三浦俊彦@goo@anthropicworld

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2008/1/21

2000-03-16 01:40:31 | 映示作品データ
■ Why We Fight 『われらはなぜ戦うのか』(全7巻)
第6巻The Battle of China (1944)
製作:アメリカ陸軍情報部1942~1945年 
監督:Frank Capra 1897-1991

 『或る夜の出来事』『失われた地平線』『スミス都へ行く』などで知られるフランク・キャプラのプロパガンダ映画。
 戦意高揚のための実用品であるプロパガンダ映画だということを忘れて、歴史記録であるかのように思い込むと、思わぬ間違いを犯すことになる。南京事件(南京大虐殺)の映像として、中国国民党の兵士が共産党の兵士を射殺している場面が使われたり、「偽装」が著しいが、だからといって、南京事件の記録はみな捏造で、日本軍は虐殺などやっていない、と強弁するのは誤りなのである。
 南京虐殺を目撃した外国人は多いが、視覚的記録は少ない。南京事件が起きたときに外国のジャーナリストが少数しか南京市内におらず、思うように記録がとれなかったことが関係しているだろう。南京事件直前のパナイ号事件(アメリカの艦船を日本軍が爆撃して死者が出た事件)も報じられていたが、そのような「誤爆事件」を防ぐという理由で、日本軍は、外国人はジャーナリストを含めどんどん南京市外に退去させていたのである。あたかも、南京でこれから起こる日本軍の暴行を隠すのが目的だったかのように。
 南京事件を目撃したナチス党員の証言(日記)は必読です。

   ジョン・ラーベ『南京の真実』講談社文庫

 ジョン・ラーベは、ヒトラーに対して、日本軍の蛮行をやめさせてくれと直訴の手紙を書いています。
 なお、日中戦争に対するアメリカ・イギリスの対応を知るのに最も有益な本は、以下の2冊でしょう。(あいにくどちらも古書でしか入手できないようですが)

 アルバート・C.ウェデマイヤー『第二次大戦に勝者なし ウェデマイヤー回想録』〈上〉〈下〉 講談社学術文庫
 バーバラ・W.タックマン『失敗したアメリカの中国政策――ビルマ戦線のスティルウェル将軍』朝日新聞社

 米英から中国軍への補給ルートとなるビルマでの戦いにおいて、その三国の利害がいかに対立したか(とくに米中vsイギリス)が克明に描かれている。どちらも厚い本ですが、米英も視野に入れた立体的な日中関係を知るには超お薦めです。