プーチン死亡説とロシア人の反応 :231111情報
ロシアのプーチン大統領が「死亡した」という情報が10月末、インターネット空間や一部メディアを駆け巡りました。発信元は通信アプリ「テレグラム」に開設されている「SVR(対外情報局)の将軍」というチャンネルです。この「将軍」に同調して活動しているソロベイ・モスクワ国際関係大元教授も情報を流布しました。
たびたび出てくるプーチン大統領の死亡説。その背景をソ連崩壊時にロシアに在住し、その後も旧ソ連関係国で外交顧問をやっていた北野幸伯氏が解説していましたので許可を得て転載いたします。
今、ロシア在住ロシア人と外国在住ロシア人の間で一番話題になっていること。それは、【 プーチン死亡説 】です。
日本のテレビでも時々紹介されている「SVR将軍」という人物がいます。SVRというのは、ロシアの「対外情報庁」のこと。この機関の元幹部が「クレムリンの極秘情報を暴露する」というポジションで情報を発信しています。
ちなみに「SVR将軍」は、2021年9月時点で、「来年2022年2月、プーチンはウクライナに侵攻する」と予言していました。これが当たったので、世界中のマスコミ、あるいは諜報機関に注目されることになったのです。
その「SVR将軍」によると、「プーチンは、2023年10月26日に亡くなった」そうです。もう少し詳しく書くと、
・プーチンは、2023年10月26日に亡くなった。
・現在ロシアを実質的に支配しているのは、安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフである。
・パトルシェフは、しばらくの間、プーチンの死を公表しないことを決めた。
・現在執務を行っているのは、プーチンの【影武者】である。
・プーチンの死体は、ヴァルダイの邸宅の冷凍庫に保存されている。
といった感じです。
どうなんでしょうか。私も真相はわかりません。何はともあれ、このセンセーショナルな話は、アッという間に拡散されました。ものすごい数のロシア人ユーチューバーがこの話題に触れることになったのです。
真偽はともかく、「彼らの反応は実に興味深い」と思いました。
まず、「SVR将軍」と共に、「プーチン死亡説」を流布している元モスクワ国際関係大学教授のソロヴェイ氏。彼は、「プーチンは、完全に不可逆的に死んだ」と言いました。そして、「私は実に満足している」とも。
いくら独裁者プーチンといえども、「人が死んだことを喜ぶのは良くない」と批判されることもあるとか。そんな人たちに対し、ソロヴェイ氏は、「プーチンは、人間じゃない。本物のサディストで、何万人、何十万人の人間が 彼のせいで死んだ。」と反論しました。
他のユーチューバーたちで、「死んだ」という話をそのまま信じる人はいませんでした。ほとんどの反応は、
「それが本当なら、【すばらしいニュース】だが、そのまま信じるのは難しい」というものでした。
モスクワの知人、友人に聞いてみると、やはり、「ホントだったらすばらしいことだけど、信じることは難しい」
と、ほとんど同じ反応でした。
「プーチン死亡説」への反応で私がわかったこと。それは、「たくさんの人がプーチンの死を願っている」ということです。もちろん、テレビ世代でクレムリン情報ピラミッドに完全洗脳されている人たちは、プーチンを心から尊敬しているでしょうが。
▼ロシア国民は、なぜ戦争をしているか理解できない
なぜプーチンは、死を切望されるほど嫌われているのでしょうか?
ちなみに、岸田さんもずいぶん嫌われているようです。「増税クソメガネ」というひどいあだ名がついています。岸田さんが嫌われる理由はわかります。日本の税収はここ3年、過去最高を更新続けています。つまり、税収は増え続けているのです。
それなのに岸田さんは、たくさんの種類の増税を画策している。意味がわかりません。だから、嫌われたり、憎まれたりする理由もわかります。
プーチンは、どうでしょうか?
嫌われている最大の理由は、「無意味な戦争を始めたこと」でしょう。プーチンは、「NATO拡大はロシアの脅威だ」と言います。たしかに、31ヶ国の反ロシア軍事同盟が存在していること、それがさらなる拡大を目指していることは脅威に感じます。
だから、プーチンの気持ちもわかります。
ですが、実を言うと、NATO拡大は、ロシアの脅威ではないのです。
なぜ?
ロシアが核超大国だからです。SIPRI YEARBOOK 2023によると。ロシアの核兵器保有数は2023年1月、5889で世界一です。2位はアメリカで、5244。ところで、北朝鮮の保有数は30です。しかし、超大国アメリカは、北朝鮮がいくら暴れても、この国を攻撃しません。
なぜでしょうか?
おわかりでしょう。北朝鮮には核兵器があるからです。確かにNATOは拡大しています。しかし、アメリカは北朝鮮とすら戦争をできないのに、世界一の核大国ロシアと戦争をするでしょうか?
するはずがありません。
「NATO拡大はロシアの脅威だ」というプーチンの言い分もわかりますが、実は脅威など存在していないのです。洗脳されていないロシア国民も、このことを理解しています。
そして、「ロシアが先制攻撃しなければ、ウクライナが攻めてきただろう」というプーチンの寝言を聞いて苦笑しています。こんな無意味な戦争のせいで、ロシア軍の死者数は今年8月時点で12万人に達しているそうです。
(『ニューヨークタイムズ』8月19日付)
日本国民の多くが、「増税」が理由で岸田さんを嫌っている。そうであるなら、無意味な戦争を始め、12万人のロシア人が死ぬ原因を作ったプーチンは、どれだけ国民から嫌われているでしょうか?
そう、「彼の死を願うほど」嫌われているのです。これが、「ナショナリストの英雄」の実像です。
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