さあ書こう!
勿論『Bob Dylan Japan Tour 2023』
その『東京公演初日』のレビューだ!
『本紙の記事up情報』以外の事は
滅多にツイートをしない俺が
突如としてツイートをしたので
驚いた方もいたと思う。内容は以下だ。
『いよいよ本日の大阪公演よりボブのブルースが炸裂する!そんな「Japanツアー」がスタートします!』
「大阪公演初日の日」
俺はこう書いた。
ちなみに、
ここで俺が言う『ブルース』とは
その音楽ジャンルだけでなく
『生き方』や『雰囲気』
はたまた、そのイベントに至るまで…
幅広い意味で使わせて頂いた。
長年の『ボブ通』ならば
きっとお分かり頂ける表現だと思う。
だって近年のボブはまさに
『全てがブルースマン』だから!
実際のところ『大阪公演』後には
俺の所にも様々な意見が届いていたんだ。
『最高でした!』
『あんなのボブじゃない…』
『大阪公演はリハーサルですよ!』
などなど…
もう、賛否両論!
名だたる『ボブ通』たちの間でも
これだけ真逆に分かれる凄さ(笑)
そんな中での4/11を観て来た。
というよりも聴いて来た…
と言った方がいいな。
会場の『東京ガーデンシアター』は広い!
キャパ8000人!
という『完全見誤り会場』を押さえた関係上
その客入りは群を抜いて悪い!
正直言って、スカスカです…。
『アリーナ席』
は、さすがに埋まれど
『スタンド(バルコニー1)席』
『スタンド(バルコニー2)席』
の半分は空席…
しかも中央部にお客様を集めた関係で
ステージに近い
『せり出し席』
にお客様はゼロ!
そして「大阪公演」同様
A席チケットの
『スタンド(バルコニー3)席』
は無いものとなり、アップグレードで
S席の『バルコニー2』に振り替えられる!
どう?早速ブルースでしょ(笑)?
俺は昔行った
アメリカのバッファロー公演を思い出した…
『遊園地の観覧車』
をバックに歌うボブ…
「あれもブルースだったなぁ。」
と、一列に俺ともう一人しかいない…
そんな空席だらけの
『ガーデンシアターのスタンド』
で思いを馳せていた瞬間、
ステージに彼らが!
待望の東京公演初日の夜は
キッチリ19時開演の100分公演!
先にセットリストを!
《セットリスト》
1 Watching the River Flow
『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット 第2集』
2 Most Likely You Go Your Way and I'll Go Mine
『ブロンド・オン・ブロンド』
3 I Contain Multitudes
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
4 False Prophet
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
5 When I Paint My Masterpiece
『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット 第2集』
6 Black Rider
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
7 My Own Version of You
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
8 I'll Be Your Baby Tonight
『ジョン・ウェズリー・ハーディング』
9 Crossing the Rubicon
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
10 To Be Alone With You
『ナッシュヴィル・スカイライン』
11 Key West (Philosopher Pirate)
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
12 Gotta Serve Somebody
『スロー・トレイン・カミング』
13 I've Made Up My Mind to Give Myself to You
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
14 That Old Black Magic
『フォールン・エンジェルズ』
15 Mother of Muses
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
16 Goodbye Jimmy Reed
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
17 Every Grain of Sand
『ショット・オブ・ラヴ』
それじゃ、
前代未聞のほぼ全曲レビューへ行くぞ!
「Watching the River Flow」
ショーのオープニングは
各自チューニングチェックや音出し。
ボブ歌い出すも声が小さく、PAも小さい!
声も弱々しい…。
そして、なぜか
「大阪公演では落ちた」
と言われている
『客電』が落ちない!
『明るいままの空席目立つ客席』
が、場末感を引き立てる!
バンドのサウンドも悪い…。
率直に言おう
『いやぁ、予想以上に場末のブルースバンド感がスゴイ!』
曲後のオーディエンスの拍手もまばら…
いよいよ
『場末のバーで聴いているみたい』
な錯覚に陥る…。
3 曲目の「I Contain Multitudes」
まで、大体こんな感じだったけれど、
徐々にこの曲の途中から
ボブの声が良くなり、
ピアノのアタックも音も強くなる!
曲後に「サンキュー」と声を発し
会場が柔らかくなったね。
続く「False Prophet」では
『調子が出て来たブルースバンド』
的演奏でボブの歌も良い!
ピアノはズレるがグルーヴィな部分も出始めた!
「When I Paint My Masterpiece」
出だしで美しいヴォーカルを聴かせ
ボブのピアノが間奏でヒートアップしながら
バンドを引っ張ろうとする場面が観られるものの
まだまだバンドのバランスは悪いまま…。
ただし
ボブがベンドを効かせたブルースハープを吹き
曲を一変させることに成功!
この裏で聴こえるジェリーのドラムは
ドコドコと音頭系で攻めて際立たせる!
