阿部ブログ

日々思うこと

海洋技術フォーラム「海洋基本計画見直しに向けた提言」~民主党政調会長の前原さんの発言など~

2012年02月27日 | 日記
2012.2.27(月)に海洋技術フォーラム主催による「海洋基本計画見直しに向けた提言」と題したシンポジウムが開催された。

開催場所は、東京大学・本郷キャンパス安田講堂。
主催は海洋技術フォーラムで、後援は海洋政策研究財団、東京大学海洋アライアンス、日本プロジェクト産業協議会。

今年は海洋基本法の見直し、来年は海洋基本計画見直しの年であり、これを期に海洋基本法の理念を実現化し、迫りくるエネルギー資源の争奪と海洋権益を巡る各国の思惑が複雑に絡みながら国際情勢が複雑化する環境下において、如何に危機を回避し海洋立国を成し遂げるかが大きな課題。
次の5カ年においては、真に国益に資する海洋立国実現に向けた基本計画にする為、海洋技術に係る有識者を招いてシンポジウムを開催するので、冒頭、民主党政策調査会長・海洋基本法戦略研究会座長を務める前原誠司氏が挨拶を行った。

今回の海洋技術フォーラムのシンポジウムは大きく2部に分かれ第一部は「海底熱水鉱床開発計画:成果と展望」がテーマ。
第一部の基調講演は、JAMSRECの平理事。今回は海洋研究開発機構(JAMSTEC)の理事としてと、石油天然ガス・金属鉱物資源機構・海底熱水鉱床開発委員会委員長としての2つの顔で講演された。
経団連の海洋関係の部会に代理出席した際にもお話をお聞きした事が過去あるが、今回の講演も興味深く拝聴した。

第二部は、「海洋基本計画への提言」がテーマであり、我らが湯原先生が基調講演を行った。湯原先生は、海洋技術フォーラムの代表であり、東京大学特任教授、また財団法人キャノングローバル戦略研究所の研究主幹で理事であられる。

湯原先生は、2005年に第一回の海洋技術フォーラムを開催して、現在まで10回開催してきたとご発言された。この間、海洋基本法戦略委員会(超党派)に提言するなど着実に実績を積み重ねてこられている。。
ただ昨年2011年4月に玉木賢策先生が出張中のニューヨークでお亡くなりになったとの事。
玉木先生は、大陸棚限界委員会の委員であり、海底熱水鉱床の発見者でもある先生は、日本を代表する海洋分野の専門家であった。これからと言う時に残念なことだが冥福をお祈りする。

来賓として民主党政調会長である前原誠司氏が壇上に立った。
前原さんは、以下のようなお話をさた。

・おおとしの9月7日、中国船漁船の衝突問題の時、国土交通大臣だったが、尖閣諸島の領有問題が日米安全保障条約の第5条に該当するする事をクリントン国務長官からコミットメントを頂いた。
但し、自国固有の領土は自国で防衛することは当たり前。当然、防衛大綱の見直しも必要である。 

・現在、海上保安庁に関する法律の改正案を国会に提出している。現行法では外国人が日本の領土を侵害した際、一義的には、警察が対処する事と法律上ではなっているが、当然の事ながら尖閣諸島など遠隔の諸島は警察の影響力は及ばない。これを海上保安官が警察官と同様の任務を遂行できるように改正するもの。

・沖の鳥島 これは我が国の海洋戦略上、重要な拠点である。200カイリの排他的経済水域、所謂EEZが重要であり、南鳥島についても現在、拠点を補強する為の工事を実施中である。これは国土交通大臣当時に予算措置して実施出来ているもの。また沖の鳥島においても艦船が着岸できるようにインフラ整備をおこなっている。
これら国益に資する政策の実行は、民主党政権だろうがなかろうが、日本の海洋権益を揺るぎないものにする責務が政治家としてはあると理解している。

・現在イランの核開発疑惑によりホルムズ海峡に注目があつまっている。石油の殆ど、LNGの大部分を中東に依存しており、これが日本のボトルネックとなっている。エネルギー資源の多角化が必要であり、エネルギー安全保障を確実にするためにリスク分散が是非とも必要である。

・資源確保の多角化、特に今後は海底資源を開発する環境を整備する事がとても重要であると認識している。

・2012年は大切な年である。海洋基本法が施行されて5年目 海洋基本法の見直しが今年で、海洋基本計画の見直しは来年の2013年である。

・現在の海洋基本法戦略研究会の在り方を超党派の組織として再編し活動を活発化させている。

・311以降の状況を踏まえての対応も必要である。特に海洋環境の保全。特に今米国の西海岸には東北を襲った津波に浚われた様々な瓦礫などが漂着しており、これが問題になっている。
何が問題化と言うと、瓦礫など漂着物が放射能に汚染されているのでは無いかという疑惑。これが為に西海岸の自治体は市民への説明対応に追われている状況にある。
日本としても海水や潮流を科学的観点から分析し、実際に観測した結果を國として情報公開を行う事が重要である。海洋への瓦礫の海洋に流出しているのは事実であるので、責任ある対応が国際的にも求められている。

・総合海洋政策本部は、内閣官房にある。本部長は総理大臣であり、それを補佐する海洋政策副副本部長は官房長である。国土交通大臣の時に参与会議を作ったが、この参与会議を強化する。今は会議メンバーの人選を行っているが、殆ど東大の先生となりそうな雰囲気であり、お叱りを受けそうだが、必要な専門家は是非とも万難を排して実施する覚悟。特に人選は、小野事務局長にご支援頂いている。

・またこの参与会議をサポートする組織も作る。さらには総合海洋政策本部自体の強化も必要である。
民主党政権となり今まで2回の予算にかかわってきたが、縦割りの弊害を未だに排除できていない。これは海洋政策本部もしかりで、現状では各省から出てきた海洋関係の政策をホッチキスで止めているという状況で是正が欠かせない。また政策の総合性、効率性を高めるのは政治の任務である。政府としての一元化、海洋政策に関わる事項の総合調整機能の強化を行わねばならない。つまり縦割りの弊害を排除した国家意思の貫徹が重要。

前原さんの海洋技術フォーラムにおける発言は以上。これ以降の平理事と湯原先生の講演については後日改めて。