Ⅰ.“地球規模”の環境詐欺を見抜く :231117情報
「地球温暖化、ダイオキシン…。メディアがこぞって報道する“環境問題” の中には、たくさんのウソが紛れ込んでいる。それらを正しく見極めるためにも私たちは、定説を鵜呑みにせず、自然科学の視点を持って“環境問題”の素顔を 暴かなければいけない。」と東京大学名誉教授の渡邊正氏は説く。
今回は同氏の「つくられた環境問題」と題する論説を、許可を得て掲載いたします。
発展途上の環境科学は ”空騒ぎ“が起きやすい
環境科学は、生まれてからまだ半世紀と若い、発展途上の分野だといえる。そのため、たいていの問題にはいくつもの解釈があるし、何かひとつ新しいことがわかるたびに話が 一変したりもする。そうした現状を認識せずに、ある時点で誰かが得た結果や口にした解釈だけを信じて行動を起こせば、貴重な時間・労力・ お金・資源の浪費につながってしまう。
そのことは、かつてメディアが 散々騒ぎながら今は忘れたフリをしている「酸性雨」「環境ホルモン」「ダイオキシン」といったものから、今 まさに世界の潮流となっている「地球温暖化」(つまり「人為的CO2= 悪」という考え方)に至るまで、すベての「環境問題」にピタリと当てはまる。
日本は「温暖化対策」として2005年から毎年、税金と再エネ賦課 金の形で民から奪った3兆〜5兆円を使い、30年までに総額は100兆 円を超すだろう。
だが日本は世界の 3%しかCO2を出さない。そんな国がフッと消えても気温・気候への 効果はほぼゼロだから、国内で何をしようと意味はない。それを承知 (?)の詐欺師めいた大学人と企業人が「排出削減」を説きまくる。
1992年から毎年開催されているのにまったく結果を出せない「気候変動枠組条約締約国会議」(通称 cop)を見ても、巨費を投じたからといって温暖化は止められないし、 そもそもCO2排出削減に成功した事例など何ひとつ存在しないのだ。
にもかかわらず、世界中がこの流れ を正そうとしないのはなぜか。その 理由を考えたとき、「環境問題」と呼ばれる数々の,空騒ぎ”が生まれ た背景が見えてくる。
政治の道具と化した「地球温暖化」
まずは世界が「環境問題」に注目することとなった経緯を、簡単におさらいしておこう。
1960年代の終わり頃、先進国は長い公害時代を経てようやく環境 汚染の深刻さに気づき、国ごとに環 境官庁をつくって対策を進めた。その結果、80年代の半ばには自然環境 (水、空気、土地)はきれいになり、それから40年近く経った今もきれい なまま維持されている。するとその環境対策を頑張った15年ほどの間に先進各国で増殖していた環境関係者たちは、仕事がどんどん減り、あわや失職の憂き目を見ることに。そのため、たとえば研究者なら、「(研究費を国から引つ張れる)持続可能な テーマが欲しい」と考えるように なっていた。
同じ頃、国際連合(国連)も困っていた。国連は「世界の平等化」と いう任務を持っているが、1990 年前後になると東西冷戦時代の終わりが見えてきたために、“世界の調停役”としての「次の仕事」をつくらなければいけない。
さらにその絶妙なタイミングで、 米国NASAのジェームズ・ハンセ ン氏が人為的CO2温暖化を訴えた (1988年6月)。連邦議会におい て、「何も対策をしなければ30年後 (つまり2018年)に地球の気温は約l°C上がるだろう」とおごそかに予言している。
そんな流れの中、ハンセン氏の議会発言から約3カ月後に、世界気象機関と国連環境計画がIPCC(気候変動に関する政府間パネル)を設立する。そこには国連の「CO2排出のペナルティを先進国に課し、富を途上国へ回せば、世界の平等化に 役立つはず」という思惑があったと 推測される。
すなわち地球温暖化は、 国際政治の道具にされたといってよい。その推測を裏付けるものとして、IPCC第4次報告書•第3巻「対策」の執筆責任者だったオトマー・ イーデンホーファー氏が、こんな発言を残している。
