ハイ!ごきげんよう!読者諸賢!
無事『ボブの大阪公演のチケット』をゲットして
まずは、一安心のハウリンメガネである。
今回からは先週、編集長が予告したとおり、デヴィッド・クロスビーへの追悼の意を込め、数回に渡りフォーク・ロック、カントリー・ロックの重要バンド、バーズについて取り上げていく次第。
(しかしジェフ・ベックといい、鮎川誠さんといい、リアルタイムに聴いていた先輩方が亡くなっていくようになってきたのだなぁ……敬愛する諸先輩方、長生きしてください……)
最初の今回はやはり初期バーズ、
オリジナル・バーズから始めるべきだろう。
ジーン・クラーク(vo,g,Tambourine)、ロジャー・マッギン(vo,g)(この頃はまだジム・マッギンを名乗っている頃だが、筆者はロジャー呼びに慣れてしまっているのでここではロジャーで統一する)、デヴィッド・クロスビー(vo,g)という三声コーラスのできるフロントマン3名に、リズム隊のクリス・ヒルマン(b)、マイケル・クラーク(dr)というのがオリジナルバーズのメンバー編成となる。
アルバムでいうと、メイン写真に有る「ミスター・タンブリンマン」、「ターン・ターン・ターン」の頃である(余談になるがこの「ミスター・タンブリンマン」、ジャケ裏にマッギン、クラーク、ヒルマンの直筆サインが……!
(写真下、ただの自慢です)
現代ではフォークロックの大家として名を残している彼ら。
『ボブ・ディランとビートルズの架け橋』とか、『ブリティッシュ・インベンションに対するアメリカからの回答』だとか色々な形容詞はあるが、この時期のバーズについて、敢えて一言で言い切ってみよう。
めっちゃビートルズ。
そう!初期バーズの最重要キーワードは『ビートルズというワンワード』なのである。
バーズというバンド(特にロジャー・マッギン)はそれまでフォーク畑で演奏していたシンガーソングライター型の人間が「ビートルズ・ショック」で「俺もビートルズになりたい!」と集まって出来たバンドであり、自分たちがそれまでプレイしてきたバックボーンであるフォークミュージックをいかにビートリーに演奏するかに腐心していたバンドだといっていい。
「ミスター〜」と「ターン〜」の2枚はそれが特に顕著で、サウンド、アレンジともにビートリーの一言に尽きるのである(コードの使い方やタンバリンの入れ方など、モロにビートルズだったりする)。
機材もかなりビートルズに寄せており、その中でもロジャーが常用する12弦リッケンバッカーはビートルズ、ジョージ・ハリスンのシグネチャーサウンドのようなもので、あの特徴的な響きが聴こえただけで「あ、ビートルズ」となってしまう主張の強い楽器なのだが、そんな事は百も承知で「これがいいんだ!だってビートルズになりたいんだから!」とでも言わんばかりに全面に出しているのだからロジャーのビートルズ好きも相当なものである。というかロジャーがこのギターを買ったきっかけも、バーズを作ったきっかけも、映画「ハード・デイズ・ナイト」のリッケンを弾くジョージを観て「これだ!」と思ったからであり、バーズのそもそもの成り立ちの段階でビートルズ直系のバンドだったのだ。
ここまで読み進めた方は「では初期バーズはただのビートルズフォロワーに過ぎないのか?」と思うかもしれないが、答えは無論、否である。
先述のとおり、彼らは元々フォーク畑の人間。つまり、憧れはビートルズであっても、根本にはアメリカンフォークの素養がしっかり根を張っているのである。
この時期の代表曲、ミスター・タンブリンマン(勿論原曲はボブ)を例にとっても、原曲の素朴な魅力を崩すことなく、コーラスワークでハーモニーを豊かにし、ビートリーなバンドサウンドで曲に厚みをつけている。
ここのさじ加減がバーズは抜群に上手いのである。
この時代、「ビートルズになりたい!」といってバンドを始めた人々は文字通り、売るほど出てきたわけだが、その殆どは「ビートルズ」になりたいのであり、何某かのバックボーンを持ったうえでビートルズになろうとしたバンドというのはかなり限られる(逆にいえばデッド然り、そういうバンドが後世まで生き延び、名を残しているといえる)。
バーズもまさにそういうバンドであり、アメリカンフォークをバックボーンに、素朴なメロディや原曲の良さを活かしつつ、ビートリーに仕上げるセンスがバランスよく発揮されている。
いうならば、「ボブの曲をビートルズがやったらどうなるか?」という問いへのハイレベルな答えが初期バーズなのである(これを音楽紙的に書くと冒頭の「ボブ・ディランとビートルズの架け橋」や、「ブリティッシュ・インベンションに対するアメリカからの回答」という表現になるわけだ)。
つまり、ビートルズ、ボブ・ディランという2つの巨星による重力がアメリカンルーツの系譜に連なるミュージシャン達を引き寄せた結果生まれた、アメリカンフォークのメロディセンスとビートリーなサウンドの融合、それが初期バーズなのである。
バーズとしてのデビュー前の録音を収録した「Preflyte」(下写真)という盤があるが、
これを聴くと彼らが最初からこのバランスを取れていたことが分かる。つまりレコード会社の「ビートリーにやった方が売れるからやれ」という指示ではなく、元々ビートルズに憧れた、才能あるフォークミュージシャンが集まったからこういうバンドが出来上がったのだ。そう考えるとこのオリジナルバーズというのもやはり奇跡的なバンドだ。
そんなビートルズフォロワーの元フォークミュージシャン達はビートルズ同様、時代の波の中でそのサウンドを変容させていくことになるのだが……それについてはまた次回!お楽しみに!
【ハウリンメガネ・ライブインフォ】
3月25日(土)
深江橋Ks(大阪府大阪市東成区神路1-5-12 GALAXYビル7F・中央線 深江橋より徒歩3分)
OPEN 12:00
START 13:00
CHARGE ¥2,000(1ドリンク付き)
3月26日(日)
深江橋Ks(大阪府大阪市東成区神路1-5-12 GALAXYビル7F・中央線 深江橋より徒歩3分)
OPEN 12:00
START 13:00
CHARGE ¥2,000(1ドリンク付き)
両公演ともインフォは以下!
https://livecafeks-m.crayonsite.net/