◆「自分を売り込む」会話の進め方【1000万円の車を気持ちよく買ってもらう営業術(2)】
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(1)第一印象を良くする
城取: 自分を売り込むためには、まず、第一印象を良くすることです。身だしなみや言葉遣い、時間を守るなどの基本動作をきちんとする努力をしましょう。
(2)特別に対応する
城取: 「特別に対応すること」も有効です。私は呼ばれたらすぐに出かけたり、展示会に来ることができなかったお客様に、後日、当日配られた記念品を、「○○さんのために取っておきました」と言って渡すなどして、相手への特別感を出していました。
(3)成功体験を語らせる
城取: 私がよくしていたのが、お客様にご自身の成功体験を語ってもらうことです。すると、「よくぞ聞いてくれた」と、気に入っていただけます。
――お客様に成功体験を語ってもらうには、どう質問すれば良いのでしょうか?
城取: まずは仕事の話を聞きます。「事業をここまで大きくされるなんて、すごいご努力があったんでしょうね。どのようにされたんですか?」など聞いていましたね。
仕事の話ばかりでは続かないと思うので、話が途切れた時には、応接室で目に入ったものについて聞きました。例えば、私が、「○○さん、トロフィーが飾ってありますが、あれは何のトロフィーですか?」と聞いたとします。するとお客様が、「ゴルフだよ」と答える。そして、私が「ゴルフお得意なんですか?」と質問を重ねる、という具合です。
お客様が「気が合うな」と思って下さったら、関係はさらに良くなりますから、どんなことでも良いので質問して、相手に語っていただくことです。
その際に、相手から純粋に学ぼうとする心も大事です。私の取引相手には、社長さんなど、仕事で成功された方が多かったのです。成功とか、成功者に心底興味があったので、純粋に相手から学ぼうと色々聞いていたところもありました。そうした姿勢に好意を持たれたのだと思います。
(4)本題を切り出すタイミングは普通でいい
――お客様に、成功体験を語ってもらった後、本題である商品の話を切り出すタイミングが分かりません。
城取: 「ところで」と、普通に切り出せば良いと思います。お客様も、営業で来たということは分かっているはずです。カタログを出すなど、相手にも分かる素振りを見せたら、自然に話を聞いてくれます。話題が変わる唐突感は、あまり心配しないで良いのではないでしょうか。
(5)会話からニーズを探る
――そこから、商談成功に持っていくためには、どのようなステップを踏んでいけば良いですか?
城取: 会話の中から、お客様が必要としているものを探ります。お客様が答えたものに合わせてセールストークするわけです。
例えば、車の営業の場合、「交通事故の経験はありますか?」とお客様に聞いて、「ない」という答えであれば、「安全運転なんですね」と、さらに運転しやすい車であることを説明します。「事故の経験がある」という答えであれば、安全性の高い車であることを説明します。
また、お客様の車を見て大事に乗っている感じを受けた時や、お客様が「長く乗る」とおっしゃった時には、「ずっと新車のような乗り心地です」と、耐久性の高いことを話します。すると、「ベンツは価格が1.4倍ぐらいしても、10年先を考えたら安い」ということで、買われていくわけです。
他にも、お客様に、今の流行を伝えて、商品に興味を持っていただく場合もありました。例えば、「ヨーロッパでは、四輪駆動のベンツのゲレンデバーゲンに乗って、タキシード着てパーティに行くのが流行りらしいですよ」と言うと、「自分も買いたいな」となる方もいましたね。
相手に合わせずに、こっちが最初から決めていたものを勧めても、うまくいった試しがありません。
また、自分が勧めているものが一見、「相手のニーズに合ってないかな」と思う場合もあるかと思います。そういう時は、お客様に「素晴らしい未来像」を提示することによって購入につながる場合があります。例えば、「このように使うと、あなたの生活は○○のように素晴らしくなります」という勧め方です。
(6)選ばせるように一押しする
――商談をまとめる際の最後の一押しは、どうされていましたか?
城取: お客様に、お得な条件を提示して、「これで良かったらよろしくお願いいたします」という言葉で勧めていました。
例えば、「今だったら、お客様が今乗っている車を、100万円で買い取れます。この条件は、今月いっぱいまでです。また、ご希望の○色のベンツは、今月1台しかありませんので、予約は後3日間です」というような条件を提示して、買うか買わないかはお客様の選択という形です。
「買って下さい」という言葉は、押し付けがましく感じられてしまうので、使いませんでした。「これで良かったらよろしくお願いします」と勧めるのは、お客様も自分で選べるから、気持ちよく買っていただけたのだと思います。