すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。
サウジとハマス
――サウジメディアのインタビュー内容とは?:231102情報
ハマスの大規模テロとイスラエルの大反撃、これをイスラエルと国交を結ぼうとしていたサウジアラビアはどう見ているのか。
日本メディアの報道を見るとサウジも反イスラエルにシフトしたようにも思えます。しかし、それは、日本メディアの期待した目で見ている都合のいい画像なのかもしれません。
サウジアラビア国営通信社を見ると、サウジアラビアの実際の支配者、「ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相がイランやイスラム世界の各国首脳と電話会談を行っている」と報じています。
サウジアラビアは、進行中のエスカレーションを阻止するため、国際的・地域的に最大限の努力を行っており、民間人の標的化や無実の人々の命を奪うことに反対する。国際人道法の原則を順守する必要性を強調し、ガザ地区の悲惨な人道状況とそれが民間人に与える影響を強く懸念する。パレスチナの大義を擁護し、パレスチナ人民の正当な権利を保障する包括的で公平な和平の達成を目指す取り組みを支援する。
この発言内容、後半だけを抜き出せば、反イスラエルにとらえることもできますが、前半の平和的秩序の維持が主眼であるとも受け取れます。朝日新聞は後半の切り取りで報道していますが・・・
さて、なかなかわかりにくいサウジアラビアの本音はどこにあるのか。その点を、国際政治学者に解説していただきました。
アル=アラビーヤというテレビのニュースチャンネルが10月20日にあります。これはサウジアラビアを代表するテレビニュースチャンネルですが、準公式放送局、準国営と言っても良いテレビ局です。ここがサウジアラビア政府の意図を呈して様々な意見を発信しています。
そこにハマスの代表を呼びました。そこでハマスの代表に対して「ハマスのやっていることは非人道的である。それはパレスチナ人を代表していない。アラブの国の同意も得ていない」ということを非常にはっきりと言って非難したのです。
サウジアラビアの一番の実力者は皇太子ですが、はっきりとハマスを切り捨ているということを世界に宣言したに等しいと思います。このハマスの代表者はハーリド・マシャアルという人で、彼は海外部門の担当者となっていますが1時間にも及んでアル=アラビーヤのアンカーウーマンの女性がハーリドを難詰したという感じです。
典型的なことはアンカーウーマンの女性が「ハマスが行なった攻撃は通常の作戦ではない。これはイスラエルに対する宣戦布告と同じではないか。これはあなた方が独断で決定したものであり、ヨルダン側のパレスチナ自治政府も知らないし、ガザの人々もこれについては全く相談されていません」と言いました。
それに対してマシャアルは「これは秘密にやったからこそ、うまくいった」と答えていて実際上、総意を得てやったわけではないということを認めたのです。つまり、アンカーウーマンはハマスが勝手にやったと明確に伝えました。
これに関してアンカーウーマンは加えて「アラブ諸国に対イスラエルの攻撃の参加を要請していますが、アラブ諸国はこの決定に全く参加していません。あなた方が勝手にやったことです」ということを非常に強く言ったということです。
それからハマスはガザ地区の200万人のパレスチナ人全体を代表しているわけではありません。そこで言論の自由があって公明正大な選挙をやって、ハマスの人たちが良いから選ばれているわけではないのです。彼らは暴力と利権で、その地域を押さえ込んでいるだけであり、3番目のポイントとして「ハマスのイメージが悪くなったのは、あなた方自身の責任ではないか」とアンカーウーマンが言いました。
つまり、ハマスがイスラム国と並べられるようになったのは、あなた方自身がこういうことをやるからだと言ったのです。そうすると、このマシャアルは「それはネタニヤフ首相の言い掛かりだ」と返答しています。ハマスが明らかに嘘をつき、民間人虐殺を堂々と正当化するというところを表に出したのです。
それからこの攻撃で多くの犠牲者がイスラエル側にも出ましたが、イスラエルが報復することによってガザ地域のパレスチナ人にも大量の犠牲者が出ました。そこで民間人の犠牲者に対してあなた方は責任がないのかということもアンカーウーマンは質問しています。
アンカーウーマンの女性は「ハマスがイスラエルの民間人に対して行なったことが見出しに載っているのに、どうして欧米や世界の人々にパレスチナの大義を支持するように求めることができるでしょうか」と言った言葉はまさに正論です。
イスラエルが多くの同情を得たのは、こういう虐殺の光景があったからであり、民間人をこのように扱うことはハマスのイデオロギー一部なのでしょうか。そうするとマシャアルは「どの戦争でも民間人の犠牲者が出るのは当たり前だ」と答えました。つまり、敵側の民間人を殺しても仕方のないことだと言ったのです。
