12の楽しみ!

ここでは色んな楽しいことをランダムにアップしていきます。

常念岳 前編 2020-10 

2020-10-24 15:40:44 | 

今年のメインイベント山歩き。常念岳から蝶ケ岳を周回。なので一の沢コースではなく、三俣コースを取る。このコース、日帰りで回る健脚者や山ランナーもいるけど、山の景色や自然からのエネルギーをたっぷり味わいたいので1泊する。でも小屋泊まりだけど(笑)。

常念岳は百名山。蝶ヶ岳は花の百名山。どちらも人気の山である。人気の山だけあって、御嶽山同様こちらも駐車場はいつもいっぱい。平日でも朝5時前にいっぱいになるらしい。現地入りをどうするか色々考え、今回は仕事の後、夜走って車中泊(仮眠)することにした。

着いたのは1時過ぎ。帰る人はもういない時間。上で泊まっているか早めに着いている人たちの車しかないはず。上手くいけば空いているかもしれない。と期待を寄せて駐車場へ。計画成功! 車はやはり多いが、チラホラと空いている。仮眠するのに出入り口近くはざわつくと思い一番奥まで進む。ラッキーなことに1台分開いている。トイレ、水場にも近く好都合。朝まで仮眠だ。

 

さて、前回(参照:御嶽山)くるぶしが痛くなった新靴。100円ショップで各種いろいろ中敷きを買って調整した。しかし足裏全体が上がると前の方が窮屈になる。スノーボードをする知人からヒールを上げて調整すると聞いたので、中敷きを背半分に切って踵部分だけを重ねる。1枚、2枚と重ね、ある組み合わせで3枚重ねた。『よし、痛くない』バランスをとるために右靴にも入れた。中敷きを半分に切ったためちょうど土踏まずのところに段差ができた。青竹踏みみたいな感じ(笑)。まあ痛くないから良しとしよう。今度テーパーのついたものに交換だ。

 

 

明け方近く、ゲートを開けて奥まで入っていく車がある。登山指導のスタッフだ。その前後から続々と登山者が山に入る。今日の予定は、常念岳登って常念小屋泊りだから焦らない。パンとコーヒーを食しトイレも済ましてから出発。

林道を歩いていくと登山届を出すところに来た。先ほどのスタッフがアドバイスもかねて登山届をチェックしている。

 

 

沢に掛かる橋を渡ったところで、蝶ヶ岳と常念岳への道が分かれる。蝶ヶ岳は本流の沢沿いを歩くようだが常念岳の方は右に折れ、支流の沢からすぐ山の中へ入っていく。そこに人が沢沿いに降りて来た。この早朝に下まで降りて来たのか? 挨拶すると開口一番聞かれた『常念岳に行かれます?』。『はい』と答えると『道はどこでしょう?』と、『えっ?』

 

 

登山道は沢から離れて山へ入るのだが、その人は沢沿いに登っていき道が無くなったそうだ。三俣コースは険しいと聞いていたので、こんなものかと思って登って行ったのだがいよいよどうにもならなくなり降りて来たとのこと。道間違い。1時間少しロスしたらしい。まあ、4時台の暗闇で登っていけば間違えそうなところ。まして初めての山であれば自分も間違うかもしれないと思った。迷ったら確認。デジタルとアナログ両方の地図で確認したい。その人は正しい道をそのまま登って行った。

 

 

常念岳への登りが続く。杉林でないだけまだ良いが稜線に出るまでそこそこ掛かる。また、段差が大きく木の根っこなどが露出していて足を高く上げて超えていく。山ランの人がこちらを下りに使うのが分かる気がする。走れないからだ。

 

 

巨樹の倒木も多い。森の更新。

 

 

高度が上がると紅葉がちらほらと見え始める。キレイだ。

 

 

黄色が艶(あで)やか。

 

 

木立の隙間から遠くに蝶槍が見える。

 

 

赤も良い感じ。

 

 

さらに高度を上げる。樹林帯を抜けた。『おー』思わず声が漏れる。前常念が見える。

 

 

振り返ると安曇野の町が見える。

 

 

紅葉が見ごろ。青空が欲しかったな(笑)。

 

 

ここからしばらく岩稜歩きだ。初めてだと緊張すかもしれないが、スパッと切れ落ちているところはないので浮石と岩の隙間だけ注意して行けば楽しい岩場。瞬時に岩を見極めて足の置き場を判断する。新靴のソールがまたよく効く。今までの滑りまくりは何だったのかと思う(笑)。両手も使ってぐんぐん登る。たまに岩場でもストックを出している人を見かけるが、普通に手を使ったほうが楽で安全であると思う。ストックを持ちながら岩を手で押さえて下るのは登るよりリスクが高い。

 

 

ペンキマークを見落とさないように。

 

 

