はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

<font size="-3">「ハウルの動く城」感想覚え書き</font>

2004-11-22 00:46:55 | 日記・エッセイ・コラム
映画「ハウルの動く城」を観ました。
英国の作家D.W.ジョーンズの原作「魔法使いハウルと火の悪魔」をベースにした宮崎駿監督のアニメ作品。
ハウルという魔法使いに関わったため、呪いで老婆にされた少女の恋物語です。


まず感じたのが、「この映画、原作とは別物なんだなあ」ということです。もしも映画に、原作の持つ軽妙洒脱なジョーンズ世界を期待してしまうと幻滅するかもしれません。原作既読者はあらかじめそこのところを理解してから観たほうがよいだろうなあ、と感じました。
そして、次に感じたのが「内容がストレートに「恋物語」だった!」ということです。正直、驚きました(^^;。真っ向恋物語、というコンセプトに絞った結果、劇的なカタストロフを与えるのとはちょっと違ったタイプの作品に仕上がったのではないかと感じます。
老婆という隠れ蓑の陰で揺れる少女ソフィーの心の動きに主眼を置き、それを取り巻く面々の暖かな、ときにしたたかな人間模様が謎解きを交えて描かれているわけですが、ソフィーとハウルの関係性と謎解きの比重が微妙にふらついていたようにも感じられました。ただしこれは、私がたまたま原作既読であったがゆえに、原作では最後まで隠されていた「恋物語」としての側面を前面に押し出した脚色に戸惑いを覚えたせいかもしれません。いずれにせよ、見方によって簡単にも難解にもなる映画だと思います。


マイベストはカルシファー(^^。全編を通じて良い味を出していたと思います。
宮崎アニメの美しさと飛翔の浮遊感は健在、極上のクオリティは一見の価値ありかと。おすすめです。
余談ですが、一番のびっくりはエンドロール。
ひそかに声優陣にTEAM-NACS総出演だったのには「やられた!」と(笑)。
DVDでの確認が楽しみです(^^;。



<font size="-3">「笑いの大学」感想覚え書き。</font>

2004-11-04 01:52:08 | 日記・エッセイ・コラム
映画「笑いの大学」を観ました。
舞台は戦時下の東京。喜劇に命を捧げる劇作家と、笑いを憎む検閲官との攻防を描いた7日間の密室劇です。


かつて、「クール・ランニング」、笑いました。最近では「パイレーツ・オブ・カリビアン」、笑いました。「ジブリーズ」も、「ゼブラーマン」も、「スクール・オブ・ロック」も、「福耳」も、笑いました。
が、しか~し!
「笑いの大学」!
いや~あ、笑った笑った笑った。まるで喜劇の芝居を観ているようでした。映画館でこんなに声を出して笑ったのは初めてです!
これは大事件(笑)。私の中で映画の笑い記録更新です(笑)。


まず、序盤からものすごーく気になったのが「ラーメンズと同じ香りがする!」ということ。
ひそかにラーメンズへのオマージュなんじゃないかと思うくらい、ほうぼうに気になるシチュエーションや様式、フレーズや所作が詰まっていていちいち反応、興奮してしまいました(^^;。
しかし、この件につてはパンフレットを読んで納得。
この「笑いの大学」、元々は舞台用に書かれた脚本だったのです。
10年以上前にラジオドラマで、そして、96年に芝居として上演されていたのだそうで、「体ふたつだけで出来ること」を追求した密室劇ならではのトーン類似だったのですね(^^。
シンプルな舞台装置の中で、2時間という芝居の幅に起伏を配置したのが「笑いの大学」、密度を上げて短時間に凝縮したのがラーメンズなのかなあ、と(^^。
「笑いの大学」とラーメンズは同じ根っこを持っている兄弟分である、と提唱したいところです(笑)。(←ラーメンズファンの戯言です(^^;。でも、ああ、短縮版「笑いの大学」小林&片桐バージョンも見てみた~い(笑)!)