5番目として、実はパレスチナ人の民間人自体を“人間の盾”と見做しているという点を指摘しています。そもそもマシャアルによると「ハマスは兵士しか殺さない、民間人は殺さない」と言っていましたが、今回はハマスが村を襲撃して赤ちゃんから老人まで皆殺しにしたし、音楽フェスティバルに参加している二百何十人の人たちを皆殺しにしました。ここまでは事実としてはっきりとわかっています。
その嘘をアンカーウーマンが暴いてみせたということです。その5番目としてパレスチナの民間人を“人間の盾”として利用することを全く躊躇していないということも、このインタビューで明らかになりました。
マシャアルは「ロシアはヒトラーの攻撃から解放するために第二次世界大戦で3000万人も犠牲者を出した。ベトナムはアメリカを破るまで350万人を犠牲にした。アルジェリアでも130年間の間に600万人の犠牲者が出た。だからパレスチナの人々も他の民族と同じだ。犠牲なくして解放される民族はない」言ったのです。
これはパレスチナ人たちの総意でハマスを支持していたのであれば話は別ですけど、そうではなくてハマスが勝手にやることによって、実際にハマスを支持していない一般のガザ地区の人たちが犠牲者になっています。
ハマスのガザ地区の指導者であるヤヒヤー・シンワールという方が2018年に言ったそうですが、これも飯山陽さんの発信したものです。「女や子供たちの体は我々にとって最も大切であり、だからこそ女や子供たちの体をダムとして利用するのだとアルジャジーラで述べた」と書かれていました。
この“ダム”というのは“アラブ諸国とイスラエルが国交正常化するのを防ぐためのダム”ということで、まさにサウジアラビアとイスラエルが国交を樹立しようとしていたのを防ぐためのダムで、その犠牲に女や子供を使うということです。
このアンカーウーマンは勇気があって「10月7日にイスラエル市民に行なわれたことを謝罪しますか?」と質問しています。それに対してマシャアルは「謝罪はイスラエルに要求されるべきだ。ハマスが一方的に民間人を殺すことはない」と断言しているのです。断言していますが実際にやっていいます。
このインタビューの意図としてはアル=アラビーアが「ハマスがいかに嘘つきであるか」ということを世界に示すと同時に、サウジアラビア政府としてもハマスを支持していないというサインを世界に発信したことだと思います。
お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com【コピペしてください】
FBは https://www.facebook.com/akaminekaz
サウジとハマス
――サウジメディアのインタビュー内容とは?:231102情報
ハマスの大規模テロとイスラエルの大反撃、これをイスラエルと国交を結ぼうとしていたサウジアラビアはどう見ているのか。
日本メディアの報道を見るとサウジも反イスラエルにシフトしたようにも思えます。しかし、それは、日本メディアの期待した目で見ている都合のいい画像なのかもしれません。
サウジアラビア国営通信社を見ると、サウジアラビアの実際の支配者、「ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相がイランやイスラム世界の各国首脳と電話会談を行っている」と報じています。
サウジアラビアは、進行中のエスカレーションを阻止するため、国際的・地域的に最大限の努力を行っており、民間人の標的化や無実の人々の命を奪うことに反対する。国際人道法の原則を順守する必要性を強調し、ガザ地区の悲惨な人道状況とそれが民間人に与える影響を強く懸念する。パレスチナの大義を擁護し、パレスチナ人民の正当な権利を保障する包括的で公平な和平の達成を目指す取り組みを支援する。
この発言内容、後半だけを抜き出せば、反イスラエルにとらえることもできますが、前半の平和的秩序の維持が主眼であるとも受け取れます。朝日新聞は後半の切り取りで報道していますが・・・
さて、なかなかわかりにくいサウジアラビアの本音はどこにあるのか。その点を、国際政治学者に解説していただきました。
アル=アラビーヤというテレビのニュースチャンネルが10月20日にあります。これはサウジアラビアを代表するテレビニュースチャンネルですが、準公式放送局、準国営と言っても良いテレビ局です。ここがサウジアラビア政府の意図を呈して様々な意見を発信しています。
そこにハマスの代表を呼びました。そこでハマスの代表に対して「ハマスのやっていることは非人道的である。それはパレスチナ人を代表していない。アラブの国の同意も得ていない」ということを非常にはっきりと言って非難したのです。
サウジアラビアの一番の実力者は皇太子ですが、はっきりとハマスを切り捨ているということを世界に宣言したに等しいと思います。このハマスの代表者はハーリド・マシャアルという人で、彼は海外部門の担当者となっていますが1時間にも及んでアル=アラビーヤのアンカーウーマンの女性がハーリドを難詰したという感じです。
