ハレルヤ!  喜び、喜びおどろう

聖書のことばを中心に、2019年12月から、あふれる思いをブログにまとめています

ヨエル書

2023-01-30 | 旧約聖書

ヨエル書の特徴

預言的な詩を集めたこの書は短くも力強く謎に満ちています。ヨエル書には他の預言書とは違う特徴がいくつかあります

  • まず書かれた時期がはっきりしていません。エルサレムとその神殿についての記述がありながら、そこに王がいない様子から捕囚から帰還したあとのエズラ・ネヘミヤの時代ではないかと考えられます
  • もう一つの特徴はヨエルが聖書に精通していた点です。彼はイザヤ書、アモス書、ゼパニヤ書、ナホム書、オバデヤ書、エゼキエル書、マラキ書、出エジプト記から引用しています。
  • このことはもう一つの特徴にもつながってくるのですが、ヨエルはイスラエルを非難しながら その罪を特定していないのです。他の預言者と同じように、彼もイスラエルの罪に神の裁きが下ることを告げ知らせますが どの罪のためとは言いません。まるでヨエルと同じように読者もすでにほかの預言書を読んでいて、イスラエルの反抗について知っているという前提に立っているかのようです。

この3つの特徴はヨエル書を理解するのに役立ちます。つまりヨエルは自分の時代より前に書かれた聖書を熟知していて その知識を通して現在の悲劇を理解し 同時に将来への希望も持っていたということです。ではこの書を詳しく見ていきましょう

1章と2章でヨエルは主の日に焦点を当てています。これは預言書のキーワードで神が民を救うために、あるいは悪と対決するために 力強く現れた過去の出来事を言っています。たとえば出エジプトの十の災いのように 預言者たちはこれらのことを神がまた イスラエルそして近隣諸国の罪に立ち向かい 全世界に救いをもたらす未来の出来事を指し示すものと考えていました。

この1章と2章で彼はこのテーマ について語る2つの類似した詩を並べています。

1-過去の「主の日」

1章は過去の主の日について語ります。 イナゴの群れによる災害がイスラエルを襲いましたが これはエジプトに対する主の日である 十の災いの8番目をなぞるようにして書いています。 ただし今回イナゴが差し向けられたのはイスラエルです。

そこでヨエルは、その民を悔い改めと祈りに導くよう長老や祭司たちに呼びかけ、自分も彼らと一緒に悔い改めます

2a-未来の「主の日」

続く2章も同じ構造で同じメッセージを伝えます。別の主の日について書かれていますが、 今度は過去ではなく未来の主の日で エルサレムに災いが訪れようとしているのです。
またイナゴの災害のようですが、ヨエルはそれを とてつもなく大きな軍隊が攻めてくるイメージとして書いています。イナゴは騎兵隊のような神の軍隊で その通る道のすべてを食いつくしていくのです。 太陽は暗くなり地は震え恐ろしい主の日を 誰が耐えられるだろうかとヨエルは言います
そして再び人々に祈り悔い改めるよう促し 衣ではなく心を引き裂き神に立ち返れと呼びかけます。
つまりヨエルは人々が表面的な悔い改めで ごまかそうとしていることを知っていたのです 彼は神が求めるのは民の本当の改心で 彼らが自己中心と悪を手放すことだと言います ヨエルは神は情け深く憐れみ深く怒るのに遅く 愛に満ちているから、イスラエルは悔い改めるべきだと言いました これは出エジプト記34章でイスラエルの民が金の子牛を作った 後の箇所を引用しています。ヨエルは神の憐れみと愛は 神の怒りと裁きより強いことを知っていました だからこそ彼は祭司たちに悔い改めて祈り 民を救ってくださるよう願えと促したのです

 

2b-神の応答

 この2つの詩のあとに場面は変わり、ヨエルと民の悔い改めに対する 神の応答が紹介されます。
神はご自分の地を愛し、ご自分の民をあわれまれたと、そして神は主の日の破壊をあがない 裁きを救いに変えると言ったのです。
神はまずイナゴの様な恐ろしい侵略者を打ち負かし 破滅へと追いやります。それから荒れた地を癒して命を与え潤し、ついには神がその民の間に臨在するのです。

これらの詩を通してヨエルはイスラエルに、彼らの罪が破滅と神の裁きを招いていること、しかしそこに神のあわれみと希望もあることを示してきました。ヨエルは過去の出来事を来るべき主の日に重ねて見ています

 

2c-3-来たるべき「主の日」

なので最後のセクションでは 神の3つの応答に応じる3つの詩を書き 他の預言書からのイメージも織り込みながら 全世界の希望を表す幻に仕上げているのです。

① まず民の間に現わされる神の臨在の希望が いつの日か神の命溢れる臨在である聖霊が神殿のみならず 神の民全体を満たすという約束に拡大されています。 そしてヨエルはここで神の霊が神の民を造り変え力で満たし 真心から神を愛して従えるようにするという約束を イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書から引用しています。

 

②ヨエルは次に、神がやがてイスラエルを脅かす侵略者に立ち向かうという約束を取り上げ、ここに出てくるイナゴに、彼の時代のイスラエルを侵略する 暴力的な国々を重ねています。そのためイザヤ書、ゼパニヤ書、エゼキエル書にある将来の主の日の約束 すなわち神が国々の悪に立ち向かい彼らの暴力を彼らの頭上に返し すべての悪を正して正義をもたらすという 約束を引き合いに出してい③ まるで新しいエデンの様に神の臨在が川のようにエルサレム から流れ出しすべてが造り変えられるという 約束を引用しているのです。

 

③そして最後に回復された国土のイメージを語るヨエルは そこに新しくされた世界の希望を見ます イザヤ書、エゼキエル書、ゼカリヤ書から 最後の正義の日のあとに全世界が回復され まるで新しいエデンの様に神の臨在が川のようにエルサレム から流れ出しすべてが造り変えられるという 約束を引用しているのです。

 

こうしてヨエルの詩は神の赦しとあわれみが、新しい創造を呼び覚ますところで 終わります。ヨエル書というこの短い書は 人間の罪と過ちがこの世界にどんな荒廃と破滅を引き起こしたか また自分の罪を認め告白した人々に対し 神がどれほどあわれみを示そうとしているかについて 深く考察しています。そしてこれらのことは神がいつ の日か世界の悪と私たちの中に宿る罪を打ち負かし 癒し、すべてを新しくしてくれるという 希望を示しているのです

これがヨエル書です

(8) ヨエル書 Joel【概観】 - YouTube

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