始めに断っておくが
本作はトランプ氏との大統領選挙後に思いを吐露し
「ベストセラーとなったあの書籍」
(ヒラリー・クリントン著『何が起きたの?』)
とは全く違う。
書かれた内容は、それ以前・・・
オバマ大統領との「民主党氏名争い」の後(のち)
オバマ氏の要請に応え
「国務長官」として仕事に当たった
その時期を描いた『彼女の奮闘記』なのだ。
もちろん本書は
熾烈な「大統領指名争いのお話」から始まり
国務長官としての「世界での裏話」
そして、各国要人
(プーチン、中国共産党指導部やEU首脳など多数)
とのエピソード、そして「彼らとの駆け引き」までもが、
刻銘に描かれている点がコトのほか面白い!
これこそ、世界情勢を知る上では
『もってこいの教科書』であり、
アジアやアラブ・中東問題、戦争、人権問題まで
それこそ「0(ゼロ)」から、
我々に楽しく、しかも分かり易く教えてくれるゾ。
なにより本書では、
『ユーモラスに語ること』を忘れないヒラリー。
そのお陰で「上下巻・2冊組み」という
脅威の大ボリュームを、あなたも
一気に読んでしまうであろう。
ココで本書にある『面白いエピソード』を語る事は
次なる読者様の妨げになってしまうので控えるが、
私は数多ある「トランプの暴露本」
(ヒラリーの物も含め)
よりも、ずっと面白いと思い、
今のタイミングで読み返してみた。
やはり、元々持っていた
『アメリカの価値観』というものが
今のトランプによって
「完全に崩れた」と分かる点が
本当に新鮮であり、興味深い。
『人権や人種、女性・子供たちを大切にして来た』
そんなアメリカは今や遠くへ行ってしまった様に思う。
「本当に同じ国なのか?」
とさえ思えて、改めて私はハッとした。
日本でも「利己主義が覆う」そんな現在・・・
「生き難さ」を感じる人も多いはずだ。
『理想と現実は違う』と人は言うが
ヒラリーが持つ『理想的社会』を実現出来たら
どんなに良い世界になることか!
前回の大統領選挙で
「ヒラリーが勝っていたらなぁ・・・・」
って今読んでも思い、大きな喪失感が甦る。
ちなみに本書では今回の民主党候補
「ジョー・バイデン元副大統領」
も、当たり前だが頻繁に登場しているので、
『彼の行い』を知るにも、
今こそ読むタイミングとして、最適だ。
「『ジョーバイデン』に勝ってもらわないと!」
と思えちゃうハズよ(笑)!
「世界は複雑に動いている・・・・」
しかし、今のトランプ下ではコレが単純化され
『自国第一主義』に陥ってしまった・・・・
アメリカ国民だけでなく、全ての人間が
『大いなる反省』を持ちながら読むべき書であろう。
本書は決して『政治』だけの話に終始するわけではなく
大きくは『愛』『平和』そして『生きる哲学』
という大きな題材たちが
いとも簡単にユーモアと共に混ざり合った
傑出した名書籍である。
きっとあなたの本棚にも
『欠かせない一冊』
となるであろう。
《編集長「Mash」筆》