ロボット系２

　■イノセンス■　素晴らしいな。ほぼ完璧だな。ちょうど中盤のコーラスだけが流れる東南亜細亜お祭り風のシーン。ずーっとああいうのだけでやってほしかったくらいだよ。色彩が重ね重ね素晴らしい。そしてセルアニメとＣＧのリアル度の格差ある微妙な映像全体のテクスチャーが素晴らしい。ただねえ。ボーッと眺めてただけでしてね。予定調和的すぎる科白がなんともヒヤリング困難。いちいちフォローするの面倒。だからお話は全然理解せず。その置いてけぼり的感覚がまたアートっぽくてよいのだけど、なにぶんにも途中で城みたいなとこでグルグルループしてるシーン、一体何だったんですかね。理解しなきゃいけなかったシーンですか？　ああいう理屈まがいなんざどーでもいいから、このレベルならもうひたすら、映像に徹してやってください。色があんだけキレーだったんで。
　■シザーハンズ■　剪定や彫刻やピッキングにはえらく器用なハサミが食事したりグラス持ったりはてんでダメというあたり妙にリアリティある。全体おとぎ話的ファンタジー語りになっているのがモンスターもの的にはちょっとあれだけど、お屋敷の内部のメカニックにして錬金術的なムードが何ともいえんかった。屋根裏っぽいあの空間もＳＦ色満点だし。肘から先がごっそりハサミだったらもっとよかったんだが、それだと特撮も大掛かりになって大変だったんだろうね。惜しい。ラストできっちり馬鹿男をブッ刺して殺したあたりでただの人情ファンタジーをようやく脱していい気分。つうか始めからコメディでもないペーソスでもないメルヘンでもない微妙な疑似ホームドラマぶりがいいセンス放っていたわけで。奥さん連の軽いアプローチもＡ級っぽい格調とコントラストなしていて、氷の破片が吹雪となるイメージも真っ当に美しくて、コンタクトぶりもラブストーリーが混じったわりにはあまりべたついてなくて、これなら敵役の殺されマンも必要なかったくらいだな。余韻残したラストにも不満ありません。あんだけハサミのお世話になったイヌたちがもうちょっと絡んでくれるともっとよかったかも。
　■フルメタル極道■　組の策謀で殺されたヘタレやくざが変身してリベンジ、てぇモチーフは同じだが『実録外伝 ゾンビ極道』のはるか上をいってる。中盤、完全にたるみきったのが祟って、面白いわりに半端映画になっちまったのが悔やまれるけどね。あの土左の女ってのは出ないほうがよかったな。結局あれ、拷問のエロシーン撮りたいがためだけに出演ってのがミエミエでしょ。チョイさもしいんでないかと。あの女いなくても十分成り立つお話であるだけに。あとフルメタルにしてくれた謎の科学者、出番少なすぎだし。背景組織が暗示され期待させながら何も展開に生きてきやしないし。どうもとことん中途半端なんだなあ。弟分はやたら存在意義大きかったけど（兄貴の女との関係、もうチョイ追ってほしかったね）、本人・科学者・弟分にほぼ同じタイプの俳優使ってるために全体が平板になっちゃったのがまた惜しい。最後にショットガンと日本刀で一騎討ちして真っ二つになる友だちいるよね、あいつってなんかいつのまにか出てきてていまいち存在意義薄いんだけど、そのわりにキャラ立ってて。いずれにせよ前半のハチャメチャぶりを後半にも維持してほしかったよ。ラストのチャンバラは長くもないのに完璧飽きまくって欠伸でちゃいました。惜しいとこだらけの映画だったよ、かなり面白かったのに。
　■マレヒト■　砂丘風景、ムード出てましたね。まあそんだけですが。言うべきことは。つーか言いたいことも。あとあえて付け加えれば、天本英世の演説（かい、あれ？）が「あけてくれ！」のナレーションを思い起こさせて懐かしかったのと、女性型アンドロイドの視界がせっかくうまく表現できてたんだからもっと誇張してくれてもよかったのにねということ。まあその程度で勘弁してください。

阿呆理詰日記1456

自己批判の大半は、批判ではない。
自己嫌悪のほとんどは、自己へ向いてない。
自己満足のすべては、他人の不満ですらない。