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愛知県立名古屋高等技術専門校窯業校

2024-02-14 11:40:49 | 陶磁

 先日、愛知県立名古屋高等技術専門校窯業校 の構内販売に出かかた。
長い名前だが、昔で言うところの窯業の職業訓練校である。

 
訓練生の1年間の成果として実習作品を展示販売する。ここ数年は、パンデミックで開催されていなかったようだ。
湯飲みやお皿、人形、花入れなど作品は様々。しかもかなりお安い値段になっている。
県税で運営されているのでそんなには儲けることはできない(笑)。
さて、なぜ出かけたかと言うと作品を買うためではない。恩師(指導員)に会うためである。
別に隠してはいないが自分もここの修了生である。ずいぶん昔の話だが(笑)。
出掛けた時間が遅めだったので作品はほとんど売れている。
 
 
 

自分が在籍していた当時の校名は、愛知県立窯業高等技術専門校 。製造科1,製造科2、デザイン科があって各科30名。
それに現在はない専攻科が10名ほど。計100名ぐらいの訓練生がいたが、現在は製造科30名、デザイン科20名で計50名と半分に縮小されている。
大きな要因は、せとものの町瀬戸において、残念なことに窯業の仕事が激減しているためである。せっかく愛知県税で訓練しても仕事がないため、お隣岐阜県に人材が流れているのである。
これは県としては残念過ぎるので、窯業校廃止かとささやかれたほどだ。💦

(参考:瀬戸市)
 
 
入校するには選考試験がある。自分の時は筆記試験、デッサン、そして面接だった。筆記試験は簡単な数学があったことを覚えている。他は英語だったかな?デッサンは自分の手を描く課題。鉛筆を忘れてシャーペンで描いたのを覚えている(笑)。面接は、入校の動機とか聞かれるのだが、職業訓練校なので、窯業に携わりたいとか、瀬戸で働きたいからとか答えるのが普通。間違っても陶芸家になりたいと言ってはいけない。それは芸大や美大の話。陶芸家になりたいと言って保留だった現友人を知っている。定員に空きが出たため追加合格となった(爆笑)。
 
 
 
製造科1は30歳までの人が対象で製造科2はそれ以上の年齢の人。デザイン科は特に年齢分けはない。
学ぶ内容は、陶芸ではなくあくまで窯業。食器工場などで働ける人材の養成である。しかし製造科は轆轤(ろくろ)の授業があるのでとても人気だ。面接では言わないが、陶芸家になりたいと思って大半の人が来る(笑)。一方デザイン科は、染付(そめつけ)や上絵(うわえ)と言った絵(筆)の技法を中心にいろいろ学ぶ。
専門校が轆轤以外にとても人気がある理由が2つある。1番はやはり授業料が無料ということだ。作業服的なものは必要だが、基本、授業料は無料である(一部有料あり)。2つ目は公立の窯業専門校が瀬戸と京都と全国に2つしかないからである。そして京都は、ホントかどうか?口利きがないと入れないと言われていた。京都を受けようとして、どなたか陶芸家か京窯元のお知合いいますかと聞かれたそうだ。
 
 
 
製造科1の選考倍率は3倍ぐらいはあったらしい、よく合格したものだ。😀
訓練生は、東海3県(愛知・岐阜・三重)のほか、東京や北は北海道、南は九州からと全国から来ていた。
転職のため、窯元の跡継ぎ、美大出の人もいれば、高卒の新卒もいた。実に様々。
 
訓練は座学と実習。座学では、窯業全般のほか、釉薬や土などを学ぶ。しかし皆の関心はやはり実習。
製造科の訓練は、大きく3種類。窯業としての訓練なので工場に近い。石膏型への鋳込み、機械ろくろ、そして轆轤。
多くの人間が轆轤(ろくろ)をやりたくて製造科に入る。
しかし全く土を触ったこともない人もいる。土練りから入るのだが、数日は土練り。できる者にとっては退屈(笑)。
 
(参考:大数建設)
 
 
 
 
轆轤はかなり訓練した。伊賀焼の窯元の跡継ぎがいて、お互い競い合った。😁
同じサイズの湯のみをひたすら挽く。練習なので焼かずに粘土に戻される。
そんな時間が極めて貴重なのだ。
おかげでその当時はそれなりに轆轤を挽くことができた。もちろん技術に終わりはないけどね。
窯業の職業訓練は、1年で修了となる。1年ぐらいでは大した技量はつかないが、それぞれ食器工場に就職したり、手作り窯元だったり、変わったところでは原料屋だったり、いきなり一人立ちしようとする者もいた。
自分は、製造科が終わって弟子入りの話が来た。好きな備前焼。ある陶芸家の元へ話を伺いに岡山まで出かけた。
少し悩んだ結果、備前弟子入りは丁重にお断りした。師弟関係が大変そうというのもあったが、備前に入れば備前一筋になる。
釉薬を使ったり、絵をかいたりと言うことがほぼない。と総合的に判断して備前はやめた。
 
 
最終的に同校の専攻科に行くことにした。現在はない制度だが、当時数名だけ科を入れ替えて訓練を続けることができた。製造科にいると絵付けなどは全くやらなかった。反対にデザイン科にいると土を触らない。素焼きされたものに絵付けをするからだ。せっかくなので両方学びたいと思ったのである。記憶があいまいなのだが、一応専攻科のための試験があった。土練り時間も含めて、2時間で切立ち湯呑50個を作る。トンボ、コテ、ヘラの道具も使う。だったかな~(笑)。1個2分ぐらいで轆轤を挽かなければならない。かなり集中したのは覚えている。😎
 
(参考:大数建設)
 
 
 
デザイン科で、染付を学ぶ。これがかなり難しい。ダミ筆と言う筆がある。簡単に言うと習字の太筆をもう少し太くしたようなもの。細筆で輪郭を描いた(骨描きと言う)中を塗るのだが。普通の絵具ならまさしく塗るになるが、ダミ筆は違う。顔料のゴス絵具をたっぷりと含ませた筆。傾けると筆先からぽたぽたと滴るぐらいにして器に、ここが重要なのだが、筆先を器に付けない!表面張力で絵の具をのばしていくのである。しかも失敗は許されない。轆轤と同じくらい練習しないと無理だと分かった(笑)。
 
 
 
ざっくりと、母校の話を書いてみた。😁
山の話ばかり書いているのに『陶芸ブログランキング』に登録しているのはそう言うことである(笑)。
終了してからの作陶生活はまたの機会にしよう。
そのうち新作や個展の案内がアップできるようにしたいと思いつつ・・・
 
あなた何者と時々言われるのでその一つを書いてみました。
興味のある方は、どうぞ愛知県立名古屋高等技術専門校窯業校
 
 
 
💖
 
 


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2 コメント

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Unknown (ゲンゴロウ)
2024-02-14 16:33:50
瀬戸市にこんな学校があることを初めて知りました。
興味深くじっくり読みました。
実習生の作品を買えるって行ってみたくなります。
OBですと懐かしく感慨深いものがあるのでしょうね。
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Unknown (12yuzo)
2024-02-14 18:53:42
そうなんです、知る人ぞ知る学校かな(笑)。芸大も良いですが、訓練校で技術を身につけるのもありですね。
当時お世話になった先生がまだお一人だけ残って見えて、顔見世です。😄
来年は、どうだ!と言える作品を報告できるようにしたいところです。
即売会、来年お知らせします。忘れてなければ。😆
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