二〇二四年九月三十日(月)。
早朝(午前五時)。ピュリナワン(成猫用)とヒルズ(腸内バイオーム)の混合適量。
朝食(午前八時)。ピュリナワン(成猫用)とヒルズ(腸内バイオーム)の混合適量。
昼食(午後一時)。ピュリナワン(成猫用)とヒルズ(腸内バイオーム)の混合適量。
夕食(午後六時)。ピュリナワン(成猫用)とヒルズ(腸内バイオーム)の混合適量。
おかげさまで腸内ケアのフードをミックスして食べ始めてから健康な排便に戻ったタマ。一時はどうなることかと心配したが呑気で無事な日々を過ごしている。
いやしかし。
そもそも健康だったタマはなぜ急に強烈な下痢に見舞われたのか。
かかりつけ医院で相談した際にもいろいろ記憶を探ってみたのだがこれといった原因はどう考えてみても思い当たらない。
で、何かおかしなものを飲み込んだとかいう物質的な原因でない「きっかけ」を改めて探っていたところ、不意に思い出したことがひとつある。
強烈な下痢を催した前日の夜の飼い主夫婦の会話。
去年の夏にタマは唾液腺嚢胞という病名の症状で手術を受けた。うちのような低所得世帯では猫の保険なんて入れるわけがないので検査と手術、電車賃その他に要した金額は数十万円。初代タマが子猫の頃から少しずつ貯めていたタマ貯金のほぼすべてを投入した。手術成功でほっとしたけれども唾液腺というのは一般的に片方の頬だけでなくもう片方にもある。残された片方がもし同じ病気になれば再度手術しか手がない。ところが家にはそこまでの余裕はとてもではないが、ない袖は振れないというしかない。
という話をしていたわけ。タマはソファで何食わぬ顔をして横になっていた。
そのちょうど翌朝、強烈な下痢の連発が始まった。
ひょっとして関係あったり、と妻がぽつり。
まさか、んなわけない、とは思うけど。ん~むむむ。
でも聞いてたことは聞いてたんだからほんとに日本語わかってるとか?
ん~~~、、、
思わず考えこんでしまう飼い主。
雰囲気を察するのは確かに鋭い猫だとはおもう。しかし会話ってのはその空気感のやりとりなわけで、言語自体を理解してるってことは常識的にないだろうと。いやちょっと待て。もしかしたら、もしかしたらだよ、あるかも。
ということで万が一のところまで突き詰めて考えた。なにせいたずら好きの猫だからして何をやらかすかわからない点を重視。犬さんの唾液腺嚢胞の場合は原因を特定しやすい。反面、猫の場合は特定困難。さらに二代目タマが嚢胞を起こした子猫の時ははしゃいで走り回る時にあちこちの家具に頭をぶつけて嬉しがっていたため打ちどころの悪い怪我で発症した可能性もあるわけだがはっきりしたことは誰にもわからない。
結果的にもう片方の唾液腺に故障が起きた場合、飼い主の医療費を切り崩して備えるしかないな、そうしようという話になった。飼い主自身は生涯治ることのない依存症とこれまたおそらく治らないだろう慢性うつ病とを患っているので人生の半分ちょっとはもう死んだ気で生きているしさらに何か病気を患っても延命治療はいっさいしないと決めているので気分的にあっさり決めてしまっても今さら怖いことはひとつもない。かといって投げやりになることもない。むしろ注意深く生き残るべきだ。
そんなことを話しているうちにタマはテーブルのそばへやって来てころんと横になり、お腹を見せてなごんでいる。
きょうはゴダールのDVDを観る予定だったが会話が思わぬ方向へそれてしまったため予定変更。中途半端に空いた時間は紙飛行機を作ってタマと遊んでやった。
黒猫繋がりの楽曲はノン・ジャンルな世界へ。ティコ。四年ぶりのアルバムタイトルは何とインフィニティ・ヘルス。パンデミックや大規模化する地域紛争などがあるわけで、それを考えると驚くほど違うとは思わないけれども、ポスト・ロック、インディ・ダンスといった路線の中でとりわけストレートにダンスへ傾斜した印象。ヘルス(健康)とダンス。というよりヘルスは常にダンサブルでもあるというべきか。