。
狐は余り口をきかなかつた。
然し先輩の言葉には熱心に耳を傾けてゐた。
「御酒には媚薬効果があるというけれども媚薬効果ではなく脳内の様々なリミッターを酒精で麻痺させているに過ぎない。酒精によって人は普段は抑えられている欲望が剥き出しになつてしまふだけなの」
先輩は頬杖をした儘、極めて無造作に私に述べた。
「つまり、人は基本的にはすけべえであるといふこと」
左様でございますか。
「うむ。一年中発情している動物なんてとても珍しいの」
そうなのですか?
「うむ。ところで私はお水が欲しいの。君、マスターに頼んでお水を貰つてきてくれ給へよ」
狐は、マスターにチェイサーを頼み、ついでに自分用にカルーアを注文した。
「うむ。此処にお水が入つた割賦がある。見てのとおり私は大変に酔つている。お水を飲もうにも零してしまいそう。君、私にお水を飲ませておくれ」と先輩は目を潤ませて云つた。
そんなに酔つているやうには見えませんが?
「む。君は私の言葉を疑うのかね?」
否ですよ。疑つたりはしません。
「では私にお水を飲ませ給へ」
狐は割賦を捧げ持つて先輩の口元に寄せた。
「違う違う違う! 口移しで頂きたいの! 口移しで!」
む。酔つているふりをすれば何でも要求が通ると思つていませんか?
「ちよつと思つておりまする」先輩はにへらと笑つた。「口移し! 口移し!」
断固拒否します!
狐は、割賦の中でカルーアとホットミルクと混ぜ合わせてカルーア・ミルクを作り、舐めた。
私の言葉は先輩の心を知らない世界へ神々に近い世界へと解放したのかもしれない。
先輩は言つた。「いけず。私のことが好きなくせに」
先輩は勘違いしている。それとも勘違いをしているのは私なのか?
狐は何か痛みを感じた。が、同時に又歓びも感じた。
人の考えとはわからぬものであるな。面白ひものだ。
其のパブリック・ハウスは極小さかつた。
然しパンの神の額の下には赫い鉢に植ゑたゴムの樹が一本、肉の厚い葉をだらりと垂らしてゐた。
「御酒には媚薬効果があるというけれども媚薬効果ではなく脳内の様々なリミッターを酒精で麻痺させているに過ぎない。酒精によって人は普段は抑えられている欲望が剥き出しになつてしまふだけなの」
先輩は頬杖をした儘、極めて無造作に私に述べた。
「つまり、人は基本的にはすけべえであるといふこと」
左様でございますか。
「うむ。一年中発情している動物なんてとても珍しいの」
そうなのですか?
「うむ。ところで私はお水が欲しいの。君、マスターに頼んでお水を貰つてきてくれ給へよ」
狐は、マスターにチェイサーを頼み、ついでに自分用にカルーアを注文した。
「うむ。此処にお水が入つた割賦がある。見てのとおり私は大変に酔つている。お水を飲もうにも零してしまいそう。君、私にお水を飲ませておくれ」と先輩は目を潤ませて云つた。
そんなに酔つているやうには見えませんが?
「む。君は私の言葉を疑うのかね?」
否ですよ。疑つたりはしません。
「では私にお水を飲ませ給へ」
狐は割賦を捧げ持つて先輩の口元に寄せた。
「違う違う違う! 口移しで頂きたいの! 口移しで!」
む。酔つているふりをすれば何でも要求が通ると思つていませんか?
「ちよつと思つておりまする」先輩はにへらと笑つた。「口移し! 口移し!」
断固拒否します!
狐は、割賦の中でカルーアとホットミルクと混ぜ合わせてカルーア・ミルクを作り、舐めた。
私の言葉は先輩の心を知らない世界へ神々に近い世界へと解放したのかもしれない。
先輩は言つた。「いけず。私のことが好きなくせに」
先輩は勘違いしている。それとも勘違いをしているのは私なのか?
狐は何か痛みを感じた。が、同時に又歓びも感じた。
人の考えとはわからぬものであるな。面白ひものだ。
其のパブリック・ハウスは極小さかつた。
然しパンの神の額の下には赫い鉢に植ゑたゴムの樹が一本、肉の厚い葉をだらりと垂らしてゐた。