葦牙の北方季題選集95ページに面白い季語がある。アマッポでアイヌ語が語源のようである。紹介する。
獲物の通りそうなところに、弓矢や猟銃を仕掛けて、弦や引き金から紐を引っ張る。獲物がこの紐に触れると矢や弾が発射されて、獲物を倒す一種の罠である。矢にはトリカブトからとった猛毒のブシなどを塗る。据え銃、据え弓である。この方法で狩猟をすることは危険なので、今日では禁止されている。 禁犯すアマッポここだ拓地奥 堀内素耕 アマッポに熊の径ある樹叢かな 辻岡一羊
季題選集で知る前から北海道の先輩猟師に聞きアマッポを知っていた。それも口(くち)アマッポである。餌に火薬と鉄片を仕掛け通り道に置いておく。食べると口の付近が爆破され獲物が得られる。獲物とはヒグマである。この方法では胴体が痛まず、肝は高価に取引されるので盛んに行われたそうだ。破裂した頭部を見るとどのような方法で獲ったか分かるので口の周りの皮は剥ぎ取った。和人が変だと尋ねると、口の周りの皮を剥ぐのはアイヌの風習だと答えたそうだ。彼らも狡猾である。現代ではこの猟法は一切行われてなく、季語にのみ存在するから写真はない。
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