すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。
Ⅰ.“地球規模”の環境詐欺を見抜く :231117情報
「地球温暖化、ダイオキシン…。メディアがこぞって報道する“環境問題” の中には、たくさんのウソが紛れ込んでいる。それらを正しく見極めるためにも私たちは、定説を鵜呑みにせず、自然科学の視点を持って“環境問題”の素顔を 暴かなければいけない。」と東京大学名誉教授の渡邊正氏は説く。
今回は同氏の「つくられた環境問題」と題する論説を、許可を得て掲載いたします。
発展途上の環境科学は ”空騒ぎ“が起きやすい
環境科学は、生まれてからまだ半世紀と若い、発展途上の分野だといえる。そのため、たいていの問題にはいくつもの解釈があるし、何かひとつ新しいことがわかるたびに話が 一変したりもする。そうした現状を認識せずに、ある時点で誰かが得た結果や口にした解釈だけを信じて行動を起こせば、貴重な時間・労力・ お金・資源の浪費につながってしまう。
そのことは、かつてメディアが 散々騒ぎながら今は忘れたフリをしている「酸性雨」「環境ホルモン」「ダイオキシン」といったものから、今 まさに世界の潮流となっている「地球温暖化」(つまり「人為的CO2= 悪」という考え方)に至るまで、すベての「環境問題」にピタリと当てはまる。
日本は「温暖化対策」として2005年から毎年、税金と再エネ賦課 金の形で民から奪った3兆〜5兆円を使い、30年までに総額は100兆 円を超すだろう。
だが日本は世界の 3%しかCO2を出さない。そんな国がフッと消えても気温・気候への 効果はほぼゼロだから、国内で何をしようと意味はない。それを承知 (?)の詐欺師めいた大学人と企業人が「排出削減」を説きまくる。
1992年から毎年開催されているのにまったく結果を出せない「気候変動枠組条約締約国会議」(通称 cop)を見ても、巨費を投じたからといって温暖化は止められないし、 そもそもCO2排出削減に成功した事例など何ひとつ存在しないのだ。
にもかかわらず、世界中がこの流れ を正そうとしないのはなぜか。その 理由を考えたとき、「環境問題」と呼ばれる数々の,空騒ぎ”が生まれ た背景が見えてくる。
政治の道具と化した「地球温暖化」
まずは世界が「環境問題」に注目することとなった経緯を、簡単におさらいしておこう。
1960年代の終わり頃、先進国は長い公害時代を経てようやく環境 汚染の深刻さに気づき、国ごとに環 境官庁をつくって対策を進めた。その結果、80年代の半ばには自然環境 (水、空気、土地)はきれいになり、それから40年近く経った今もきれい なまま維持されている。するとその環境対策を頑張った15年ほどの間に先進各国で増殖していた環境関係者たちは、仕事がどんどん減り、あわや失職の憂き目を見ることに。そのため、たとえば研究者なら、「(研究費を国から引つ張れる)持続可能な テーマが欲しい」と考えるように なっていた。
同じ頃、国際連合(国連)も困っていた。国連は「世界の平等化」と いう任務を持っているが、1990 年前後になると東西冷戦時代の終わりが見えてきたために、“世界の調停役”としての「次の仕事」をつくらなければいけない。
さらにその絶妙なタイミングで、 米国NASAのジェームズ・ハンセ ン氏が人為的CO2温暖化を訴えた (1988年6月)。連邦議会におい て、「何も対策をしなければ30年後 (つまり2018年)に地球の気温は約l°C上がるだろう」とおごそかに予言している。
そんな流れの中、ハンセン氏の議会発言から約3カ月後に、世界気象機関と国連環境計画がIPCC(気候変動に関する政府間パネル)を設立する。そこには国連の「CO2排出のペナルティを先進国に課し、富を途上国へ回せば、世界の平等化に 役立つはず」という思惑があったと 推測される。
すなわち地球温暖化は、 国際政治の道具にされたといってよい。その推測を裏付けるものとして、IPCC第4次報告書•第3巻「対策」の執筆責任者だったオトマー・ イーデンホーファー氏が、こんな発言を残している。
「国連の気候対策は、気候変動そのものはどうでもよくて、世界の富を再分配するためのものなんですよ」(『ニュースバスターズ』2010年11月18日付)
勢い付いた組織は「もう止まれない」! 振り返ってみるとアメリカに代表される先進諸国は、1960年代に は気候変動説を認め始めていた。ちなみに70年代になると「地球寒冷化」を警告する新聞・雑誌記事が次々に 出されたが、当時も世界のCO2排 出量は激増中だった。
それが80年代 に入るといつの間にか「寒冷化」は忘れ去られ、正反対の「人為的CO2 による温暖化」が世界レベルの話題となった。ただしハンセン氏の「l°C 上昇」とする予言に対して、現実には気温はせいぜい0.3°C上昇したにすぎない。また当初は途上国だった中国が、だいぶ前から世界トップ のCO2排出国になっているのだから、「先進国の富を途上国に分配しよう」とする国連の思惑は完璧に破綻している。
それでも、IPCCは「人為的 CO2温暖化は大きな問題ではない」とわかった瞬間に存在意義を失ってしまうので、組織の体面を保っため、「温暖化は危ない」と叫び続けるほ かはない。
いったんできた組織や集団は、体面を保ちメンバーを養っていくため、 ときに不要不急の仕事をつくったりする。「地球温暖化」がまさにそれだった。そして国連を“権威”と 見る人が多いためか、たちまち諸国の政治家と官僚も同調して巨費が利権を生む構図ができあがり、大きな勢いがついて……今や、止まれなくなってしまった。米国に追随する日本の為政者も止まれない。
日本が狂乱した「猛毒ダイオキシン」
クウソの“環境問題”が騒がれるときには、いくつかの共通した傾向がみられる。「ダイオキシン騒ぎ」を例に. その背景を探ってみたい。
そもそも日本人の「ダイオキシンが危険だ」という認識は、ベトナム戦争で使用された「枯葉剤」中のT CDD(ダイオキシン類の一つ)や、海外の農薬汚染問題などに起因しているようだ。はじめて「猛毒だ」と報道したのは朝日新聞で、1983 年に愛媛大学のT川教授が発表した論文を「毒性強いダイオキシンご み焼却場から検出プラスチック生焼け時に化学反応」との見出しで掲載した。
当時は主に、医学方面の研究者が動物実験の結果を見せながら"怖さ" をアピールしていた。ただし「睾丸 にダイオキシンを注射したラットか ら奇形の子が生まれた。接種したダイオキシンの量は体重あたりヒト換算で数百年分」などという途方もない内容だったので、私は訝しがりっ つも「それなりに怖い物質なのだろう」と感じてはいた。
しかし1995〜96年にかけて、 イギリスの有機化学者ジョン•エム ズリーが一般向けに書いた本『逆説・化学物質』(丸善出版)を翻訳 した折りに、その思いは一変する。 同書の「ダイオキシン」という章の 中身は「なぜこんな物質を危険だと 騒ぐ?」というトーンだったからだ。
当時の日本は「ダイオキシンは猛毒で危険」と騒ぐばかりだったので、「これは絶対におかしいぞ」と思い本気で調べ始めたところ、結論は私もエムズリーと同じく「なぜこんなものを騒ぐのか?」となった。
その後も、日本国内では「焼却炉 の出すダイオキシンが色々な経路で人体に入り、健康に害を与える」と決めつける雰囲気が蔓延。98年には「ダイオキシン問題」を告発する本が特にたくさん出版され、大学教授などの有識者が続々と“ダイオキシン猛毒説”に賛同したために、「危険ではない」とは言い出せない雰囲気になっていた(まるで集団催眠)。
そして99年2月1日にテレビ朝日 「ニュースステーション」が、今となっては嘘だった「所沢ホウレンソウの高濃度ダイオキシン汚染」を取 り上げ、それを起爆剤に約半年後の7月16日、超党派の国会議員2 0 7 名が、他国に類のない「ダイオキシン類対策特別措置法」(ダイオキシン法)をつくってしまう。
(つづく)