私のイチオシは役所公司さん。もう最高です。ときに抑え、ときにオーバーリアクション、ニコリともしない渋面なのに(いや、だからこそ?)醸し出される強烈な可笑しみ。もうお見事と言うしかありません。
稲垣吾郎さんも、ソフトなうわべに隠された情熱を美しく表現しておいででした。
ふたりの掛け合いはまさに真っ向真剣勝負といった趣き。それゆえの緊張感に満ち満ちた感情の振幅。そこからこぼれ出す笑い。人間ドラマであり喜劇でもある。構造としてはもう完璧です。
基本的にはふたりのドラマなのですが、要所要所で登場する検閲室の警備員さんがとても良い味を出していらっしゃいました(^^。


古風なトーン。様式美。シンプルな舞台装置。古き良き丁寧な、美しい日本語の響き。抑えたぶんだけ強烈に繰り出される笑い。そして人間ドラマ。
最後は笑いながら号泣でした。
私にとっては大好きな映画。
あと2~3回は観てしまいそうな予感がします(^^;。
強力推薦。おすすめです。
(とくに、ラーメンズ好きは必見(笑)!? 妄想が膨らみます(笑)。)



<font size="-3">アニメ版ブラックジャック。</font>

2004-10-11 20:19:43 | 日記・エッセイ・コラム
chubbさんのところでブラックジャックのアニメ放映日時を知り、観てみました。
こっぱずかしさもありますが、主人公のかっこよさですべて帳消し(笑)。
そして何よりピノコの可愛らしさが印象的。
良作ではないでしょうか。
あっ、ひとつだけつっこみを。
レントゲンに針は黒く写りません。白くなります(笑)。
そして、消えた針の行方、仮説。
:写楽君はひそかにボタロー管開存していた・・・:
はは、それはないか(^^;。
色付きではない白術衣が妙に新鮮でした。



<font size="-3">「イン・ザ・プール」映画化。</font>

2004-10-11 12:48:01 | 日記・エッセイ・コラム
またしても遅い情報ですが、とりいそぎ。
「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田英朗の前作「イン・ザ・プール」が映画化されるそうです。
しかも主演は松尾スズキ氏・・・・!
主演と言うことは、伊良部ドクター? あはは、強烈。似合いそう・・・・。
これは観るしかありません(笑)。
公開は2005年春。楽しみです。


関連記事は→こちら


<font size="-3">オトナ語センター試験。</font>

2004-10-08 00:18:50 | 日記・エッセイ・コラム
「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイト内で「オトナ語センター試験」が開催されています。

→こちら

私の場合は職場の同僚から問題を渡されての抜き打ちテスト(笑)でしたが、無事、及第点をいただきました。
一問一答から文章問題、題名当てなどもあって、解きながらもニヤニヤしっぱなし。
PDFファイルなのでちょっと重いのですが、なかなかのオモシロ企画。オススメです。



<font size="-3">「誰も知らない」感想覚え書き。</font>

2004-09-22 23:52:45 | 日記・エッセイ・コラム
映画「誰も知らない」を観てきました。
母親に遺棄された4人の異父兄妹たちの1年を描いたドキュメントタッチのフィクション作品。是枝裕和監督。主演の柳楽優弥がカンヌ映画祭で日本人初、世界最年少の主演男優賞をとって脚光を浴びたのが記憶に新しいかと思います。
私自身は広告批評7月号の特集がきっかけで行きました。上映終了間近。ギリギリでした。


優しさに満ちた映画、という印象を受けました。
子供達の置かれた過酷な状況はたしかに現実としてそこにある、けれど、「悲惨な」という言葉だけでは形容しきれない独自の暖かな世界を子供達が築いていたと、そう納得させられるような作品だったと思います。
弱いものが、さらに弱いものを気遣い、守り育てようとする。半ば本能的ともいえる子供達のその優しさに満ちたまなざし。つらい現実の先にもまだ日常は続いてゆくと受け容れたかれらのしたたかさ、たくましさ。
それらすべてを包み込むような監督の暖かな視線を映像の端々から感じました。
出演者たちの演技も本当の日常を見ているようでまったく無理がない。素と勘違いしてしまいそうな子供達の魅力にしてやられました。柳楽さんの目力にも脱帽です。
こんなところで泣いてる人間なんているのか?と自分に突っ込みを入れながらも、何故だかラストシーンのシゲルに涙してしまいました。あの無邪気なたくましさ。無垢なしたたかさに弱いわたくしでございました。
決してハッピーエンドとは言えないけれど、見る側に充分な余白の与えられた作品。おすすめです。



<font size="-3">「MASK DE 41」と「痛くなるまで目に入れろ」簡易覚え書き。</font>

2004-09-12 00:36:03 | 日記・エッセイ・コラム
実は本日、こっそり国外脱出予定。そのため都を訪れたのをいいことに前泊の昨日は映画と芝居をハシゴいたしました。

