赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナ問題、もう一つの視座 コラム(412)

2022-04-29 09:12:19 | 政治見解



コラム(412):ウクライナ問題、もう一つの視座

ロシアによるウクライナ侵略戦争は長期化の様相を呈していますが、これがもっと長引くのではないかと危惧しています。

長期化の懸念

なぜなら、国連も国際社会も無力でロシアを制する力はなく、ウクライナの人びとの祖国愛、祖国防衛の気概だけがロシアの魔の手の防波堤になっており、この状態は、おそらくはプーチン氏が病に倒れるか、あるいはかつてないほどの経済制裁の影響でロシア社会が崩壊するまで続くのではないかと推測できるからです。

そうなると、ウクライナの凄惨な状態が長引くということになります。これにより、ウクライナの人びとの悲しみと苦悩が続くだけでなく、取り返しのつかない心の傷を残すことになりそうです。

その一方で、ウクライナ問題の長期化は、ロシアの思惑とは別の事情で戦争が継続されているのではないかとの疑念も生じています。私にはなぜかこの戦争が、いつの間にか新旧兵器の展示場、実験場に変えられていて、しかも、米中の代理戦争の様相に見えて仕方がないのです。


反撃はできてもロシア軍を押し戻せない理由

前者の兵器の展示場、実験場の意味はすぐにお分かりになると思います。第二次世界大戦からあまり更新されていないロシア軍の兵器は町中を破壊しつくすほどの威力はありませが、西側が供与する近代化された兵器に弱点をさらけ出しています。そのため、現在、ロシア軍は戦闘能力の25%以上を失った模様です【※1】。

【※1】英政府によると、ロシア軍の戦死者が15000人に上り、装甲車両も2000台超が破壊されたか、ウクライナ軍に奪われた模様。内訳は戦車が少なくとも530両、歩兵戦闘車が560台など。また、ヘリと戦闘機は計60機超を失う。2月の侵攻開始当初、露軍は地上戦闘人員の約65%を投入し、1000人近い兵士で構成する大隊戦術グループを120以上集結させたが、現時点で25%超が戦闘に耐えられない状態にある。

一方のウクライナ軍は善戦していると思います。しかし、ロシア軍に反撃を加えることはできても、ロシア軍をロシアに押し戻す力はありません。そのような装備を西側諸国から与えられていないからです。

ウクライナがNATO加盟国ではないということが理由かもしれませんが、ウクライナをサポートするアメリカや西側諸国がまだ十分にウクライナを信用していないことが本当の理由だと思います。要はゼレンスキー政権が倒された場合の最悪のシナリオを考慮に入れてのこと、といっても過言ではないと思います。つまり、西側諸国の戦力の供与は小出しであるということなのです。

中途半端なウクライナへの武器支援が、かえってウクライナの悲劇を続けさせる要因になっているのですから、これは下策だと思います。戦力の小出し、逐次投入で失敗した事例は多いのですから。


米中の代理戦争

アメリカはロシアを中国と読み替えてウクライナを支援しているように思います。中国もその点は理解しているようで、ウクライナ対ロシアという構図をアメリカ対中国と置き換えることも可能だと思います。

実際、国連の場ではウクライナ問題をめぐって西側諸国を加えたアメリカとロシアを支援する中国の対立がおさまることはありません。ウクライナ問題が事実上の米中対立になっており、これが大国間の思惑でウクライナ問題が左右され、何も解決策のないまま放置されています。ウクライナの悲劇を長引かせるもう一つの要因と言えると思います。

ただ、ウクライナ問題のおかげで中国は台湾をはじめ周辺国に対する軍事行動に足踏みをかけたのは確かです。ロシアの蛮行に国際世論が激しく反発したことの影響だけではなく、旧ソ連・ロシアの兵器体系をコピペした中国の兵器ではアメリカの近代兵器の前では無力であることを認識したからです。台湾侵攻あるいは沖縄に侵攻しようとした場合、ほとんどの艦船が海の藻屑となりそうで、海を越えての侵略はもはや無謀となりました。


もう一つの真実

ある研究者から以下のメールがありました。この方の意見は、これまでには全く見られない独自の見解があるので掲載を躊躇しましたが、こういう考え方もあるのだという参考事例としてあえて引用いたします。

テレビに出てくる大学のロシア研究者も防衛省の研究者も、歴史も事実関係も、兵器に関しても、勉強不足と云うよりも、全く無知のようです。
これは米国が始めた戦争です。
ロシアは、仲良し米国の黙認が無ければ絶対にやりません。真珠湾のときと同じように、プーチンは嵌められた(米国とツルンだKGBか?)と思います。

金融制裁など、チョットは効き目がありますが逆効果。ドル体制の崩壊です。
オイル・ガス本位制、鉱物資源本位、大豆本位制・・・・で、
ルーブルでも、元でも、ルピーでも何でもありの多元制となります。グローバル・ドルのもとで紙きれだった通貨も、地下に資源(物)でもあれば、生き返ります。
「ロシアはルーブルで払え」と言っていますが、ドルが無くても、ルーブルが無くても、例えばペソで払えば銀行が勝手にルーブルに変換するだけで簡単です。ドルを買う必要が無いので、手数料も半減です。
これは、80%の貧乏国が望んでいた体制です。

恐ろしい時代がきます。自宅で戦争に参加できるようになりました。好事家は、どちらが側でも面白ければ関係ありません。ソフトが流れています。
ハードも例えば米国戦車砲1台は、高級車数台に変わって、流れています。
ウクライナも今はロシアのお陰で統一されていますが、もともと分裂国家。民間やゴロツキ集団に渡った兵器は、各派の貯蔵に回っています。「秀吉の刀狩」は難しいでしょう。


理解しがたいところもありますが、「アメリカが黙認した戦争」というところは理解できます。なぜなら、石油やシェールガスの産油国であり、農業大国でもあり、最新の軍事兵器をそろえているという時点でアメリカに並び立つ国はなく、ロシアの蛮行のおかげでアメリカはその存在価値に脚光を浴びさせることに成功したと言えるからです。

ただ、こう言うと一気に陰謀論者が噴き出してくるのでブログに書くのをずっとためらっていましたが、一般的な見解と違った角度から見ると、こういう風にも見えるという参考意見として論述しました。

さまざまな見解があるとは思いますが、ロシアによるウクライナ侵略戦争で、エネルギー、食糧、武器の輸出で、漁夫の利を得たのがアメリカであることは間違いないと思います。


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