会場は一気に良い雰囲気に変わる!
「Black Rider」
新しいアレンジを試すも、
バンドの緊張感は出ない…
ボブは歌い出しも良いし、ピアノも良い!
どうやらこの日のボブは
『バンドが悪いとピアノで変化を付けようと
アタックを強くしてゲキを入れる』
みたいだったね。
ただしバンドは平坦なまま…
ボブが良いだけに残念だ。
「My Own Version of You」
サンキュー!と声を出して始めた不気味曲(笑)
これが意外にも良い!
後半部のプレイ&ストップの演奏場面では
ボブの歌とバンドが噛み合って一瞬の最高点に!
その後ボブは
「ピンポンパンポン」
とアナウンス的な?
同じピアノフレーズを永遠と繰り返し
ユーモラスに仕上げた。
「I'll Be Your Baby Tonight」
ボブ、オープニングのピアノ弾き語りがイイ!
少し笑いながら歌い、ブルースサウンドへ!
バンドはようやく良くなりつつある。
これに気を良くしたのか
曲後にここでメンバー紹介を入れて来た!
「Crossing the Rubicon」
ユーモラスなメンバー紹介後の影響か
バンドは急にリラックスした演奏へ!
ブリッジ部のバンド演奏がラウド&グルーヴィ!
俺も、ついつい声が出るくらい良い!
エンディング付近での再ブレイクもgood!
「To Be Alone With You」
ジャグバンド風の演奏に
全員ではないものの、お客様から手拍子が!
温かい雰囲気でボブとバンド内で笑い声も出る。
リラックスした良い演奏だった!
「Key West (Philosopher Pirate)」
入りが悪く良い曲に聴こえて来ない。
しかしバンド演奏が悪いと
ボブはピアノを強める!
そこからバンドも立て直し緊張感も出て来た!
ボブのピアノ
時々音を外し変な音も出すのだが
音は美しく音楽的!
始めが嘘のようにセレナーデみたいになる!
ドラムがタイトに打ちシンバルも美しい!
後半のたどたどしいピアノとギターによる
絡みも美しく、実にイイ!
ボブ後半途中から
「ピッピピン」
とこれまた1つのピアノフレーズを永遠と弾く!
自身のヴォーカル部も弾き続け
ラストまでピアノフレーズは続いた!
どうやら、大笑いしているのは俺だけの様だが、
とてもユーモラスで実にボブらしい!
「Gotta Serve Somebody」
ゴスペルブルース風からロッカブルースへ!
ブリッジ部もグルーヴィでバンド演奏もタイトだ!
ボブの歌もピアノも素晴らしい!
シンバルのアタック音は美しい余韻が残る!
俺にとってはこの日のベストソングだね!
やっぱり声が出てしまうぜ!
ゴスペルツアーを思い出す。
「I've Made Up My Mind to Give Myself to You」
ボブの声が伸びて美しい!
ピアノも美しく嬉しくなる!
途中演奏が消えていくところで
パタッと入るスネアと
薄く入るトップシンバルが絶妙!
「That Old Black Magic」
ここでもジェリーのドラムが冴える!
アタックを強く入り抑え気味になり歌へ!
この感じ素晴らしい!全体的にgood!
「Mother of Muses」
一転して声の出が少し弱く
低音域が出にくそうなボブ。
ただギターハーモニクスとピアノの合致した場面は
素晴らしく美しい!
歌で原曲の良さが出ていないのは残念だったが
きっと今後もっと良い公演日があるだろう。
「Goodbye Jimmy Reed 」
ボブの歌は入りがズレながらも
リズム部分から歌がupしてくる!
バンドはドスドスとしたドラムに引っ張られ
どんどんと音量が上がって行く!
そんなブルースアレンジがエグイ!
ノリ過ぎて少し危なっかしいエンディングも
それはそれでイイと思うゾ!
「Every Grain of Sand」
あくまでも想像だが
「なんとか東京初日を終えた〜」
と安心したのか?
その途端にボブのピアノがズレる(笑)
ただし終始リラックスした演奏で
ラストヴァースのボブの声は最高だった!
とまあ、100分間1本勝負を終え
『今のボブを表したライブ』
であったと思う。
過去に腐るほどボブを観て来た俺だ。
『80オーバーのボブを受け入れる』
のは、それほど難しい事ではない。
もし読書諸君が
このボブ来日公演を
「行くか、行かまいか」
で迷っているのなら、
『80過ぎのブルースマンが奏でる美しい音楽会』
と考えて欲しい。
ボブの「ロック的カリスマ性」や
時代を担ったアイコン的役割は
当然ながら、もはや存在していない。
今ここにある者は
『過去を振り返らない80過ぎの偉大な現役音楽家』
としての、堂々とした姿だけである。
それでは、今夜も会場でお逢い致しましょう!
《 Mash 筆》