テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

未来からのホットライン

2012-11-28 23:36:00 | 本、小説、漫画、動画、映画、音楽等
どこぞの仮面政党の話ではなく、故J.Pホーガンのタイムマシン物のハードSFの作品名です。
ホーガンの作品は、文庫で出版される度に読み続け、かなり好きで、理論詰めで迫ってくるサイエンスフィクションのセンスオブワンダーは凄く評価できるのですが、翻訳者に恵まれず、IR(赤外線)探査を「情報検索~」と訳したり、フェンシング用語のTouche! をそのまま「一本まいった」と訳したり、原文を見なくとも、明らかに誤訳であったり、貧弱な訳であったりが散見するので、いまいちリズムに乗りがたいところもありました。それでも作品中で組み立てられた空想科学理論は、ストーリーをグイグイと引っ張って、面白く読ませます。この作品中に、核融合発電の実用化実験が描かれていて、実はその方式には地球そのものを食い尽くす微小なマイクロブラックホールを生成するという驚天動地の欠陥があり、その過ちが、タイムマシン(未来からのホットライン)にて解決されるという結末です。
まあ、実際には、核融合発電は未だ実用化の端緒にすら達していなくて、上記のような心配は杞憂にもならないくらいなのですが、その以前の原子力発電については、深刻な憂いが世に満ちているようです。
ワタシは原水禁、原水協はじめとする反原発団体は、原子力村に寄生して利権を貪る団体だと考えています。中には真面目に安全を求めて行動しているひともいるのは知ってますが、エゴにまみれたコアがあるのも事実です。
本来なら、既存の技術で、安全な原子炉を作るのは可能です。ただ、コストという視点からは、既存の化石燃料がずっと安上がりなのも間違いないところです。
閑話休題、未来からのホットライン、で想起される未来、をごく真面目に考えてみます。つまり、何を未来に残すのか、何がその価値をもつのかです。有り体に言うと、歴史の審判に耐え、後世まで変わらぬ価値を持って継がれていくものは何かということです。おそらくそれは金銭や、証券、株券ではなく、実体のある富や、成果や技能、制度、作品、社会環境などであり、あるいは文化や知見そのものであるかもしれません。そのような、自分で思い描くことの出来る理想的な未来は、何を欲しがっているのか、という考え方は、インターネット含む等質な情報過多からくる近視眼的な物の見方とは違う性向を必要とします。ヒトの物の考え方として、情報過多のうつつにかまけすぎて、先のことを考える余裕が無くなっていると思うのです。以前から、何かの折りに頭に浮かぶのですが、思いっきりうつつを抜かして、”目指せ、三年寝太郎!”です。