舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオ 青年部研究科公演『十二夜』を観て来ました!

2017-02-01 16:51:33 | Weblog


1/6(金)、7(土)に新潟県民会館の小ホールで行われた劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオの、青年部研究科公演『十二夜』。
僕は1/6(金)に観に行って来ました!

劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオさんの公演は、僕は昨年観劇した『フォーティンブラス』がすごく面白かったのですが、その後に行われた『ヴェニスの商人』はチケットが完売してしまって観に行けず・・・
・・・という状態だったので、今回はやっと観に行けて嬉しかったです。



・・・という訳で、感想を書いていきますが、素直に面白かったです!
純粋に、シェイクスピアの「十二夜」という戯曲の面白さがストレートに楽しめたなあ!というのが第一印象です。

そもそも僕はシェイクスピアにそんなに詳しくないんですが、今回「十二夜」という作品の内容もこの公演で初めて知りました。
「十二夜」はシェイクスピアが書いた喜劇の一つなんですが、初めて見て思ったことは、いやー!面白い!っていうか、シェイクスピアやりたい放題だなあ!ってことです。

今回「十二夜」を見る前に、僕が知っていたシェイクスピアの喜劇は、松本に住んでいた数年前に劇団山脈がやっていた「真夏の夜の夢」とか、2015年に自分が出演した劇団第二黎明期の「エドワード三世」の二作品だけでした。
で、その時から思っていたことなんですけど、シェイクスピアの喜劇って本当に面白いんですよね。

しかも喜劇の方向性が、スラップスティックコメディ、ドタバタコメディ、と言った感じで、本当にやりたい放題だなあ!と思います。
シェイクスピアと聞くと、古典芸術であり歴史上の人物である!というだけの理由でハードルの高さを感じてしまいがちですが、実際はそんな人が何百年も昔にこんなにも笑える喜劇を作ってたんだなあと言うことが分かり、そう考えると感慨深いものがあります。



もちろん、今回の「十二夜」もとても面白い喜劇だなあと思いました。
ストーリーをざっくり説明すると、いくつかの物語が同時並行的に進行しています。

①双子の兄セバスチャンと妹のヴァイオラが船の難破で離ればなれになってしまい、お互いに相手は死んだものだと思って暮らしている・・・という、すれ違い劇!
②ヴァイオラは男装してシザーリオという偽名でオーシーノ公爵に仕える。ヴィオラはオーシーノ公爵に恋をするが男性の振りをしているので言い出せない。一方、オーシーノ公爵は伯爵家の女主人、オリヴィアに恋をしてしまう。しかし、オリヴィアはシザーリオ(男装したヴァイオラ)に恋をしてしまう・・・という三角関係!
③ヴィオラの双子の兄セバスチャンは難破から助かり、アントニオを従えて旅をするが、そこはヴィオラの住むオーシーノ公爵の土地であった。アントニオは過去にオーシーノ公爵と因縁があるため、オーシーノ公爵とその関係者に気付かれないように旅をする・・・というサスペンス!
④そんな中、ひょんなことから双子の妹ヴィオラと兄セバスチャンが入れ代わってしまう!オリヴィアはセバスチャンをシザーリオ(男装したヴァイオラ)と勘違いして求婚してしまう!という入れ代わり劇!

・・・と、こんな物語が喜劇調で同時並行しながらドタバタと起こるわけです。
もう、この時点でかなりややこしい物語なのですが、シェイクスピア先生はこんなもんじゃねえ・・・さらに物語はややこしい展開が登場し・・・

⑤オリヴィアの叔父のサー・トービーが、毎日飲んだくれている曲者で、劇中で何かとトラブルを巻き起こす!そして、サー・トービーの飲み仲間であるアンドルーもまた、オリヴィアに求婚してしまう!すると、サー・トービーはアンドルーに、シザーリオ(男装したヴァイオラ)とオリヴィアを巡って決闘をけしかけてしまう!しかも、決闘の直前にヴァイオラと兄のセバスチャンが入れ替わってしまう!そこに、セバスチャンを止めにアントニオがやって来て、オーシーノ公爵の部下に捕まってしまう!

・・・と、さらにこんな物語までもが同時並行で進行するので、まさにあっちもこっちも大騒ぎとなっていくのです!
しかも、この時点で相当ややこしい物語なのに、さらに事態をややこしくする展開が・・・

⑥オリヴィアの叔父サー・トービー、その飲み仲間でオリヴィアに求婚しているアンドルー、そして道化のフェステ、この三人はいつも飲んだくれて馬鹿騒ぎばかりしている!そんな三馬鹿トリオに対し、オリヴィアの執事のマルボーリオは厳しく叱る。腹を立てた三人は、オリヴィアの次女のマライアと共謀し、マルボーリオを罠に嵌める!オリヴィアがマルボーリオのことを愛しているという内容の嘘の手紙をマルボーリオに拾わせて、勘違いさせるのだ!手紙を読んだマルボーリオは舞い上がり、その行動は徐々にエスカレート!最終的には完全に気の狂った人になってしまう!