典型的なことはアンカーウーマンの女性が「ハマスが行なった攻撃は通常の作戦ではない。これはイスラエルに対する宣戦布告と同じではないか。これはあなた方が独断で決定したものであり、ヨルダン側のパレスチナ自治政府も知らないし、ガザの人々もこれについては全く相談されていません」と言いました。
それに対してマシャアルは「これは秘密にやったからこそ、うまくいった」と答えていて実際上、総意を得てやったわけではないということを認めたのです。つまり、アンカーウーマンはハマスが勝手にやったと明確に伝えました。
これに関してアンカーウーマンは加えて「アラブ諸国に対イスラエルの攻撃の参加を要請していますが、アラブ諸国はこの決定に全く参加していません。あなた方が勝手にやったことです」ということを非常に強く言ったということです。
それからハマスはガザ地区の200万人のパレスチナ人全体を代表しているわけではありません。そこで言論の自由があって公明正大な選挙をやって、ハマスの人たちが良いから選ばれているわけではないのです。彼らは暴力と利権で、その地域を押さえ込んでいるだけであり、3番目のポイントとして「ハマスのイメージが悪くなったのは、あなた方自身の責任ではないか」とアンカーウーマンが言いました。
つまり、ハマスがイスラム国と並べられるようになったのは、あなた方自身がこういうことをやるからだと言ったのです。そうすると、このマシャアルは「それはネタニヤフ首相の言い掛かりだ」と返答しています。ハマスが明らかに嘘をつき、民間人虐殺を堂々と正当化するというところを表に出したのです。
それからこの攻撃で多くの犠牲者がイスラエル側にも出ましたが、イスラエルが報復することによってガザ地域のパレスチナ人にも大量の犠牲者が出ました。そこで民間人の犠牲者に対してあなた方は責任がないのかということもアンカーウーマンは質問しています。
アンカーウーマンの女性は「ハマスがイスラエルの民間人に対して行なったことが見出しに載っているのに、どうして欧米や世界の人々にパレスチナの大義を支持するように求めることができるでしょうか」と言った言葉はまさに正論です。
イスラエルが多くの同情を得たのは、こういう虐殺の光景があったからであり、民間人をこのように扱うことはハマスのイデオロギー一部なのでしょうか。そうするとマシャアルは「どの戦争でも民間人の犠牲者が出るのは当たり前だ」と答えました。つまり、敵側の民間人を殺しても仕方のないことだと言ったのです。
5番目として、実はパレスチナ人の民間人自体を“人間の盾”と見做しているという点を指摘しています。そもそもマシャアルによると「ハマスは兵士しか殺さない、民間人は殺さない」と言っていましたが、今回はハマスが村を襲撃して赤ちゃんから老人まで皆殺しにしたし、音楽フェスティバルに参加している二百何十人の人たちを皆殺しにしました。ここまでは事実としてはっきりとわかっています。
その嘘をアンカーウーマンが暴いてみせたということです。その5番目としてパレスチナの民間人を“人間の盾”として利用することを全く躊躇していないということも、このインタビューで明らかになりました。
マシャアルは「ロシアはヒトラーの攻撃から解放するために第二次世界大戦で3000万人も犠牲者を出した。ベトナムはアメリカを破るまで350万人を犠牲にした。アルジェリアでも130年間の間に600万人の犠牲者が出た。だからパレスチナの人々も他の民族と同じだ。犠牲なくして解放される民族はない」言ったのです。
これはパレスチナ人たちの総意でハマスを支持していたのであれば話は別ですけど、そうではなくてハマスが勝手にやることによって、実際にハマスを支持していない一般のガザ地区の人たちが犠牲者になっています。
ハマスのガザ地区の指導者であるヤヒヤー・シンワールという方が2018年に言ったそうですが、これも飯山陽さんの発信したものです。「女や子供たちの体は我々にとって最も大切であり、だからこそ女や子供たちの体をダムとして利用するのだとアルジャジーラで述べた」と書かれていました。
この“ダム”というのは“アラブ諸国とイスラエルが国交正常化するのを防ぐためのダム”ということで、まさにサウジアラビアとイスラエルが国交を樹立しようとしていたのを防ぐためのダムで、その犠牲に女や子供を使うということです。
このアンカーウーマンは勇気があって「10月7日にイスラエル市民に行なわれたことを謝罪しますか?」と質問しています。それに対してマシャアルは「謝罪はイスラエルに要求されるべきだ。ハマスが一方的に民間人を殺すことはない」と断言しているのです。断言していますが実際にやっていいます。
このインタビューの意図としてはアル=アラビーアが「ハマスがいかに嘘つきであるか」ということを世界に示すと同時に、サウジアラビア政府としてもハマスを支持していないというサインを世界に発信したことだと思います。
お問い合わせ先 akaminekaz@gmail.com【コピペしてください】
FBは https://www.facebook.com/akaminekaz