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無国籍情報資本の支配力 :231116情報
インターネットの普及で、世界は、情報が自由に行き来して、より自由で民主的、平等的な社会が生まれるのではないかという期待がありました。しかし、現実は、インターネットを支配している企業が独占企業となり、しかも国家を離れた 無国籍情報資本になって国家をコントロールし、国家を通じてわれわれをコントロール指してきているようにも思えます。
その実態を、すでに何年も前に国際政治学者が見抜いていました。数年前の記述ということを踏まえても読む価値はありますので、あえて掲載いたします。
産業資本の時代の権力構造
かつて、国家独占資本主義というものが言われていました。資本がどんどん大きく独占的になって国家と一体になり、国家を乗っ取って強い支配力を発揮します。これは国家独占資本、独占資本主義と言われました。
マルクス主義的な言い方では「帝国主義」ということでもありました。レー ニンなどの時代です。 20世紀の初め頃に、国家独占資本主義が国家の軍を用いて世界中で植民地争奪戦を行ないました。これは欧米の進んだ資本主義の支配形態であると、左翼の人々、マルクス主義者から批判があった わけです。
当時はそれがかなりの実態を表しており、19世紀後半に産業省本がどんどん発達し始め、鉄鋼や石油、鉄道などが独占資本化をしてきました。国家の中でこれらが一番強い力を持ってしまいましたので、アメリカでは独 占禁止法ができました。
独占の単独、寡占をしていると自由経済のいいところが出ないわけですから、二つや三つの限られた数の企業が市場全体を統制して管理すると自由経済ではなくなってしまうため、企業を分割して 自由競争をもう一回起こそうという動きがあったわけです。勇気を持って それを行なったのが20世紀初頭、共和党のセオドア・ルーズベルト大統領政権であったわけです。
しかしヨーロッパでも日本でもアメリカでも、 この国家独占資本というものが非常に大きな支配力があったのは事実だと思います。これが民主政治に対する非常に大きな圧力になっていたということです。
金融資本の時代の支配者
その次に、物事を製造する産業資本から金融資本へと支配力は移っていきました。19世紀にも既にそういう議論がありましたが、産業資本、産業それぞれのものづくりをやっている企業ではなく、金融を握っている企業 のほうが強くなり、金融を握られてしまうと産業資本、物を作っているほうもコントロールされてしまいます。
金融資本を中心に独占的な企業形態 が市場経済をコントロールするようになってしまったということで、この 金融資本に注目したのですが、初めは国内の金融資本だったものが国際化して多国籍化、やがては無国籍化していきました。
ですから80年代から 90年代、1900年代に一番強かったのは、この国際的な金融資本であったと私は思います。この国際的な金融資本も多国籍的な問題がありましたが、 私はやがては無国籍金融資本が一番強い時代ということが少し前までは あったと思います。ちなみに無国籍金融資本などが利用しているのはタッ クスヘイブン、税金を支払わない仕組みだったわけです。
現代は、無国籍の情報資本が世界を支配する
ところが今はさらに変わって、私は無国籍の情報資本が世界を支配する時代がきたと思います。デモクラシーに対する一番大きな脅威になる時代がきたと認識しています。ですから無国籍情報資本であるGAFA的なもの、 GAFA的な全体主義が情報をコントロールすることによって、われわれ先進国で発達した民主政治が弾圧されるような形になってきています。
これは、革命派のマルクス主義派の考え方です。要は、マルクス主義者や共産主義者はこれを全廃して共産主義にしてしまえというわけです。それを許すと何が起きるかというと、マルクス主義的な政治、指導者、政党、そういった人たちの集団が社会の全てをコントロールする、今以上に恐ろしい全体主義的な社会が生まれてしまいます。
それはソ連邦の誕生や、今の中華人民共和国が行なっていることを見れば明らかです。ですからわれわれは、革命路線を取るわけには絶対にいきません。今の体制ではこの無国籍情報資本がわれわれをコントロールしょうとしていますが、われわれにはまだ抵抗する余地があります。
そして、かつて20世紀の初頭にセオドア・ルーズ ベルトがやったように、今はそういった無国籍で独占的な情報資本を分割して自由競争を起こさせ、自由を守り、さらに発展させていくことがで きるわけです。
かつてインターネットが発達することによって情報が自由に世界的も行き来して、より自由で民主的、平等的な社会が生まれるのではないかという期待を持っていた時期もありました。
しかし、そこから生まれてインターネットを支配している企業が独占企業となり、しかも国家を離れた 無国籍情報資本になって国家をコントロールし、国家を通じてわれわれをコントロールする、あるいは無国籍な情報資本が国家の枠組みとは関係なく直接われわれをコントロールしています。
今のフェーズでは、この無国籍情報資本が国家より強いという形になってしまっています。例えばトランプ氏が大統領であったトランプ政権時代であっても、Twitter 社は彼のTwitterアカウントを独断でコントロールしました。政府が言っている、言っていないは関係なく Twitter社は民間企業の力によって言論の自由を完全に統制するという恐ろしいことを行なったのです。
政府が権力で弾圧して言論の自由を弾圧したのであれば、これがピンチであると分かります。しかし民間企業がやっているのであれば、企業が勝手にやっているのでいいでしょうと、かなりのアメリカ人は考えてしまいま 。ですから民間企業による弾圧、無国籍情報資本によるもののほうが、国家による弾圧よりも怖いのかもしれません。
いえ実際怖いというのが、 今の形です。無国籍情報資本は国家以上の支配力を持っています。むしろ国家を自分の傘下に収めてコントロールしようとしているのです。これが明らかになったのは、イギリスの三つの情報機関がクラウド化を AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)に任せるという決断をしてしまった、 少なくともボリス•ジョンソン政権はその決断をしたのです。
そしてアメ リカでは、2013年から6億ドルでAWSがCIAの情報クラウド化を行 なっていたという恐ろしい話もあります。
私はかってよりイギリスの守旧派は原発推進派であり、そしてタックスヘイブンを擁護する立場であると申し上げてきました。そして、まさにこの無国籍情報資本はタックスヘイブンの脱税システム、脱税マネーロンダリングシステムを最も利用している企業です。
そういうところで、この英国守旧派であるボリス・ジョンソン政権が自分の国の国家機密までも無国籍情報資本に売り渡してしまうということ、そしてまたボリス・ジョンソン政権がタックスヘイブン維持派であり、タックスへイブ ンを維持するためにこそ、イギリスの保守党の人たちはEUを離脱した、ブレグジットを行ないました。ボリス・ジョンソンがどういう思いで このブレグジットをやったかという本音が、ここに出てしまっているわけです。
しかしこれにより、ロイヤル・ダッチ・シェルやブリティッシュ・ペトロリアム(BP)といったイギリスのエスタブリッシュメント企業と内戦を起こす時代が来てしまったと私は思います。
要するに国を売ってしまったわけです。そして産業資本、エネルギー産業も売ってしまっているわけですから、国を没落させても構わないのでしょう。
いずれにしろ、われわれが最も注意しなければいけないのはこういう無国籍情報資本です。では日本では誰が無国籍情報資本に日本の国家機密を売 渡すのか、あるいは、われわれの個人情報などを売り渡すようなことを決定したのか。私はデジタル大臣であった平井氏に多大なる責任があるのではないかと思います。
