あべちゃんの写楽生活

撮ることが楽しいのか、楽しいから撮るのか

背筋が凍る思い

2018年06月03日 16時08分11秒 | 写真

  

数日前、東宝の「ハワイ・マレー沖海戦」という映画をDVDで観た。

昭和17年制作である。

- 東宝ビデオ -より

  

戦争中の映画であるから、国威高揚、プロパガンダ的なもので

あるのはわかっているのだが、「はたして本当はどんなものか・・・」と

興味があったのだ。

  

映画の最初に「後援 海軍省」と出たときには、「うお~・・・」と思ったね。

出演は、大河内伝次郎、原 節子。

そうそうたるスターばかりである。

もっともこの時代「海軍省後援の映画」となれば、好むと好まざるとに関わらず、

出演しなければならなかったのだろう。

この点は、同情する。

カラヤンもシャネルも「ナチス協力者」として、しばらく迫害されたが、

彼らも生きていかなければならない。

やりたくない仕事もやらざるを得なかったのだ。

特別な才能を持った人たちの悲劇だ。

  

この映画は昭和17年制作で、まだ日本が調子よかったころの映画である。

真珠湾攻撃のちょっと後だ。

だから悲惨な場面は出てこない。

もっとも、出てきても海軍省の検閲に引っかかるだろう。

出てくる、空母、戦艦、航空機は全部本物だ。

特撮監督は、あのウルトラマンの円谷英二だ。

もっとも円谷英二は、あまりに映画に協力したので、後でGHQから

調べられたそうである。

  

天皇を神と仰ぎ、軍人精神、侍魂のくだりは、「はいはい、出ましたね」と

思っていたのだが、噂に聞いていたことが実際、映画で話をされると、

「ほんとなんだな」と思った。

だって、リアルタイムの映画だからね。

なによりすごかったのは、日本軍の軍人が1人も死なないのだ。戦争映画なのに。

死なないどころか、撃墜されたり墜落したりが、一つもない。

そして、戦闘機が真珠湾を攻撃して終わる。

「オチ」がないのだ。

早い話が「もはや、映画ではない」のである。

名だたるスターが、この脚本を見てどう思ったのだろう。

「こんな国民的映画に出られて幸せだ」と思ったのだろうか。

「こんなくだらん映画、出たくはないが・・・家族、関係者に迷惑がかかるからな」

と、内心仕方なく引き受けてくれた人がいたことを望んでいる。

今、我々は色々な予備知識があってこれを見ているから、

「なんだこれ」「こんなの、あるわけねえじゃん」と思うが、

何も知らずに、当時の国民はこれを観ていたのか、と思うと

背筋が凍る思いがする。

  

おまけ

  

久しぶりに「はま寿司」で昼食。

地味に「アジ」がうまいねえ。

ふと、疑問に思ったのだが、液晶画面で「ハマチ」を注文したとする。

「注文品」の皿が2つ流れてきた。

1つは「ハマチ」、もう1つは「鯛」。

日本人なら区別がつくが、外国人観光客なんぞは、どっちが

自分のものかわかるのかね。

 

コメント
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