上部に人影が見えた。あそこまで追いつこうと思っていたら途中で出会った。降りてきていたのである。こちらの3人パーティー、確か駐車場で見かけた人たちだ。立ち話をする。日帰りピストンで常念岳の予定が岩場に戸惑って辞めることにしたらしい。避難小屋まではと思ったのだが、天気が微妙なので降りる決断をしたとのこと。天気はガスが湧いて午後から崩れる予報である。今は何とか持っているけどさっき、ぱらぱらと雨が来た。

慣れない岩稜歩きで三俣コースをピストン、天候不安、そして自宅まで帰るとなると降りる判断は正しいかもしれない。山は逃げない。体力は逃げるけど(笑)。

 

避難小屋。

 

 

避難小屋近くのモニュメント風岩峰。近寄りたかったけど手前が崖なので行けない。

 

 

勾配が緩くなり一息つく。まだ岩場は続くが特に問題はない。眼前に常念岳がそびえる。もう少しだ。ガスは相変わらず湧いてくるが、風もあり切れ間に穂高連峰を眺める。いつかは縦走したいな。

 

 

穂高連峰。左端の西穂高岳は昨年登った。

 

前常念より

 

 

うっすらと見えるのは立山(左)と劔岳(右)。

 

 

頂上と小屋への分岐まで来た。明日は常念岳から蝶ヶ岳への縦走だから頂上は明日でもよいのだが、ここまで来たら登っておこう。明日の天気次第では残念かもしれないから。最後の登り、縦走しない人は分岐にザックをデポしていく人もいるが自分は背負ったまま登る。サブザック持ってないかったので(笑)。石ころだらけのガレ場。浮石に注して登り頂上に着く。写真でよく見る祠と常念岳の板。結構重い。

 

 

さっきまで槍・穂高が見えていたのにガスに隠れた。残念!

 

 

蝶ヶ岳へ延びる稜線を眺めながら思いを馳せる。明日は、朝方雨予報だが早く回復することを願う。

 

 

ガスが深くなってきた、常念小屋に向かおう。眼下に小さく赤い屋根が見える。見えてる目標ってなかなか近づかない法則に従ってガレ場をかなり下る(笑)。相方が遅れ始めたが視界には入るので、先に安全なところまで下りザックをデポし登り返す。ザックを預かりガレ場を下る。体力的な問題はケガや事故につながるので様子を見てサポートする。時には撤退も考える。

 

 

小屋まで来ると入り口にアルコール消毒が置いてある。全国的に山小屋は大変である。受付を済ませ案内される。大部屋だがグループごとに間仕切りがしてある。余裕の時間で小屋に入れたので、少しお昼寝。夕食までまだ時間がある。天気が良ければ外に出て一杯やりたいところだが、ガスっていて風も強い。食堂で下界から運んだ缶ビールを開ける。人心地。天気予報は曇りから雨マークになっている。前線さっと通り過ぎてくれないかな。

この日の宿泊客は少なかったのでグループごとにテーブルが分けられた。ソロの人も隣とは十分な間隔で食事。食事中のアルコールは禁止であった。

 

 

就寝するまで暇な時間である。談話室でもマスクのせいで他人(ひと)と気軽に話すのが少し面倒。持ってきたウィスキーをやりながらテレビを見るともなく見る。周りの人は備え付けの漫画を読んでいる人、イヤホンで音楽聞いている人、明日の計画練っているグループと色々。一度、外に出てみる。雲が流れていくその隙間に星が見える。ひょっとすると明日は天気回復するかもしれないと期待を膨らませて早めに布団に入った。

 

夜中に目が覚める。すごい雨風、台風並み。朝には止むのかと思いながら浅い眠りを繰り返す。朝が来た。嵐の後の快晴と言いたいところだが、残念ながら風雨は強い。朝食は5時からだが誰も起きない。しばらく停滞になるのが分かり皆さん遅い。『朝食の準備できてますので、券をもってどうぞ』とスタッフが起こしに来たぐらいである。(笑)。

 

朝食を終えて、部屋に戻る。聞こえる会話のほとんどが一の沢への下山である。午後からは晴れてくる予報であるが、蝶ヶ岳へ向かうかどうか悩む。帰宅までの時間配分からして遅くても小屋を6時には出たい。と思っている間も風雨は続きあっという間に時が過ぎる。蝶ヶ岳は諦めよう。次に考えるのは下山コースだ。車の停めてある三俣へ下るか、時間の短い一の沢に降りてタクシーで送ってもらうかである。相方の調子もいまいち。雨の中の岩場を下るのは少しリスクである。小屋のスタッフから8時半には全員退去をお願いしますと言われ荷物をまとめ玄関先まで下りる。

決めた。三俣へ降りる。雨は時期に止む、岩場も技術的には難しくない。相方の荷を一部背負う、かなり軽くなったようだ。小降りだがまだ雨は降っている。この稜線で雨に濡れるのは危険だ。カッパをしっかり着て出発。稜線にでる。風が強い!体感風速10mを超えている。

 

雨より風である。雲が湧き勢いよく流れていく・・・。続く