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原発推進の裏に利権あり :231115情報
昨日の当ブログ『地球温暖化議論の裏にある思惑』 の続編です。国際政治学者の解説です。
アメリカ、イギリス、フランスは、原発再開 の方針を打ち出しました。原発再開の方向に舵を切ったわけです。
これは COP26などをやっておりますけれども、地球温暖化を阻止するためにはとくにCO2を削減しないといけない、そのためには原発をガンガンやらないと駄目だ、というレトリックです。
はっきり言って、ここまでくると 結局原発をやりたいために地球温暖化、地球温暖化と言っていたかのよう な本音が透けて見えるどころか、本音がもう見え見えという感じです。これはいろいろな人がいろいろな理由で、地球温暖化だ、CO2を削減しろ、 温暖化ガスを削減しろと言っているのでしょう。
しかし、私は、その中でも一番多く地球温暖化論を上げて、強力に温暖化 が削減を訴えてきた勢力は原子力発電派、原子力発電を推進しようとする 人たちだったと思います。
結局、彼らが一番多くの政治的な力を持ち、そし て、一番多くの予算、おそらく陰の予算も使って地球温暖化論を盛り上げてきたのではないかなと思います。
一つは明らかな社会主義派ですね。資本主義経済を挫折させるために、温暖化ガスを規制し、経済発展をさせない。資本主義経済を窮地に追い込む ために、資本主義経済の全体主義的な、社会主義的な統制を進めるために、 この地球温暖化論を言っていた人たちがかなりいると思います。
もう一つは、もっとそれより露骨で、要するに原発をやりたいから、C02 が出ない原発がいいのだという理屈、結論に持っていくために、一生懸命、 この地球温暖化論を推進していた人たちが、強力な推進力だったのだと推測しています。保守派の中では、原発推進論者たちが、地球温暖化論をー番推進してきた原動力でしたが、そのことが、まさに 今度のCOP26で明らかになったのではないかと思います。手品のネタが バレたような感じですよね。
アメリカでは、1兆2,000億ドルに及ぶインフラ 投資計画、投資法案。これを最終的に、議会が承認をいたしました。そして、ジョー・バイデン大統領の署名をもって、この法案が成立しましたが、これはいろいろな道路や橋、公共交通機関、鉄道などに、多額のインフラ投 資をするいい面もあるわけです。
これはドナルド・トランプ政権がやろうとしていたものも含んでいるのですが、その中に原発救済案も含まれております。2022年から2026年の間、60億ドルをこの原発救済のために 投じるということです。原発はどんどん古くなっているのですけども、日 本でも初めは40年原発が寿命であるといったのが、いやいや、まだ使え るから、あと20年、60年間使いましょうとなっていますけれども、アメリカでも一緒なのです。
そして、新しい原発をつくるとなると、さすがに反発する人が多いので、 古い原発、これを継続して使うためには、それなりのリノベーションをしな いといけないということです。メンテナンスをして、そして壊れないよう にしないといけないということで、それに60億ドルを主に投資するということです。
このインフラ投資法案とは別に、アメリカのエネルギー省は原発による水素製造プロジェクト、いわゆる水素社会に向けた水素製造プロジェクトのために、2,000億ドルを拠出する計画を実施しようとしております。さら に、これは連邦政府とは別で、州レベルで見ますと、イリノイ州、ペンシルベニア州、それからノースカロライナ州などで、CO2排出削減を口実に、 老朽化した原発を延命させるために、州政府が多額の補助金を支出することを決定しております。
結局、これはどういうことかというと、一つ、隠れた要素があるのです。そ れは、老朽化した原発を止めてしまって、このままおしまいですというわけにはいかないのです。放射能汚染された巨大な建物が残るわけです。そうすると、この老朽化した、あるいは廃棄された原発の解体処理というのは、膨大な費用がかかります。一体いくらお金がかかるのかわからないくらいの費用がかかるわけです。
日本でも福島の原発事故を起こしましたが、 これも解体処理、どうしょうもない状況ですよね。それから、これは事故を起こしていなくても、放射能汚染の塊ですから、このままそこに遺跡の ように放っておいていいのかというと、そういうわけにはいきません。解体処理をするとなると、時間もかかるし、膨大な費用がかかります。
だから、この膨大な費用を表面化させないために、五月雨式に、まだ必要だからあと5年、あと10年使おうということになってくるわけです。でもそのためにも、ローカルな政府も、州政府も、連邦政府も、お金を出さ ないといけないということなのです。
これは問題を実は先送りにしているわけです。原発推進派の人たちが語らない問題というのは、実はこの大量に出る、とくに高濃度の放射線廃棄物、 これをどう処理したらいいのか。このためにまたものすごいお金がかかります。それから、もう一つは、原発そのものですね。廃棄した原発。この 解体処理にものすごいお金がかかるということです。
こういうことを含めて考えると、原発によって生産される電力は、総体としてコスト高になるということなのです。
それから、本当にCO2を削減できるのかというと、これもクエスチョンマークです。というのは、原発 が稼働し発電しているときは、CO2を出差ないのはそのとおりなのですが、 原子力発電所をつくることは大量の大型工事です。C02がいっぱい排出されます。それから、ウラン燃料を鉱石として鉱山で発掘して、それを運び、 そして精錬してウラン燃料をつくるというところ。ここまでにも大量の二 酸化炭素を排出しています。
そして、廃棄した後も、原発自身の解体にもCO2が大量に使われ、排出 されますし、またこれを長年取っておく、万年単位で保存しないといけな い。このためにも大量のC02が排出されることになります。そうすると、 初めから終わりまで含めて考えると、果たして原発というのがC02の削減にいいのかどうかというのはちょっとクエスチョンマークですね。
こういったことは専門家の方が厳密に計算されるのだと思いますが、おそらく何十年も無事故で運転できて、ようやくいわゆるカーボンニュートラ ルに到達できるということなのではないかと思います。
これは、実は電気自動車も一緒ですよね。電気自動車を、初めからつくり、電池をつくって、そして、最後はその主要部分の電池を解体して全部処理するところまで、生まれてから死ぬまで電気自動車のことを考えると、そんなにC02の削減に役立っていないというのが、これはヨーロッパの調査委員会の、諮問委員会の答えです。
ただ、走っているときにC02を出さない電気自動車というだけなのです。ただ、総体としてのCO2排出量を考えると、ガソリンエンジンの自動車も変わらないという結論も出ております。原発も同じようなことなのでは ないかと思います。
しかし、アメリカはそういった形で、原発を再開させようということにきています。これはどういうことかというと、最終的に連邦政府、中央政府もお金を出し、補助金を出すというと、結局利用者、消費者、電力を買っ ている企業、みんな割高の電力を買わされるということです。
しかも最終 処分まで含めたら、非常に高いコストをみんな原発の電力に対して負担しなければいけない。表に見えていない、隠れたコストがいっぱいあるとい うのが、原発です。
さて、2021年11月12日に東芝の分社化が決まりました。分社化というけれど、要するに解体ですね。日本を代表する総合家電メーカーで、弱 電から重電まであって、素晴らしい会社でした。しかし、この東芝が粉飾決算、インチキの決算をして、そして解体されていくという、悲しい姿を我々は目撃しているわけです。日本の高度成長を引っ張ってきた企業の一つですよね。
