私のところに送って下さる「花園神社社報」の令和五年5月1日号に、よくテレビに出ている金平茂紀さんが「ジャーナリストから見た『ショック・ドクトリン』」(上)を書いています。
金平さんは「花園神社が好きな場所で、ゴールデン街で飲んで、ここにきて、おしゃべりをして帰る」というのが学生時代からの恒例のようで、それで執筆を引き受けたようです。
金平さんは、去年暮れにタモリが「徹子の部屋」に出演して、黒柳さんが「来年はどんなとしになりますかね?」と聞かれ、「新しい戦前井なるんじゃないですかね」と言ったことや、かつて忌野清志郎が「本当のことなんか言えない、言えば殺される」(「言論の自由」)と歌っていたことにも触れ、今の時世を嘆いています。
そして、最近亡くなった大江健三郎、鈴木邦男、坂本龍一への追悼の言葉を述べています。いずれも、私にとっても気になる人たちだっただけに、興味深く読ませてもらいました。
大江については、作家としてのすばらしさばかりではなく、「最後まで戦後も持っている時代を象徴して自分の作品を勝ち続けてきた人だと思います」と評価しています。
新右翼と呼ばれた鈴木に関しては、生涯独身であり、清貧という言葉がふさわしいと褒めています。さらに、鈴木が口舌の徒ではなかったことを指摘し、「行動をともなういというか、自分の信じていることについては、自分の信念にしたがって、物事を起こしていく。そういうので長くお付き合いすることになりました」と述懐しています。
坂本は、それこそ日本を代表するアーティストですが、金平さんは忌野清志郎がこの世を去った時、マスコミは永遠のロックスターともてはやしましたが、生前はまったく無視していたことを坂本が怒っていた点に言及しながら、同じような扱いを坂本が受けていることに憤りを感じたのでした。「原発のこととか、安保法制のこととか、地球温暖化とか、いろんなところで行動していて、音楽家であるにもかかわらず社会的なことについても声を上げていました。そのとき、メディアは黙殺していて、亡くなったから『世界のサカモト』とか、社会のことにも発言していたみたいなことを言う」のが許せないからでしょう。
テレビではなかなか口できないことを、金平さんが文章にしており、何度も何度も私は読み返してしまいました。3人への弔辞の言葉としてふさわしい文面であったからです。