今回はヴァイオリンとピアノによる『デュオ・リサイタル』から1曲取り上げようと思う。ヴァイオリニスト『高橋孝子』とピアニスト『小門(こかど)敬子』が競演した唯一の盤『Duo Recital 2003』からオープニング曲『Promenade ヴァイオリンとピアノの為に』である。
さて、晩年は若手の育成に力を入れていた両氏が約20年前の2003年に行ったバリバリのライブ録音(と言っても『高橋氏 59歳』『小門氏 62歳』時の録音)であり、この『田鎖大志郎』のペンによる曲は『実にアヴァンギャルドで美しい!』。「素晴らしい!」のひと言である。とにかく、曲も演奏も抜群の仕上がりであり、何度も何度も聴き返してしまう・・・そんな病み付きとなる曲なんだよ!今こそ「多くの音楽ファン必聴!」と声を大にして言いたい曲である!
消え入る様なヴァイオリンの音色からスタートし、ピアノとの対話形式で曲が進む構成を作曲者である『田鎖氏』は「日誌(音誌)?コラージュ風?」とブックレットにおいて記しているが、中盤には両者が美しく絡み合いながらも、対話形式と絡み合いが行ったり来たりする複雑な構成が見事であり、緊張感を保ったまま両者の卓越したサウンドメイクが光り、その緊張感を保ったままのエンディングは見事としか言い様がない。とにかく名演である。
俺はクラシック音楽でさえ、ポピュラー音楽の方面から聴く人間であり、Jazz,Blues,Rock,Popsなどと同列に語る事を良く思わない方もおられよう。ただ、どれも『ただの音楽』に変わりはない。『気持ち良かったり、感動が出来るのであれば、ジャンルによる優劣はない』ものと考えている。そして俺自身がギター弾きである手前、この曲にアドリブでエレキギターを乗せる・・・そんな『仮想セッション』をも大いに楽しんでいるということを付け加えておこう。音楽は楽しく、なんでもありなのだ。
約9分30秒というこの1曲をヤリ切った後(のち)、両氏はプロコフィエフやリヒャルト・シュトラウス、そして最後はショパンのノクターン「遺作」を持ってライブを締めくくるわけなのだが、どうしても俺としては今回ご紹介した『Promenade ヴァイオリンとピアノの為に』の演奏、そして曲展開、それらに心を奪われ続けてしまうんだ・・・圧倒的に素晴らしいのだよ。
残念ながら本盤はマイナーレーベルから出されたCDであり、現在では入手が困難なのかもしれない・・・だが、もしどこかで見付けたならばゲットして、是非聴いて頂きたい。俺も偶然手にした盤なので、読者諸君にもきっとチャンスが訪れるであろう。
じゃ、今日はココまで!次回もお楽しみに!
《編集長& Jerry's Guitarオーナー「Mash」筆》
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