4/6(木)、シネ・ウインドで「うさぎ追いし ‐山極勝三郎物語‐」、「函館珈琲」といういい感じの日本映画を二本連続で観て来たので、感想を書いていきます。
二本目はこちら、西尾孔志監督「函館珈琲」です。
ひとまず予告編はこちら。
まず最初に、これは映画を観たあとで調べて知ったことなんですが、この映画はそもそも1995年から続く「函館港イルミナシオン映画祭」にて、1996年から始まった「シナリオ大賞」にて、2013年度函館市長賞を受賞したいとう菜のはさんの脚本を映画化したものだそうです。
函館港イルミナシオン映画祭のシナリオ大賞では、過去にも様々な脚本が映画化されてきたそうですが、その中で2015年に始まった<シナリオ大賞映画化プロジェクト>の第一弾として映画化されたそうです。
ところで、一つ前の記事では、同じ日に見た「うさぎ追いし ‐山極勝三郎物語‐」の感想を書いたわけですが…
「シネ・ウインドで「うさぎ追いし ‐山極勝三郎物語‐」を観て来ました!」
長野県上田市が、地元出身の偉人、山極勝三郎の偉業を映画化した「うさぎ追いし」、北海道の函館市で行われた映画祭で生まれた函館を舞台にした物語を映画化した「函館珈琲」と、偶然にも地方都市から生まれた映画を二本連続で観たことになります。
こういう、地方都市から映画を生み出す活動は素直に応援したいと思っていますし、大々的に全国公開される映画に比べて地味さはありますが、手作りの楽しさを感じる映画が多くて僕は好きなんですよね。
さて、そんな訳で今回観て来た「函館珈琲」の感想ですが、まず設定が面白いなと思いました。
この映画の舞台、函館の街中にある古びた洋館のような「翡翠館」は、オーナーが夢を追う若者を応援するために、住居兼アトリエとして貸し出していて、翡翠館の住人に相応しいかどうかをオーナーが面接で決めているという、一風変わった、でももしかしたらどこかにあるのかも知れないと思わせてくれるような、面白い設定だったと思います。
翡翠館には、ガラス細工職人を目指し子供たちにガラス細工を教えている女性、テディベア職人を目指しおもちゃの修理なども行っている男性、そして、一人ひっそりとピンホールカメラで写真を撮りながら写真家を目指す女性と、個性の強い住人達がそれぞれの夢を目指しながら暮らしています。
主人公の男性は、そんな翡翠館にかつて住んでいて今は亡くなってしまった先輩のつてで住むこととなります。
それぞれの夢を追いかける他の住人達に対し、主人公は本屋を目指すと言いながらも、実際は古本をインターネットで売ってお金を稼ぐだけという、別にわざわざ翡翠館でやる必要のないような生活をしてしまい、そんな自分に引け目を感じながら生きています。
また、亡くなった先輩のことや、他の住人達との人間関係に悩んだりと、様々な葛藤を抱えながら生きているわけです。
しかし、そんな主人公が一つだけ得意なことが、美味しいコーヒーを淹れることで、コーヒーがきっかけで少しずつ翡翠館の住人たちとの距離が縮まっていく様子に、何とも温かい気持ちにさせられました。
詳しくは書きませんが、そういう彼のコーヒーの才能が見出され、周りの人達からの協力もあって生きる道を見付けるという、ストーリーは人生における回り道は無駄ではないと言われたようで、嬉しい気持ちになりました。
さらに、この映画がいいところはそこで終わらずに、生きる道を見出された主人公が、そのことで自分が実は昔から本当は持っていた夢に気付き、その夢に向かって歩きはじめる姿さえも描いているところです。
最初は引け目を感じていた主人公でしたが、遠回りしながらも確実に一歩ずつ歩んでいき、最後には本当の自分の気持ちに気付くことで大きな一歩になるというストーリーからは、思わず背中を押されてしまったような、素直に前向きな気持ちになれました。
人間の確かな成長を大袈裟な表現を使わずに描いた、とても爽やかな気持ちになれる青春映画で、それはそのまま、シナリオ大賞から映画化が決まったという夢をかなえた、この映画の脚本のいとう菜のはさんとも重なるようでした。