「国連の気候対策は、気候変動そのものはどうでもよくて、世界の富を再分配するためのものなんですよ」(『ニュースバスターズ』2010年11月18日付)
勢い付いた組織は「もう止まれない」! 振り返ってみるとアメリカに代表される先進諸国は、1960年代に は気候変動説を認め始めていた。ちなみに70年代になると「地球寒冷化」を警告する新聞・雑誌記事が次々に 出されたが、当時も世界のCO2排 出量は激増中だった。
それが80年代 に入るといつの間にか「寒冷化」は忘れ去られ、正反対の「人為的CO2 による温暖化」が世界レベルの話題となった。ただしハンセン氏の「l°C 上昇」とする予言に対して、現実には気温はせいぜい0.3°C上昇したにすぎない。また当初は途上国だった中国が、だいぶ前から世界トップ のCO2排出国になっているのだから、「先進国の富を途上国に分配しよう」とする国連の思惑は完璧に破綻している。
それでも、IPCCは「人為的 CO2温暖化は大きな問題ではない」とわかった瞬間に存在意義を失ってしまうので、組織の体面を保っため、「温暖化は危ない」と叫び続けるほ かはない。
いったんできた組織や集団は、体面を保ちメンバーを養っていくため、 ときに不要不急の仕事をつくったりする。「地球温暖化」がまさにそれだった。そして国連を“権威”と 見る人が多いためか、たちまち諸国の政治家と官僚も同調して巨費が利権を生む構図ができあがり、大きな勢いがついて……今や、止まれなくなってしまった。米国に追随する日本の為政者も止まれない。
日本が狂乱した「猛毒ダイオキシン」
クウソの“環境問題”が騒がれるときには、いくつかの共通した傾向がみられる。「ダイオキシン騒ぎ」を例に. その背景を探ってみたい。
そもそも日本人の「ダイオキシンが危険だ」という認識は、ベトナム戦争で使用された「枯葉剤」中のT CDD(ダイオキシン類の一つ)や、海外の農薬汚染問題などに起因しているようだ。はじめて「猛毒だ」と報道したのは朝日新聞で、1983 年に愛媛大学のT川教授が発表した論文を「毒性強いダイオキシンご み焼却場から検出プラスチック生焼け時に化学反応」との見出しで掲載した。
当時は主に、医学方面の研究者が動物実験の結果を見せながら"怖さ" をアピールしていた。ただし「睾丸 にダイオキシンを注射したラットか ら奇形の子が生まれた。接種したダイオキシンの量は体重あたりヒト換算で数百年分」などという途方もない内容だったので、私は訝しがりっ つも「それなりに怖い物質なのだろう」と感じてはいた。
しかし1995〜96年にかけて、 イギリスの有機化学者ジョン•エム ズリーが一般向けに書いた本『逆説・化学物質』(丸善出版)を翻訳 した折りに、その思いは一変する。 同書の「ダイオキシン」という章の 中身は「なぜこんな物質を危険だと 騒ぐ?」というトーンだったからだ。
当時の日本は「ダイオキシンは猛毒で危険」と騒ぐばかりだったので、「これは絶対におかしいぞ」と思い本気で調べ始めたところ、結論は私もエムズリーと同じく「なぜこんなものを騒ぐのか?」となった。
その後も、日本国内では「焼却炉 の出すダイオキシンが色々な経路で人体に入り、健康に害を与える」と決めつける雰囲気が蔓延。98年には「ダイオキシン問題」を告発する本が特にたくさん出版され、大学教授などの有識者が続々と“ダイオキシン猛毒説”に賛同したために、「危険ではない」とは言い出せない雰囲気になっていた(まるで集団催眠)。
そして99年2月1日にテレビ朝日 「ニュースステーション」が、今となっては嘘だった「所沢ホウレンソウの高濃度ダイオキシン汚染」を取 り上げ、それを起爆剤に約半年後の7月16日、超党派の国会議員2 0 7 名が、他国に類のない「ダイオキシン類対策特別措置法」(ダイオキシン法)をつくってしまう。
(つづく)
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