近年、国土交通省から建物保証制度が義務化される事となったが、はたしてこれは消費者にとって利益をもたらす法律となるかどうかが疑問に思える。
国土交通省が建物保証制度にまで介入する事により、国土交通省の組織に利益をもたらす事は間違いないだろうが、保証がエスカレ-トしこの制度を利用して利益を計ろうとする企業がでる可能性は高いとも言える。
今年に入り、立て替えの為45年前の鉄筋コンクリ-ト二階建てと木造平屋の二棟を解体した。
地盤は粘土質ではあるが、建物の中では最も重い
コンクリ-ト造も45年間で沈下もなく、地耐力はこの建物を支えるには充分の耐力を持っていたと言える。
今回、その後に建てる建物は、木造平屋建てで、鉄筋コンクリ-トに比べれば五分の一程度の重さ程になるだろうが、国土交通省が定めた基準に20KN以下の場合安全対策を講じなければならないと定められているが、これは建物の重さに関係なく、平屋の建物でも、3階の建物であっても、建物の規模に関係なく定められた基準となる。
今回の平屋建ても、この基準のため杭打ちをしなければならない調査結果が出てしまい、保証会社が設計した杭本数は52本が必要との報告書が届いたが、杭耐力から逆算すると200㌧以上の重さに耐えられる耐力を保有する基礎となり、実際建てる平屋の建物重量は80㌧程度の重さしかない。
工学的判断により保証会社との交渉で、38本まで本数を減らすことで保証を付けてもらえる事となったが、何も知らない場合、52本の杭を打ってしまう事となっているだろう。
このようにして、保証は建築主にとっては保証を付けるために無駄な杭打ちを強いられてしまう結果となる。