東芝がここまで衰退した原因。それ はいろいろあるでしょう。経営者レベルの問題もいろいろあると思います。 社内の派閥争いなど、そういった問題もいろいろあるでしょう。しかし、私が指摘したいのは、いくつもある原因の中で、単一で最も重い 原因はなんなのかというと、東芝が原発に依存しすぎたこと、原発にこだわりすぎたことだと思います。
これは半導体や他の部門でも大変もけていたのに、結局原発で全部お金を損したのですね。ウェスティングハウス いう会社を買い、そこの経営がうまくいかず、そして、お金を失い、それをごまかすためにこの不正会計問題が出てきてしまって、もう上場は廃止されてしまうというような、悲しいことになってしまったわけです。
さて、フランスでは11月9日、エマニュエル•マクロン大統領が国内で の原子力発電所を再開すると華々しく発表しております。これは最新の小 型のモジュール型原発ではなくて、従来型の加圧水型の原子炉を最大6機、 これを新たに建設すると言っております。
フランスは2020年の時点でも、 電力供給の70パーセント以上を原発に依存していました。これを2035 年までに50パーセントにまで下げるというのが国家目標だったはずなの ですが、このマクロン大統領の発表を見ますと、この目標を事実上放棄する内容となっています。
というのは、二酸化炭素削減のために、やはり原発を大規模にやるしかない、そういう方向にマクロン大統領は舵を切り直 したわけです。
一方、ドイツのほうは、2011年に17機あったドイツの原発、すでに11 機が停止しており、これから6機を停止させて、2022年の末までに全て の原発を停止させるという目標に向かって、着々と道を歩んでいます。ド イツの電力は、現在のところ、原子力では11パーセント。再生可能エネ ルギーで45パーセント発電しています。石炭火力で23パーセント、天 然ガスで16パーセント。これを合わせて40パーセントですね。原子力 で11パーセントということです。
ですから、23パーセントの石炭火力発 電も維持したうえで、そして、16パーセントの天然ガス発電もさらに拡大する。それによって、原発を全廃することが、2022年末までにできる ということであります。
こちらのほうは着々と脱原発の道を歩んでいる。その代わり、当然のこと ながら、化石燃料による発電を全廃するなんていうことはできない。石炭火力発電も、これは褐炭による発電まで、いわゆる石炭と褐炭による発電 を合わせて石炭火力発電と呼びますが、23パーセントも電力を生産して いるわけですね。
ドイツの場合は、脱原発は原則的に絶対揺るがない。それに対して、二酸 化炭素削減は限られた範囲内でやるという方針ですね。だから脱原発がで きるのだともいえるわけです。
しかし、これを総体して見ますと、フランスやイギリスもアメリカも、結局政府が大幅な補助金、税金を投入して、原発を復活するしかないのです。 総体として見れば、その国の電力価格は高くなるということです。あるいは、電力価格に反映されていなくても、長期的に税金の形でこの原発を行なった処理、後始末のお金は国民が出さなければいけません。
結果としては高い電力を買わされることになります。ということは、その国の経済発展には、非常に原発推進はマイナスになることになるわけです。
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地球温暖化議論の裏にある思惑 :231114情報
地球温暖化がすすむと、どんな影響があるのか。関西電力の子ども向けの話が分かりやすい。これを要約すると・・・。
1.南極や北極などの寒い場所や、高い山などにある氷や氷河が溶けて、海の水が増えてしまうんだ。南太平洋にあるキリバスやツバルといった小さな島国は、国が丸ごと海に沈んでしまうことが心配されているんだ。
2.寒い場所の氷が溶けてしまうと、氷の上や冷たい海で暮らしていた動物たちが生きていけなくなるんだ。海の水位が上がって陸が減ることで、森の木や花、森の中に住んでいた動物たちの住む場所がなくなってしまうかもしれないんだ。
3.いままで寒かったところが寒くなくなったり、暑かったところはさらに暑くなったりすることが予想されているんだ。そして、大雨や洪水、台風が増えるかもしれないし、反対に、雨や雪が少なくなる場所や、砂漠になる場所が増えるともいわれているんだよ。
4.地球全体が暖かくなると、気温が上がる場所が増えることで、アフリカなどの暑い地域で発生していた伝染病にかかる人が増えるかもしれないんだ。とくに、蚊(か)に刺されることで高熱が出る「マラリア」などの病気が増える心配があるんだよ。
5.気候が変わってしまうことで、雨が降らなくなる場所が増えたり、台風や洪水が増えて田んぼや畑がダメになったりするかもしれないね。そうなると、お米や野菜などの農作物が取れなくなってしまうことも考えられるんだ。
子どもたちには客観的事実が告げられているように思います。しかし、いざ、大人の議論になると、地球温暖化の議論は、「政治的思想による思惑」か「経済的利益」が蠢いて、純粋な論議にはなりにくいようです。この不純な大人の議論を国際政治学者が一刀両断のもとに断ち切っています。ウクライナ戦争も見方を変えれば、この思惑の上に動かされていると見ることができます。
地球温暖化という議論をする人たち。これははっきりいって2種類の 人たちだと思っています。
一つは左翼で、社会主義者で、資本主義をつぶしたいと思っている人たちです。
統制経済をやりたいが、それをやっていたのでソ連がつぶれましたし、一方で中国がだいぶ豊かになったのは、資本主義のやり方を見習ったからであり、資本主義は過去200年 で人類の社会をものすごく豊かにしたわけです。
ただ、資本主義には資本主義のもちろん問題点はあり、貧富の差が広がるといった問題はあります。 しかし、最低限の貧しい人たちの生活も、過去200年ものすごく良くしてきました。これも事実です。人類が今までなかったような形の経済発展を、 近代的な資本主義のおかげで、我々は経験してきたわけです。
これをやめたいという考え方の人たちがいるわけですね。それが左翼であり、社会主義、共産主義者の人たちです。この人たちが社会主義にしましょう、共産主義にしましようといっても国民はついてきません。
そこで、CO2を規 制しないと地球があったかくなりすぎて人類は滅びるというホラーストーリーを作り、国民を脅かして、そしてCO2の総量排出規制というところ から統制経済を導入しょうとしているのです。
もう一つが、体制内で地球温暖化、地球温暖化と叫んでいる人たちは、まず 間違いなく原子力推進派の人たちです。
原子力を推進するために、この地球温暖化ということを言っています。本当は地球が温暖化していようが、 していまいが、どうでもいいわけでしょう。しかし、地球温暖化を防ぐ、 CO2排出を防ぐ、これは天然ガスも石油も燃やしてはいけない、とすると、 電気つまり発電で頼れるのは原子力が一番ですと言うのです。
というのは、自然再生エネルギーだけの発電だととても足りません。自然 再生エネルギーによる、太陽光とか風力発電というのは一定しませんから、 それこそお日さま任せ、お天気任せ、風任せです。
足りなくなったときに、すぐ機動的に対処できて、電力の出力をパッと増やしたり、パッと減らしたりするには火力発電が一番いいのです。石炭火力発電でもいいのですけれども、天然ガスのほうがもっと早いです。だか ら、今それを補うために一番大量に使われているのが天然ガスなのです。燃やしてもクリーンだし、空気も汚しません。
そして、ヨーロッパに対して、それを大量に供給しようというのが、ロシ アという国になってきたわけです。ロシアとすれば、それを供給すること によって、安定外貨収入を得て、国の中のガタガタになったインフラも再整備したいし、経済的な発展を図っていきたい。その原資、大本のお金を、エネルギーを売って稼ぐしかない、そういう国です。