・・・と、これだけ色んなエピソードが同時に進行して、その時点でかなり人間関係がややこしいことになっている物語に、さらに笑いの要素をぶっこんで来るのである!
正直、そこまでストーリーに大きく絡んでくるエピソードではないにしろ、予想以上に長い尺を使ってきて、実際このエピソードはかなり笑いを取っているのである!

いやー、シェイクスピア先生、笑いに貪欲っすねえ!
今回、この「十二夜」という演劇を見て、まさかこんなに面白い物語だったとは!って思いましたし、さっきも言いましたが、こんな笑える物語を何百年前も前に書いていた人がいると思うと感慨深いですねえ・・・



この劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオの講師であり、今回の十二夜を演出していているKURITAカンパニーの栗田さんは、本当にシェイクスピアに対してこだわりがある方らしいです。
この話は、この劇にも出演している劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオの遠藤駿くんから聞いたことなんですけど、今回、実際に劇団ひまわり新潟エクステンションのシェイクスピア「十二夜」を観劇してみて、ああ確かに!って思いました。

何というか、栗田さんが、これは絶対面白いものになる!という確信を持ってシェイクスピアの演劇を作っている感じがしました。
そして、実際に観劇してみると、出演者の皆さんもそんなシェイクスピアの面白さをちゃんと信じて今回の演劇に出演しているんだなあ、という姿勢が感じられ、「十二夜」という物語の面白さがストレートに伝わってきました。



シェイクスピアを現代で演劇化する場合って、どういう切り口でシェイクスピアの魅力を現代に伝えるのか、っていうのが重要だと思うんですよね。
例えば、僕が知っているのだと、「柿喰う客」の女体シェイクスピアは、女優だけでシェイクスピアを演じ、敢えて仰々しくデフォルメしまうくった演技と演出とネタ満載で悲劇を超ハイテンションな演劇に仕立て上げていたし、また、僕が出演した劇団第二黎明期の「エドワード三世」は長い物語の大部分をバッサリ削ぎ落として要点となるの部分だけを抽出して1時間弱のコント風に仕立て上げるという方法を取っていました。

で、じゃあ今回の「十二夜」はどうかというと・・・超ドストレート!直球勝負!って感じだったなあと思います。
僕は元の戯曲を読んでいたわけではないのですが、おそらく元の戯曲の物語をそのままに、変な現代的解釈や奇をてらった演出などはせずに、原作の物語の面白さをそのまま演劇として現代に再現している、という印象を受けました。

ここが、この今回の劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオ版の「十二夜」の一番の魅力だったなあと思います。
やっぱり今回の演劇の演出の栗田さん、そして出演者の皆さんが、本当にこの原作を、シェイクスピアの「十二夜」という物語を心の底から信じて全力でそこに臨んでいた結果だと思うんですよね。

それは本当に素晴らしいことだと思うので、やっぱりそこに一番感動しました。
やっぱり演劇を作っている人達がその演劇を本気で信じているからこそ、見ているこっちも安心してその物語に入っていけるんだなあと思います。

その証拠に、確かにややこしい物語ではあるんですけど、観ている時は、その時その時で、目の前で繰り広げられている物語に、次はどうなるんだ?と引き込まれて、2時間半近くと長めの上演時間であったにもかかわらず、飽きることはありませんでした。
寧ろ、上演時間が長かったからこそ、また、色んなエピソードが入り組んだややこしい物語であったからこそ、最後に双子のヴァイオラとセバスチャンが再会するというクライマックスにはカタルシスがあったし、素直に感動もしました。

また、今回の「十二夜」は笑いに対してもかなり全力で臨んでいて、特にマルボーリオが偽の手紙を読んで勘違いしてどんどん暴走していく下りは、本当にて心の底から大爆笑してしまいました。
あのシーン、マルボーリオの一人芝居も本当に面白いんですが、それに加えて、サー・トービー、アンドルー、フェステの三人が、なんとステージから飛び降りて、ステージと客席の最前列の間でマルボーリオを見ているというまさかの展開に、個人的にはこの演劇で一番の大爆笑でした。



という訳で、劇団ひまわり新潟エクステンションスタジオ 青年部研究科公演『十二夜』、すごく面白かったです!
お疲れ様でした!
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