そして、こういう素直に楽しめる真っ直ぐな映画が、地方都市から生まれて来たことはとても素敵なことだと思いますし、見られて良かったです。
二本目はこちら、西尾孔志監督「函館珈琲」です。
ひとまず予告編はこちら。
まず最初に、これは映画を観たあとで調べて知ったことなんですが、この映画はそもそも1995年から続く「函館港イルミナシオン映画祭」にて、1996年から始まった「シナリオ大賞」にて、2013年度函館市長賞を受賞したいとう菜のはさんの脚本を映画化したものだそうです。
函館港イルミナシオン映画祭のシナリオ大賞では、過去にも様々な脚本が映画化されてきたそうですが、その中で2015年に始まった<シナリオ大賞映画化プロジェクト>の第一弾として映画化されたそうです。
ところで、一つ前の記事では、同じ日に見た「うさぎ追いし ‐山極勝三郎物語‐」の感想を書いたわけですが…
「シネ・ウインドで「うさぎ追いし ‐山極勝三郎物語‐」を観て来ました!」
長野県上田市が、地元出身の偉人、山極勝三郎の偉業を映画化した「うさぎ追いし」、北海道の函館市で行われた映画祭で生まれた函館を舞台にした物語を映画化した「函館珈琲」と、偶然にも地方都市から生まれた映画を二本連続で観たことになります。
こういう、地方都市から映画を生み出す活動は素直に応援したいと思っていますし、大々的に全国公開される映画に比べて地味さはありますが、手作りの楽しさを感じる映画が多くて僕は好きなんですよね。
さて、そんな訳で今回観て来た「函館珈琲」の感想ですが、まず設定が面白いなと思いました。
この映画の舞台、函館の街中にある古びた洋館のような「翡翠館」は、オーナーが夢を追う若者を応援するために、住居兼アトリエとして貸し出していて、翡翠館の住人に相応しいかどうかをオーナーが面接で決めているという、一風変わった、でももしかしたらどこかにあるのかも知れないと思わせてくれるような、面白い設定だったと思います。
翡翠館には、ガラス細工職人を目指し子供たちにガラス細工を教えている女性、テディベア職人を目指しおもちゃの修理なども行っている男性、そして、一人ひっそりとピンホールカメラで写真を撮りながら写真家を目指す女性と、個性の強い住人達がそれぞれの夢を目指しながら暮らしています。
主人公の男性は、そんな翡翠館にかつて住んでいて今は亡くなってしまった先輩のつてで住むこととなります。
それぞれの夢を追いかける他の住人達に対し、主人公は本屋を目指すと言いながらも、実際は古本をインターネットで売ってお金を稼ぐだけという、別にわざわざ翡翠館でやる必要のないような生活をしてしまい、そんな自分に引け目を感じながら生きています。
また、亡くなった先輩のことや、他の住人達との人間関係に悩んだりと、様々な葛藤を抱えながら生きているわけです。
しかし、そんな主人公が一つだけ得意なことが、美味しいコーヒーを淹れることで、コーヒーがきっかけで少しずつ翡翠館の住人たちとの距離が縮まっていく様子に、何とも温かい気持ちにさせられました。
詳しくは書きませんが、そういう彼のコーヒーの才能が見出され、周りの人達からの協力もあって生きる道を見付けるという、ストーリーは人生における回り道は無駄ではないと言われたようで、嬉しい気持ちになりました。
さらに、この映画がいいところはそこで終わらずに、生きる道を見出された主人公が、そのことで自分が実は昔から本当は持っていた夢に気付き、その夢に向かって歩きはじめる姿さえも描いているところです。
最初は引け目を感じていた主人公でしたが、遠回りしながらも確実に一歩ずつ歩んでいき、最後には本当の自分の気持ちに気付くことで大きな一歩になるというストーリーからは、思わず背中を押されてしまったような、素直に前向きな気持ちになれました。
人間の確かな成長を大袈裟な表現を使わずに描いた、とても爽やかな気持ちになれる青春映画で、それはそのまま、シナリオ大賞から映画化が決まったという夢をかなえた、この映画の脚本のいとう菜のはさんとも重なるようでした。
そして、こういう素直に楽しめる真っ直ぐな映画が、地方都市から生まれて来たことはとても素敵なことだと思いますし、見られて良かったです。