はざまの庵

分類し難い存在を愛でる覚え書き by aiwendil お気軽にコメントをどうぞ。

<font size="-3">(片桐仁+小林賢太郎)≒ラーメンズ?</font>

2006-01-31 00:34:32 | さもないこと
「ゆめみらい」という雑誌の記事(vol.6, p12-15, ベネッセコーポレーション, 2002)に関する記述を読んで、昨年、小林賢太郎氏のソロコントライブを観たときに考えたことを思い出しました。
以下私見。
小林氏の作る世界は、良くも悪くも要素還元できてしまうように思えます。不明な点がない、とでも言いましょうか。
対して片桐氏の持つ世界は、分析を越えたところにある不確実性を備えているように思えます。
私はというと、『構造がわかっておもしろい』ことや『何が面白いかわかるから面白い』ことがとても好きなので、小林氏の創る作品の構造に反応して、ことごとくクラクラきてしまうわけです。
しかしいっぽうで、片桐氏には要素還元できない魅力があって、そこにもどうしようもなく惹かれてしまいます。
小林氏のソロ公演であった「ポツネン」はラーメンズ本公演にくらべて、ステージごとのゆらぎが少なかったように私には思えました。
これはおそらく、ラーメンズにおいて『不確定性』を担っている片桐氏の不在によるものではないかと思うのです。
といっても、この『不確定性』は片桐氏が自律的に変化することで生まれるのではありません。
本公演のステージでは、(私が観測した限りでは)小林氏が攻性のアドリブを盛り込むことによってゆらぎが生じていました。
つまり、片桐氏の担う不確定性は間接的なもの。
どうやら、片桐氏は基盤のような役割も担っているように思えます。小林氏が自由に動き回るための重要な土台が片桐氏なのではないか、そう思えるのです。
片桐氏が小林氏に安定性を与えることで、小林氏の自由度が増し、自由になった小林氏によって片桐氏の潜在的な『不確定性』が引出される。この矛盾した構造こそがラーメンズの特性なのではないかと、そんなふうに思えてなりません。
個々の総和よりも全体のほうが大きい、という現象を説明するゲシュタルト理論のように、単純な四則演算では説明できないのが片桐氏と小林氏、そしてラーメンズの関係性なのかもしれない、そんなことを考えた次第です。



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5 コメント

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>pecoさま (aiwendil)
2006-02-25 04:15:41
>pecoさま

ようこそ!
こちらでははじめまして。

お褒めにあずかり光栄です。
構造の持つ面白さと関係性の持つ面白さ。そういったことを考え出すと止まらなくなって危険です(^^;。
返信する
初コメントさせて頂きます。 (peco)
2006-02-23 22:08:59
初コメントさせて頂きます。
「ラーメンズの面白さって?」と問われたとき、うまく説明出来ないもどかしさを抱え、「とにかく1回見て」というしかなかった私に、言葉による明快な解析を与えてくれたのが、この記述でした。読後「そうなんだよ!」と独りごちてしまった次第です。本当に素晴らしい。
返信する
>はなきさま (aiwendil)
2006-02-05 23:05:08
>はなきさま

やはり、片桐氏あってのラーメンズ。
これは間違いありませんでしょう(笑)。
拙い説ですが、喜んでいただけれ嬉しいです(^^。


>森羅さま

はじめまして!
ようこそお越しくださいました!

なるほど、『絶対的な孤独』という概念。片桐氏を表わすのに言い得て妙な言葉ですね!
どんな役どころでも不思議にハマる片桐氏。
劇中では片桐さんじゃないのにあくまで片桐さん。なのに自然。
外部の舞台を観ていてもつくづく感じる不思議な魅力です。
ゆるぎのない天性の個性が備わっているから、どんな役でもこなせる。でも染まり切らない。これが『絶対的な孤独』ということでしょうか。
そして、そんな孤独を内包しているからこそ安定感と余白を同時に提供しうるのかなと思えます。

本公演(&KKP)での小林氏の傍若無人ぶり(笑)はきっと予想以上ではないかと(^^。
あのラディカルな感じは片桐氏と久ヶ沢氏の存在により引き出されるのではないかと睨んでいます。
次回の本公演ではぜひご自身の目で確認なさってくださいませ(笑)。

そして、ぴったりの言葉を見つけたらぜひ教えてくださいませ。
楽しみにしています(^^。

京極ファンでらっしゃるとのこと、これまた嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
返信する
はじめまして。森羅といいます。 (森羅)
2006-02-02 02:04:38
はじめまして。森羅といいます。
最近ラーメンズファンになりまして、時々お邪魔させていただいておりました。
いつも鋭い分析と簡潔な文章に感心していました。ファンです♪
どうぞよろしくお願いします。

実は私も二人の関係性を、aiwendilさまと近いような感じで思っていました。
単純に「作る人」と「演じる人」に収まらない、相互に作用し合うことで生み出される世界…
aiwendilさまのおっしゃる片桐氏の『安定』や『不確定性』というのは、私が漠然と感じていた「絶対的な孤独」の正体のように思いました。
徹底した小林氏の作・演出の中でも、それに染まりきらない片桐氏の存在。その姿をあえて説明するなら、孤独なのかなぁ、と。
二人でいるけど一人と一人…といいましょうか。
小林氏の『攻性のアドリブ』というのも、作品世界の創造者として全体を俯瞰できる立場から生じて、作品世界の住人である片桐氏をゆるがしているのではないか思います。
でも本公演はDVDでしか見たことないので、限られた中からの印象ですし、またそういう風に演出しているんだ、と言われるとそれまでですが(苦笑)
「ポツネン」はまるで「小林賢太郎を鏡に映した」かのような印象でした。世界に彼しかいないとこうなるのかと感慨深かったです。

う~ん、一人語りですみません…
まだ私にはラーメンズについて捉えきれていない部分があって、ラーメンズの関係性を考えると、ピッタリの言葉が見つけられずにいます。
でもこの度のaiwendilさまの文章で、なんとなくヒントを頂けたみたいです。
ありがとうございました。

先日の「○」と「十牛図」についての考察も興味深かったです。(私も京極ファンです)
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すごいですね~! (はなき)
2006-02-01 21:40:02
すごいですね~!
aiwendilさんらしい、的確で冷静で、それでいてとても情熱的な見解に感激してしまいました。
難しい言葉が飛び交っていて、「ぬ?」となりつつも(笑)
賢太郎さんの活躍に、「俺、いらねぇなぁ‥。」
なんて発言していた仁さんに聞かせてあげたいようなお二人の関係性。
とても嬉しくなりました~。
aiwendilさん、ありがとうございます!
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