ドイツは、とくに原発を全廃しようと決めました。これはチェルノブイリと福島の原発事故を見て、ドイツは主に海には面していますけど内陸の国 、国の規模もそんなに広いわけじゃありませんから、一度原発事故が起 きたらおしまいだという恐怖感が大きかったのか、実際2022年の年末までに原発を廃止しました。
そうしますと、これは天然ガスを大量に買わざるを得ないのです。それで、このノルドストリームの1本目に加えて、2 本目を引いて、ロシアから天然ガスを買おうとしていたのです。
ロシアも 怖い国です。怖い国ですが、今までの実績を見ると、ロシア側が政治的な理由で他国への天然ガス輸出を止めたことはないのです。なおウクライナが止められましたが、それはウクライナが外貨を払わなかったからです。
これはまさに相互依存で、プーチンとしても、天然ガスを政治的理由なんかで止めてしまえば、今後買ってくれなくなることがわかっています。アメリカから高いけれども液化天然ガスを買おうとか、あるいは中東から買おうとか動きが生じます。
イランも天然ガス大国で輸出したい国なのでゆくゆくはイランとの関係が良くなれば可能性が出てきます。カタールなんていう天然ガス大国もあります。今は直接パイプラインがつながっていませんが、将来はイランあたりからパイプラインでヨーロッパがトルコ経由で輸入できる可能性も十分ある。そのためロシアの天然ガスもトルコ経由 でヨーロッパに向かうパイプラインを建設中なわけです。
とにかく ロシアの安い天然ガスが大量に入れば、欧州の原発は全滅です。そこで原子力を復活したい、原発を復活したい人たちとしては、米露冷戦をとにかく復活させたいのです。米露冷戦を先導してけしかけて、反ロシアの動きをして、ロシアからの天然ガスは買うなということにして、ノルドストリーム2をつぶす。ノルドストリーム2による天然ガス輸出をストップして、そして電力は原発で賄いますという形にしたいということなのです。
そのためには、むしろロシアを扇動してウクライナに手を出させる。そうすると米露冷戦が復活する、あるいは冷戦が熱戦になるかもしれませ ん。アメリカを含むNATOとロシアとの対立状況が非常に深刻になり、軍 事的な衝突に発展する危険性ももちろんあります。そうなれば、ロシアのものは買わず、天然ガスが入ってこないということになりますから、原発推進派としては万々歳。そういうシナリオ、これが背後にあるわけです。
要するに、エネルギー問題において、ヨーロッパにおけるアメリカも加え た原発復活派の人たち、とくにイギリス、フランスなどが中心になって、 とにかく ロシアを悪者に仕立て、ウクライナにむしろ手を先に出させるよう先導したのです。そして天然ガスをつぶす、ロシアからの天然ガス輸入の増大をつぶす、ノルドストリーム2をつぶす。それによって原発を復活させる。こういうシナリオだと思います。
EU内でいえば、フランス、それからEUは外れましたけども、イギリス はもちろん原発復活派です。とくにフランスは電力の7割弱を今原発に頼っているわけです。EU内では他にも、フランス、チェコ、ポーランドなどは原発推進派、原発復活派です。
チェコやポーランドはかわいそうで、 フランスなんかは電気のたった2パーセントしか石炭火力発電をつくって いないので石炭火力を廃止しても問題ないのですが、チェコやポーランド は石炭火力発電に依存しているところが大きかったのです。ポーランドは 大変よい石炭がいっぱい国内で出るわけです。そうすると、その国は、石炭はやめろといわれると、発電の方式としては原発に頼らざるを得ません。
というのも、チェコやポーランドは東ヨーロッパの国でソ連の勢力圏内にある、かつてソ連にいじめられていた国です。だから、ソ連、ロシアが怖いので、ロシアからの天然ガス輸入には依存したくないわけです。そうすると、原発という選択肢しかなくなる。
これに対して、今は原発反対を明確にしているのは、ドイツ、オーストリア、 ルクセンブルクなどですね。これはもう脱原発をやるのだということで決めていますので、これはもうロシアからの天然ガスに依存するということ、 これはやむを得ないということです。
ドイツの立場からいえば、実はドイツは20パーセント石炭火力にいまだ依存しています。総発電量の2割は 石炭火力発電なのです。これをゆくゆくゼ口にしないといけないといわれているので、そのためには、この天然ガス火力発電を増やすしかありません。
それから、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルクなどにすれば、ロシアに頼るのは危ないということはわかるが、ロシアが今まで政治的な理由で 天然ガスの供給をやめたことはない。それに、ロシアは危ない国だし、ウラジミ―ル・プーチンも危険な指導者であることもわかるが、 そのためにNATOがあり、そのために北大西洋条約機構があって、ロシア に対して自分たちが侵略されないような抑止力として機能しているという考え方です。
だから別にそれほど怖がることはないのではないか、ヨーロッ パは十分な抑止力を持っていると、こういう考え方です。だから、プーチンが手を出せば逆に自滅する、そうなったときは、我々は十分に対処する ことができると考えています。
ちなみに、天然ガスではなくて、液化天然ガスも、パイプラインで持っていくと一番安いのですが、たとえばアメリカも液化天然ガスを輸出しています。さすがに大西洋を越えるガスパイプラインというのはできないので、 この場合、やっぱりヨーロッパの国が買うと、天然ガスをパイプラインで 買うよりも液化天然ガスにしたほうが、30パーセントくらいコストが高くなるのです。
逆にいうと、高くなっても、30パーセント余分に払えば、アメリカから 液化天然ガスを買うことができるし、他の国からも買うことができるということです。
そして、先ほどからお話ししているように、出力が安定しない再生エネルギー発電の風力、太陽光。これを補うのは火力発電が一番良い。とくに瞬時に機動的に電気の出力を上げたり下げたりできる天然ガス 発電が一番いいわけです。
ヨーロッパにおいて、ドイツのように、原発反対で、天然ガスのほうはやむを得ないという形でいくのか。フランスのように、原発推進派で、これ は天然ガスをロシアから絶対買うなという方向にいくのか、これがせめぎ合っています。そして、この冷戦を復活して、ロシアからの天然ガスをつぶせというのは、明らかに原発復活派の人たちがやっていることです。この闘いがウクライナ情勢の背後にあるということをしっかりと見抜いていく必要があるわけです 。
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プーチン「心停止説」と「影武者説」 :231113情報
一昨日の『プーチン死亡説とロシア人の反応』 の続編です。
今日も、ソ連崩壊、ロシアに在住し、その後も旧ソ連関係国で外交顧問をやっていた北野幸伯氏が解説していましたので許可を得て転載いたします。
日本でも時々テレビで紹介される「SVR将軍」は、「プーチンが最近死にかけた」という話をしています。
『中央日報』10月24日付:〈23日(現地時間)、英国タブロイド紙のミラーやエクスプレスなどは元クレムリン宮(ロシア大統領府)情報要員が運営していると推定されるテレグラムチャンネル「ゼネラルSVR」を引用し、プーチン大統領が22日夜に心停止に陥り救急要員から緊急措置を受けたという内容が出たと報じた。〉
ーー
ちなみにSVRというのは、ロシアの対外情報庁のこと。「SVR将軍」は、「クレムリンのインサイダー情報を発信している」と言われています。@SVR将軍のYouTubeページ
〈このチャネルは「午後9時5分ごろ、プーチン大統領の保安要員が大統領寝室で何かが落ちる音を聞き、寝室に駆けつけるとプーチン大統領がベッドの横で倒れているのを発見した」と主張した。また「保安要員はプーチン大統領が床でけいれんを起こして横になっているのを見た」とした。医療陣がプーチン大統領に蘇生術を試み、プーチン大統領が官邸内の特別集中治療室で意識を取り戻して状態が安定したともこのチャネルは主張している。〉
