原発推進の裏に利権あり:231115情報
昨日の当ブログ『地球温暖化議論の裏にある思惑』の続編です。国際政治学者の解説です。
アメリカ、イギリス、フランスは、原発再開 の方針を打ち出しました。原発再開の方向に舵を切ったわけです。
これは COP26などをやっておりますけれども、地球温暖化を阻止するためにはとくにCO2を削減しないといけない、そのためには原発をガンガンやらないと駄目だ、というレトリックです。
はっきり言って、ここまでくると 結局原発をやりたいために地球温暖化、地球温暖化と言っていたかのよう な本音が透けて見えるどころか、本音がもう見え見えという感じです。これはいろいろな人がいろいろな理由で、地球温暖化だ、CO2を削減しろ、 温暖化ガスを削減しろと言っているのでしょう。
しかし、私は、その中でも一番多く地球温暖化論を上げて、強力に温暖化 が削減を訴えてきた勢力は原子力発電派、原子力発電を推進しようとする 人たちだったと思います。
結局、彼らが一番多くの政治的な力を持ち、そし て、一番多くの予算、おそらく陰の予算も使って地球温暖化論を盛り上げてきたのではないかなと思います。
一つは明らかな社会主義派ですね。資本主義経済を挫折させるために、温暖化ガスを規制し、経済発展をさせない。資本主義経済を窮地に追い込む ために、資本主義経済の全体主義的な、社会主義的な統制を進めるために、 この地球温暖化論を言っていた人たちがかなりいると思います。
もう一つは、もっとそれより露骨で、要するに原発をやりたいから、C02 が出ない原発がいいのだという理屈、結論に持っていくために、一生懸命、 この地球温暖化論を推進していた人たちが、強力な推進力だったのだと推測しています。保守派の中では、原発推進論者たちが、地球温暖化論をー番推進してきた原動力でしたが、そのことが、まさに 今度のCOP26で明らかになったのではないかと思います。手品のネタが バレたような感じですよね。
アメリカでは、1兆2,000億ドルに及ぶインフラ 投資計画、投資法案。これを最終的に、議会が承認をいたしました。そして、ジョー・バイデン大統領の署名をもって、この法案が成立しましたが、これはいろいろな道路や橋、公共交通機関、鉄道などに、多額のインフラ投 資をするいい面もあるわけです。
これはドナルド・トランプ政権がやろうとしていたものも含んでいるのですが、その中に原発救済案も含まれております。2022年から2026年の間、60億ドルをこの原発救済のために 投じるということです。原発はどんどん古くなっているのですけども、日 本でも初めは40年原発が寿命であるといったのが、いやいや、まだ使え るから、あと20年、60年間使いましょうとなっていますけれども、アメリカでも一緒なのです。
そして、新しい原発をつくるとなると、さすがに反発する人が多いので、 古い原発、これを継続して使うためには、それなりのリノベーションをしな いといけないということです。メンテナンスをして、そして壊れないよう にしないといけないということで、それに60億ドルを主に投資するということです。
このインフラ投資法案とは別に、アメリカのエネルギー省は原発による水素製造プロジェクト、いわゆる水素社会に向けた水素製造プロジェクトのために、2,000億ドルを拠出する計画を実施しようとしております。さら に、これは連邦政府とは別で、州レベルで見ますと、イリノイ州、ペンシルベニア州、それからノースカロライナ州などで、CO2排出削減を口実に、 老朽化した原発を延命させるために、州政府が多額の補助金を支出することを決定しております。
結局、これはどういうことかというと、一つ、隠れた要素があるのです。そ れは、老朽化した原発を止めてしまって、このままおしまいですというわけにはいかないのです。放射能汚染された巨大な建物が残るわけです。そうすると、この老朽化した、あるいは廃棄された原発の解体処理というのは、膨大な費用がかかります。一体いくらお金がかかるのかわからないくらいの費用がかかるわけです。
日本でも福島の原発事故を起こしましたが、 これも解体処理、どうしょうもない状況ですよね。それから、これは事故を起こしていなくても、放射能汚染の塊ですから、このままそこに遺跡の ように放っておいていいのかというと、そういうわけにはいきません。解体処理をするとなると、時間もかかるし、膨大な費用がかかります。
だから、この膨大な費用を表面化させないために、五月雨式に、まだ必要だからあと5年、あと10年使おうということになってくるわけです。でもそのためにも、ローカルな政府も、州政府も、連邦政府も、お金を出さ ないといけないということなのです。
これは問題を実は先送りにしているわけです。原発推進派の人たちが語らない問題というのは、実はこの大量に出る、とくに高濃度の放射線廃棄物、 これをどう処理したらいいのか。このためにまたものすごいお金がかかります。それから、もう一つは、原発そのものですね。廃棄した原発。この 解体処理にものすごいお金がかかるということです。
こういうことを含めて考えると、原発によって生産される電力は、総体としてコスト高になるということなのです。
それから、本当にCO2を削減できるのかというと、これもクエスチョンマークです。というのは、原発 が稼働し発電しているときは、CO2を出差ないのはそのとおりなのですが、 原子力発電所をつくることは大量の大型工事です。C02がいっぱい排出されます。それから、ウラン燃料を鉱石として鉱山で発掘して、それを運び、 そして精錬してウラン燃料をつくるというところ。ここまでにも大量の二 酸化炭素を排出しています。