「MASK DE 41」
片桐さんと田口トモロヲさん目当てでゆきました。我が地方では上映してくれそうな気配がないのでこちらで鑑賞。
突然逆境に放り込まれたオヤジさんたちのプロレス青春映画。迫力と脱力と切なさと爽快さ、すべて詰まっています。好きです、こういうテイスト。
ところで、この作中の松尾スズキさんが「水曜どうでしょう」の藤村Dに似ているような気がいているのは私だけでしょうか・・・(笑)?


「痛くなるまで目に入れろ」
G2プロデュース#8公演。ほぼ久ヶ沢さん目当てでゆきました。11日14時と19時の2ステージ鑑賞。
物語の時系列を崩し、シャッフルした断片を並べ替えてゆくような話はこび。パズルゲームのような緊張感を楽しめました。今回はとりわけ、久ヶ沢さんの声の魅力を再認識。



<font size="-3">読んだもの覚え書き「空中ブランコ」「ちくま 9月号」</font>

2004-09-09 23:02:07 | 日記・エッセイ・コラム
奥田英朗「空中ブランコ」:同僚から借りたもの。奇しくも借りた直後に直木賞受賞の報。
曰く言い難い問題を抱える患者たちが、傍若無人にして非常識な精神科医伊良部にかかわり「何か」をつかむ様子を綴った、抱腹絶倒の短編物語集。軽いタッチで一見奇想天外な出来事が描かれるが、その実、人間の深層にうごめく得体の知れない闇を鮮やかに炙り出す問題作(?)。
現代人の置かれた「ストレスの世紀」を読み解き憂えるも良し、人間の普遍的な弱さと可笑しみに微笑むも良し、ただひたすらバカ笑いするも良し。いろいろな楽しみ方ができそうな本。
京極夏彦の薔薇十字探偵ものとテイストが似ているかも知れない。榎木津好きにはおすすめ。
5つの短編のうち「義父のヅラ」がマイベスト。


「ちくま」9月号:定期購読。
ちくま新書創刊10周年記念特集記事あり。重松清×宮崎哲也 対談「新書は"教養"の底を支える」、著名人への「新書アンケート」。対談中の宮崎氏の発言で、新書が上の世代の知識人に蔑まれている風潮があったと知り驚いた。理系の新書に関しては新書アンケートの澤口氏の意見に賛成。引用出典を明確にしてくれればもっと利用機会も増えるはず。
なだいなだ[人生、とりあえず主義]72 「論理的訓練」 フランスバカロレア試験の例題にゲーデルの不完全性定理を連想した。自己言及命題とパラドックス。個人的にはパラドックスについてもっと語り合える楽しみが増えるよう、論理訓練の普及を切望。
岸本佐知子[ネにもつタイプ ]31 「裏五輪」 読みはじめて5行目でもう爆笑。最後の一行にニヤリ。すでに様式美。
斉藤環[家族の痕跡]13 「虚像としての『世間』と『家族』」 「負け犬」論の出現するような状況とひきこもりを増長させる社会の構造的類似性(すべての問題を「勝ち負け」という価値判断へすり替えてしまう構造)を指摘しているのには興味をそそられる。さらに両者の根底にあるのは「世間」ではないかとの提示に頷。超自我としての機能を日本の「世間」と西洋の「神」で対比させるほど両者に違いがあるのかと疑問を提示しているのにも頷。論展開がまだ序盤なのが残念。続きを待望。斉藤氏の議論はなかなか核心を突かないのがもどかしいが、実例をあげつつ一歩一歩積み上げてゆくような丁寧で誠実な論展開がたいへん好ましい。
気になる新刊本 「定本 畸人研究Z」畸人研究学会





<font size="-3">どうでしょう写真集。</font>

2004-09-06 23:59:22 | 日記・エッセイ・コラム
同僚から借りた「水曜どうでしょう」の写真集を読みました。
とんでもない。
特に2。
とんでもなく素晴らしい。
このこだわり、このクオリティ。そして愛すべき馬鹿馬鹿しさ。
モノ作りへ対する真摯な姿勢を感じました。


最年長なのに童顔ノッポな嬉野さんと、森崎さんの屈託のない笑顔が印象的。