ーー
モスクワ国際関係大学のソロヴェイ元教授は、「プーチンは年内に死ぬ」と断言しています。
ですが、皆さんは、不思議に思うでしょう。「ていうか、プーチン、めちゃくちゃ元気でしょう?つい最近も、金正恩と会ってましたよね?」と。ここから、皆さん、びっくり仰天の説が登場します。
SVR将軍やソロヴェイ教授は、「本物のプーチンは、死にかけている。金正恩と会ったのは、【 影武者 】だ!」と主張しているのです。「トンデモ、トンデモ、トンデモ~~~~~!!!」と思われるでしょう。それが、普通のリアクションだと思います。
▼実は大手メディアも報じている「影武者説」
ところが、実を言うと最近、大手メディアも「影武者説」を報じるようになっています。たとえば『ニューズウィーク日本語版』8月27日付を参考にしてみましょう。
プーチンは、いつも時計を右手にはめています。ところが、「影武者?」が、そのことを忘れ、うっかり左手を見て時間を確認しようとしている映像 があります。
この件について、〈経済学者でジョージタウン大学非常勤教授のアンダース・オースルンドは、「同時刻に『プーチン』が違う場所に現れたり、動きに明らかな違いがあったりする。そして今度の『プーチン』は、どちらに時計をはめているか分からなくなっている。主要メディアは、プーチンが影武者を1人か2人使っていると指摘すべきときだ」とXに投稿した。〉
ーー
さらに、〈ロシア専門家で英シンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)のシニア・コンサルティング・フェローであるキーア・ジャイルズは3月、プーチンがロシアの占領下にあるウクライナの港湾都市マリウポリを訪問した際、影武者を使った可能性があると本誌に語った。〉
ーー
「王立国際問題研究所」も、「影武者がいる可能性がある」と見ている。
この件で、もっとも「興味深い」と思ったのは、TBSの報道です。
『TBS NEWS DIG』5月27日。:〈“あの時”のプーチン氏はニセモノだった?! 影武者の真偽AIが分析 【報道1930】〉
面白いですね~。
〈番組では影武者の有無を公開されている映像から明らかにするべく専門家に分析を依頼した。用意したのは様々なメディアで“これは怪しい”とされた6シーンのプーチン氏の写真だ。
2022年7月イラン訪問。
2022年8月エルドアン対談、
2022年12月クリミア橋視察、
2023年3月のセバストポリ訪問、マリウポリ訪問、
2023年4月のへルソン訪問。
この6枚と確実に本物であろう戦勝記念日のプーチン氏の写真をAIで比較分析する。〉
ーー
TBSはどのAIを使ったのでしょうか?
〈持ち込んだ先は、AIによる顔認証システムを独自に開発する民間企業『トリプルアイズ』。ここのシステムでは、目、鼻、口の形や輪郭など500以上の特徴をAIが解析し、“本人との一致率”を示す。数値が高いほど本人ということになる。〉
ーー
さて、結果は?
〈写真の角度、鮮明さなどではっきりしないものもあったが、いくつかは衝撃的な結果が出た。〉
〈結果は、
2023年4月のヘルソン訪問時のプーチン氏…“本人との一致度”40%。
2022年12月のクリミア橋視察…53%。
この2つが特に低かった。因みに偽者であることが分かっている“プーチン氏のそっくりさん”を調べたところ一致度35%だった。つまり、ヘルソンに現れたプーチン氏は“そっくりさんレベル”だったということになる。〉
ーー
というわけで、プーチンの影武者説は、「トンデモ」と断言できない感じになってきました。
▼本物プーチンが死に、影武者が大統領になる可能性?
はっきりはわかりませんが、影武者がいると仮定しましょう。そうなると、金正恩と会って談笑していたのは影武者の可能性がある。そして、ソロヴェイ教授やSVR将軍がいうように、「本物プーチンは、年内に死ぬ」としましょう。
しかし、クレムリンは、「安定」のために、その事実を公開しない可能性がある? 2024年3月の大統領選挙には、影武者が出馬して勝利する? そして、安全保障会議書記のパトルシェフが
プーチンの影武者を操ってロシアを支配する?
今回の話は、冗談のような話でしたが。ロシアという国は、ウクライナ侵攻、プリゴジンの乱を見てもわかるように、時々驚愕のできごとが起きる国です。どうなるか、よく見守っていきましょう。
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プーチン死亡説とロシア人の反応 :231111情報
ロシアのプーチン大統領が「死亡した」という情報が10月末、インターネット空間や一部メディアを駆け巡りました。発信元は通信アプリ「テレグラム」に開設されている「SVR(対外情報局)の将軍」というチャンネルです。この「将軍」に同調して活動しているソロベイ・モスクワ国際関係大元教授も情報を流布しました。
たびたび出てくるプーチン大統領の死亡説。その背景をソ連崩壊時にロシアに在住し、その後も旧ソ連関係国で外交顧問をやっていた北野幸伯氏が解説していましたので許可を得て転載いたします。
今、ロシア在住ロシア人と外国在住ロシア人の間で一番話題になっていること。それは、【 プーチン死亡説 】です。
日本のテレビでも時々紹介されている「SVR将軍」という人物がいます。SVRというのは、ロシアの「対外情報庁」のこと。この機関の元幹部が「クレムリンの極秘情報を暴露する」というポジションで情報を発信しています。
ちなみに「SVR将軍」は、2021年9月時点で、「来年2022年2月、プーチンはウクライナに侵攻する」と予言していました。これが当たったので、世界中のマスコミ、あるいは諜報機関に注目されることになったのです。
その「SVR将軍」によると、「プーチンは、2023年10月26日に亡くなった」そうです。もう少し詳しく書くと、
・プーチンは、2023年10月26日に亡くなった。
・現在ロシアを実質的に支配しているのは、安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフである。
・パトルシェフは、しばらくの間、プーチンの死を公表しないことを決めた。
・現在執務を行っているのは、プーチンの【影武者】である。
・プーチンの死体は、ヴァルダイの邸宅の冷凍庫に保存されている。
といった感じです。
どうなんでしょうか。私も真相はわかりません。何はともあれ、このセンセーショナルな話は、アッという間に拡散されました。ものすごい数のロシア人ユーチューバーがこの話題に触れることになったのです。
真偽はともかく、「彼らの反応は実に興味深い」と思いました。
まず、「SVR将軍」と共に、「プーチン死亡説」を流布している元モスクワ国際関係大学教授のソロヴェイ氏。彼は、「プーチンは、完全に不可逆的に死んだ」と言いました。そして、「私は実に満足している」とも。
いくら独裁者プーチンといえども、「人が死んだことを喜ぶのは良くない」と批判されることもあるとか。そんな人たちに対し、ソロヴェイ氏は、「プーチンは、人間じゃない。本物のサディストで、何万人、何十万人の人間が 彼のせいで死んだ。」と反論しました。
他のユーチューバーたちで、「死んだ」という話をそのまま信じる人はいませんでした。ほとんどの反応は、
「それが本当なら、【すばらしいニュース】だが、そのまま信じるのは難しい」というものでした。
モスクワの知人、友人に聞いてみると、やはり、「ホントだったらすばらしいことだけど、信じることは難しい」
と、ほとんど同じ反応でした。
「プーチン死亡説」への反応で私がわかったこと。それは、「たくさんの人がプーチンの死を願っている」ということです。もちろん、テレビ世代でクレムリン情報ピラミッドに完全洗脳されている人たちは、プーチンを心から尊敬しているでしょうが。
▼ロシア国民は、なぜ戦争をしているか理解できない
なぜプーチンは、死を切望されるほど嫌われているのでしょうか?
