テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

在りし日の、インフラ建設

2012-11-14 23:14:34 | シロートの戯言
一般には全く無名だけど、業界内では超有名な会社っていうのは、結構あります。
接着剤での野川ケミカルとか、流体搬送機器のGRACOとか、最近では村田製作所や中西金属工業、森精機のように、積極的にCI活動をする会社もありますが、松尾橋梁(現IHIインフラシステム)もそんな会社のひとつ。
瀬戸大橋はじめ、名だたる橋のほとんどを手がけた、橋梁建設では屈指の実績を誇る会社です。で、瀬戸大橋に使われた設置ケーソン工法というのが、海上でのその圧倒的な大スケール故に、記憶に残っています。
橋脚の基礎部分をある程度陸上で構築し、それを現地に運搬し、沈めて固定する方式で、巨大なケーソン(生半可なビルよりでかい)を、深田サルベージの巨大クレーン船が吊り下ろし、小型乗用車よりも大きな巨大水中ポンプで排水し、コンクリートでその巨大ポンプごと埋めてしまうという、その様子を記録フィルムで見せていただいたことがあり、埋められてしまう、特別仕様のまっさらのポンプが人柱に模された構成だったので、余計に印象深いものでした。一旦、海水を抜いた底にあるポンプを引き揚げるよりは、埋めるほうが安上がりになる(また、引き揚げても使い道がない)という、良い意味での大雑把さにも、せせこましくないコスト重視姿勢を教えられたのです。この勢いのままインフラ開発が進めば、やがては、関空(当時はまだ未完成)から紀淡海峡トンネルで淡路島、鳴門大橋をへて四国まで結び、平野部面積では、東京や名古屋に大きく劣る大阪に、大阪湾、神戸、関空、四国淡路を環状に結んだ生活経済圏が出来るだろうと夢想したものです。現在では、少子化の影響から、いわゆるグローバルな方向、外向きの方向でしか、発展の余地は無いかのように云われていますが、生活圏が拡大し、せせこましくて高い住宅事情などが緩和されれば、まだまだ日本国内にも伸びしろは有ると思います。
かの水中ポンプ、実物大のモックアップを見せていただいたことがありますが、こんなシロモノをいくつも人柱として埋めながら進んでいくインフラ建設、そんな怒濤の前向きの時代を少しでも知るものとして、現在の閉塞感には、焦燥を感じます。