そして、廃棄した後も、原発自身の解体にもCO2が大量に使われ、排出 されますし、またこれを長年取っておく、万年単位で保存しないといけな い。このためにも大量のC02が排出されることになります。そうすると、 初めから終わりまで含めて考えると、果たして原発というのがC02の削減にいいのかどうかというのはちょっとクエスチョンマークですね。
こういったことは専門家の方が厳密に計算されるのだと思いますが、おそらく何十年も無事故で運転できて、ようやくいわゆるカーボンニュートラ ルに到達できるということなのではないかと思います。
これは、実は電気自動車も一緒ですよね。電気自動車を、初めからつくり、電池をつくって、そして、最後はその主要部分の電池を解体して全部処理するところまで、生まれてから死ぬまで電気自動車のことを考えると、そんなにC02の削減に役立っていないというのが、これはヨーロッパの調査委員会の、諮問委員会の答えです。
ただ、走っているときにC02を出さない電気自動車というだけなのです。ただ、総体としてのCO2排出量を考えると、ガソリンエンジンの自動車も変わらないという結論も出ております。原発も同じようなことなのでは ないかと思います。
しかし、アメリカはそういった形で、原発を再開させようということにきています。これはどういうことかというと、最終的に連邦政府、中央政府もお金を出し、補助金を出すというと、結局利用者、消費者、電力を買っ ている企業、みんな割高の電力を買わされるということです。
しかも最終 処分まで含めたら、非常に高いコストをみんな原発の電力に対して負担しなければいけない。表に見えていない、隠れたコストがいっぱいあるとい うのが、原発です。
さて、2021年11月12日に東芝の分社化が決まりました。分社化というけれど、要するに解体ですね。日本を代表する総合家電メーカーで、弱 電から重電まであって、素晴らしい会社でした。しかし、この東芝が粉飾決算、インチキの決算をして、そして解体されていくという、悲しい姿を我々は目撃しているわけです。日本の高度成長を引っ張ってきた企業の一つですよね。
東芝がここまで衰退した原因。それ はいろいろあるでしょう。経営者レベルの問題もいろいろあると思います。 社内の派閥争いなど、そういった問題もいろいろあるでしょう。しかし、私が指摘したいのは、いくつもある原因の中で、単一で最も重い 原因はなんなのかというと、東芝が原発に依存しすぎたこと、原発にこだわりすぎたことだと思います。
これは半導体や他の部門でも大変もけていたのに、結局原発で全部お金を損したのですね。ウェスティングハウス いう会社を買い、そこの経営がうまくいかず、そして、お金を失い、それをごまかすためにこの不正会計問題が出てきてしまって、もう上場は廃止されてしまうというような、悲しいことになってしまったわけです。
さて、フランスでは11月9日、エマニュエル•マクロン大統領が国内で の原子力発電所を再開すると華々しく発表しております。これは最新の小 型のモジュール型原発ではなくて、従来型の加圧水型の原子炉を最大6機、 これを新たに建設すると言っております。
フランスは2020年の時点でも、 電力供給の70パーセント以上を原発に依存していました。これを2035 年までに50パーセントにまで下げるというのが国家目標だったはずなの ですが、このマクロン大統領の発表を見ますと、この目標を事実上放棄する内容となっています。
というのは、二酸化炭素削減のために、やはり原発を大規模にやるしかない、そういう方向にマクロン大統領は舵を切り直 したわけです。
一方、ドイツのほうは、2011年に17機あったドイツの原発、すでに11 機が停止しており、これから6機を停止させて、2022年の末までに全て の原発を停止させるという目標に向かって、着々と道を歩んでいます。ド イツの電力は、現在のところ、原子力では11パーセント。再生可能エネ ルギーで45パーセント発電しています。石炭火力で23パーセント、天 然ガスで16パーセント。これを合わせて40パーセントですね。原子力 で11パーセントということです。
ですから、23パーセントの石炭火力発 電も維持したうえで、そして、16パーセントの天然ガス発電もさらに拡大する。それによって、原発を全廃することが、2022年末までにできる ということであります。
こちらのほうは着々と脱原発の道を歩んでいる。その代わり、当然のこと ながら、化石燃料による発電を全廃するなんていうことはできない。石炭火力発電も、これは褐炭による発電まで、いわゆる石炭と褐炭による発電 を合わせて石炭火力発電と呼びますが、23パーセントも電力を生産して いるわけですね。
ドイツの場合は、脱原発は原則的に絶対揺るがない。それに対して、二酸 化炭素削減は限られた範囲内でやるという方針ですね。だから脱原発がで きるのだともいえるわけです。
しかし、これを総体して見ますと、フランスやイギリスもアメリカも、結局政府が大幅な補助金、税金を投入して、原発を復活するしかないのです。 総体として見れば、その国の電力価格は高くなるということです。あるいは、電力価格に反映されていなくても、長期的に税金の形でこの原発を行なった処理、後始末のお金は国民が出さなければいけません。
結果としては高い電力を買わされることになります。ということは、その国の経済発展には、非常に原発推進はマイナスになることになるわけです。
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