ちなみに、岸田さんもずいぶん嫌われているようです。「増税クソメガネ」というひどいあだ名がついています。岸田さんが嫌われる理由はわかります。日本の税収はここ3年、過去最高を更新続けています。つまり、税収は増え続けているのです。
それなのに岸田さんは、たくさんの種類の増税を画策している。意味がわかりません。だから、嫌われたり、憎まれたりする理由もわかります。
プーチンは、どうでしょうか?
嫌われている最大の理由は、「無意味な戦争を始めたこと」でしょう。プーチンは、「NATO拡大はロシアの脅威だ」と言います。たしかに、31ヶ国の反ロシア軍事同盟が存在していること、それがさらなる拡大を目指していることは脅威に感じます。
だから、プーチンの気持ちもわかります。
ですが、実を言うと、NATO拡大は、ロシアの脅威ではないのです。
なぜ?
ロシアが核超大国だからです。SIPRI YEARBOOK 2023によると。ロシアの核兵器保有数は2023年1月、5889で世界一です。2位はアメリカで、5244。ところで、北朝鮮の保有数は30です。しかし、超大国アメリカは、北朝鮮がいくら暴れても、この国を攻撃しません。
なぜでしょうか?
おわかりでしょう。北朝鮮には核兵器があるからです。確かにNATOは拡大しています。しかし、アメリカは北朝鮮とすら戦争をできないのに、世界一の核大国ロシアと戦争をするでしょうか?
するはずがありません。
「NATO拡大はロシアの脅威だ」というプーチンの言い分もわかりますが、実は脅威など存在していないのです。洗脳されていないロシア国民も、このことを理解しています。
そして、「ロシアが先制攻撃しなければ、ウクライナが攻めてきただろう」というプーチンの寝言を聞いて苦笑しています。こんな無意味な戦争のせいで、ロシア軍の死者数は今年8月時点で12万人に達しているそうです。
(『ニューヨークタイムズ』8月19日付)
日本国民の多くが、「増税」が理由で岸田さんを嫌っている。そうであるなら、無意味な戦争を始め、12万人のロシア人が死ぬ原因を作ったプーチンは、どれだけ国民から嫌われているでしょうか?
そう、「彼の死を願うほど」嫌われているのです。これが、「ナショナリストの英雄」の実像です。
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李克強の死、真相は :231110情報
10月27日、「中国の前首相である李克強が死去」という驚くべきニュースがありました。心臓発作で亡くなったとのことですが、日本では、習近平の側近にやられたのでは?という憶測が飛び交っています。
一体真相はどうなのでしょうか? 国際政治学者の見解を求めました。
なお、ここを読む前に、当ブログ『中国、三つの政治勢力』 をお読みいただければ理解が早いかもしれません。
時間のない人のために、「三つの政治勢力」について簡単に解説しますと・・・。
・「第1の勢力」: 他の勢力を蹴落とし今の中国を牛耳る集団(習近平の派閥)
・「第2の勢力」: 現代の圧倒的な中国経済を作り上げた集団(故、江沢民の派閥)
・「第3の勢力」: 官僚として能力の高い若手エリート集団(故、胡錦涛の派閥、李克強はここに属する)
◼︎ 李克強の死
結論から言いますと、一般には李克強は習近平に殺されたのではないかという説が流れていますが、私は違うと思います。私は、同じ共産主義青年団派で、李克強に近い人間によって殺されたのだろうと推測しています。
共産主義青年団派の人間に殺されたか、あるいは習近平派ではない、旧江沢民派の人間に消された可能性もあると思います。いずれにしろ、これは習近平の手にかかったものではないというふうに判断します。
これは別に習近平のことを擁護するわけではありません。習近平は、今の段階で李克強を殺しても何の得することもない。むしろ損することの方が多いわけですね。
◼︎ 李克強という人物
李克強は、官僚政治家と呼ばれ、政治家というよりは官僚です。非常に勉強がよくできる秀才タイプですね。官僚として有能であるというので、この胡錦涛(こきんとう)の下で、引き上げられる形で出世してきた人です。
おとなしく官僚機構の中で自分の能力を着々と生かしていくようなそういうタイプの人です。そういった意味で政治的に覇気がないというか、山っけがないというか、そういう人ですね。ですから、おとなしくリタイアしてくれれば、これは習近平にとっては一番いいと言うわけです。
実際、彼が死んだので殺されたんじゃないかという噂が中国共産党の内部に広がることはトップの指導者としては最も望まないことなんです。ですから、これは習近平がやったのではないということは、私は確かだと思います。
◼︎ より一層固まる習近平の権力
さて、結論として言わなければならないことは、これによって習近平の権力が非常に固まってきたということです。第3期に突入して、共産党の方も表面的には権力は固まったんです。なぜなら今、李克強を殺しても習近平には得はなく、むしろ損をすることの方が多いからです。
習近平が殺害したという説が流れることで反習近平派が反乱の狼煙をあげる危険性があります。
また、李克強は「習近平を取り除いて俺がトップになる!」というような野心はない人でした。政治家というよりは官僚で、勉強がよくできる有能な秀才タイプです。政治的な覇気や勇気は無いので、わざわざ習近平が殺すほどのことはないのです。
習近平は第3期に入り、表面的には権力が固まったと言われていますが、まだまだ団派・江沢民派も暗躍しています。
彼らが国際派として、一番繋がっていたのは英国守旧派、あるいは米国にいる守旧派に近しい人たちです。しかし今回の事件で、彼らを排除するプロセスが完結しつつある、国内の地固めができて、習近平の集権体制が一層固まってきたと言えます。
習近平は、次々と粛清を続けてきました。
・秦剛外務大臣、国務委員解任
・李尚福国防大臣、国務委員解任
・ロケット軍トップ3失脚
・航空宇宙産業の大手国有企業トップを
次々に逮捕
・中国恒大集団、碧桂園の破綻
そして、彼らがいわゆる国際派として金儲けした時に、つるんでいたのが英国の守旧派です。英国の守旧派、英国の守旧派と仲のいいアメリカの人たち。そういった者を排除するプロセスがついに最終的に完結しつつある。それによって習近平が国内体制をより一層地固めができた。彼の権力体制が一層固まってきたということです。
ですから、今度彼は11月にサンフランシスコで行われるAPECの首脳会談に出るということははっきり言ったわけですね。
これは日本としては、気をつけなければいけない。台湾侵略に向けても、党内の権力を完全に固めた。そして軍の方、政府の方の権力掌握もより確実になったということを意味しているんです。
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Ⅱ.利権化した地震予知 :231109情報
(昨日 からの続きです。地球物理学者でエッセイストの島村英紀の『利権化した「地震予知」 国策がむしろ地震・波被害を広げる』を取り上げています。)
地震は破壊現象の一つであり、物理学でも工学でも、破壊現象の解明 は現象が非線形であるがゆえに、非常に難しい。破壊現象の解明や予測 (地震で言えば地震予知)の成功例 は、どの学問分野でもない。役立たずの緊急地震速報 地震予知が思ったよりも進まないことに業を煮やしたか、政府は 2007年から緊急地震速報を始めた。
気象庁が速報を出している。誤解している人も多いだろうが、これは地震予知ではない。
この速報の原理は単純なものだ。 全国に置いてある地震計のどこかで 強い揺れを感じたら、震源を計算し、まだ揺れが届いていない場所に警報 を送るという仕組みだ。
この仕組みには根本的な弱点がある。直下型地震には対応しにくい仕組みになっていることだ。直下型地震では震源は真下にあり、いちばん 近い地震計が地上にあるために、肝 心の震源近くの揺れが強いところで は緊急地震速報が間に合わない。
そもそも緊急地震速報の最大の問題は、警報が間に合ったとしても、 警報を聞いてから地震が来るまでにほとんど時間がないことだ。恐れられている南海トラフ地震が起きたときに、横浜で10秒ほど、東京でも10数秒しかない。しかも遠くなるほど 揺れも小さくなるから、20秒以上に なるところで知らせてくれても、警報の意味はあまりない。
この時間では、走っている新幹線 が完全に停止することはできまい。工場でも大きな機械をこれほど短時間で止めることは不可能だ。今まさに手術が行われている病院で、手術 中断に間に合う時間でもない。
海溝型地震でも多くの場合、最も震源に近い海岸近くの地震計で揺れ を感じてから計算を始める。つまり、いちばん揺れが大きくて危険な地域 には、この緊急地震速報は間に合わないのである。
根拠ゼロ、問題ばかりの大震法
物理分野の予測は、定量的な法則 があって初めてできるはずである。 しかし述べてきたように、日本では、理念も結果に対する評価もはっきりしないまま、国策としての地震予知 計画が今まで動いてきた。
法則はなくてもよい、あるいは後からの解明でもよいが、とにかく前兆をキヤツチできるなら地震予知が できる、またそうしてでも被害を少なくしたいという意識がないまぜになっていたというべきであろう。
日本政府の説明では、一般的には地震予知は実用段階ではないが、東海地震(南海卜ラフ地震の一部)だけは予知が可能だということになっている。かくて「大震法」(大 規模地震対策特別措置法)が 作られた。阪神淡路大震災や東日本大震災以後もこの説明は変わっていない。これは地 震学者にとってかなり不思議なことだ。東海地震だけが他の地震と違う起こり方をしたり、東海地震だけに特別の前兆が出ることは、学問的には考えられないからだ。
東海地震だけは予知できるという前提で大震法という法律が作られ、この法律に基づいて地震予知警報が 出されることになっている。
東海地震では、警報の発令時には新幹線も 東名高速道路も工業活動も止めることになっている。運賃収入だけで1 日何十億円、経済損失全体では1日 数千億円もあると試算されている。
ところが東海地震の場合には、仮 に警報を発令したとしても、警報の解除基準は決まっていない。どういう観測データが何を示せば、「地震 は来ない、警報は解除する」ことになるかの基準が決まっているわけではない。
はたして何日間、警戒宣言を出したままにできるのだろうか。 また学校や工場をどうするのかなどの社会的な影響も大きい。
いつ起きても不思議ではないと言われてから、東海地震が起きないまま半世紀が経った。過去には、もう 一つ西隣の紀伊半島東南方の地震や、さらに西隣の四国沖の地震と一緒に、 南海トラフ地震として起きている ケースが多く、東海地震が単独で起 きた例はむしろ少ない。
展望なしに突き進む 国家フロジェクト
地震予知計画は1965年に立ち上がり、2023年現在、半世紀を 超えて58年目に突入した。5年ごと の計画であるこの地震予知計画は、 1998年に第7次まで行ったあと、「地震予知のための新たな観測研究計画」と名前を変えて第2次まで経過し、今は地震予知「研究」計画か ら地震予知「業務」計画へと格上げ になった。
しかし内実は、「研究」段階が終 わったから「実用」段階に入ったというわけでは決してない。「研究」の名前を外せば予算が増える、とい 大物政治家の入れ知恵があったか ら名前を変更したのだと言われてい る。
1995年の阪神淡路大震災以後も、「地震予知」という看板こそ下ろされたが、研究機関も研究者も研究内容も、実質的に継続されている。 阪神淡路大震災以後、廃止になった官庁や研究所の部局はないし、地震研究の予算も阪神淡路大震災以前より増え、さらに東日本大震災で増え た。
地震予知研究の発足以来、すでに 1兆円近い国費と数百人の公務員 (大学教官・研究職公務員・技官・事務官)の増員があったと言われている。しかも日本の予知研究は大学だけではなくて、気象庁、国土地理 院、旧工業技術院地質調査所、旧科学技術庁の研究所を含めて、宇宙開発なみの国家プロジェクト(巨大科 学)として運営されてきている。
しかし前述したように、プロジェクトが成功するためには、科学 や工学がすでに持っている理論や技術のきち んとした裏付けが必要なはずだ。
日本の地震予知計画では、地震現象についての基礎的な 物理がほとんど解明されず、つまり地震予知実現する確固とした 見通しなしに国家プロジェクトに仕立てられたというところが、決定的に違う。役人の保身、既得権や利権、既得予算の死守、そして役所は決して 間違えない、という無謬主義のためであろう。
阪神淡路大震災以後、ほかの委員 会の廃止もしないままに新たに作られた地震調査委員会は、唯一の政府 の公的機関であることを謳い、官僚 主導型の委員会になった。
この委員 会では政府の意向に沿った審議が行 われている。この委員会は、政府に都合が悪いことは言わず、研究として何がまだ分かっていないかも明らかにしないまま、走り出した。 たとえば「きめ細かい震度予測」と「活断層調査」を看板に掲げているが、そのどちらも実現には重大な 困難がある。
その問題点を委員会が 明らかにしたことはない。国策としての地震研究は、大きな問題を孕んだままだ。
(了)
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Ⅰ.利権化した地震予知 :231108情報
——「学者はみんな嘘つきと言ってもいいでしょう」――こう語るのは、筑波大学准教授の掛谷英紀氏。「学者のウソ」「学者の暴走」などでその実態を暴いています。
「科学の世界では論文不正や研究不正は、全世界で日常茶飯事に起きています。非常に不正が横行しやすい場なのです。一体なぜかと言うと、大学や学会、あるいはそれぞれの学問分野そのものが、ある種の利益団体となっており、且つ外部の監視が働きにくいからです。」
「専門性の壁があって、一般の人々にはわかりにくい上に、組織で庇い合うということもあります。こうした構造になっているので、学術会では個人の不正だけでなく、組織ぐるみの不正も行なわれやすいのです」
今回は、地球物理学者でエッセイストの島村英紀の『利権化した「地震予知」 国策がむしろ地震・波被害を広げる』を取り上げます。
利権化した「地震予知」 国策がむしろ地震・津波被害を広げる
地震大国・日本。いざ巨大地震が起きたら、被害はなるべく抑えたいとは誰もが 願っていることだろう。ところがその願いにつけ込むかのような研究が国策として行われている。議論と反省なきまま、日本の地震研究はどこへ向かっているの だろうか。
モノ言わぬ御用学者の集まり
日本の地震予知研究が始まってか ら半世紀を超えたが、地震予知に一度も成功していない記録は日々更新されている。
1978年に「地震予 知が可能だ」という前提で作られた「大規模地震対策特別措置法」(大震法)は、地震の予知が実際には現実的でないということから、数年前に「見直し」の声が高まったが、結局、 政府はいまだに変更も取り下げもし ていない。
地震学会という組織がある。任意 団体で3000 人近い会員がいる。会員の多くは、地震研究者やそのタマゴ、それに気象庁など地震関係の お役人である。さすが地震国・日本、地震学者の数は多いのだ。
日本で地震学を支えている研究費 のほとんどは国費だ。職員も大学を含め、地震予知計画で雇われた者が多い。あとは、電力会社や損保会社 からの研究費と研究者がわずかにいるにすぎない。このため地震学者はそもそも「御用学者」になる宿命に ある。
誠実な科学者はごく少数で、彼らは研究費面でも人事面でも冷遇されている。従って学会も御用学者の集まり だ。政府の方針や政策に対して、モノ言うことはこれまで一度もなかった。地震予知研究の命運を左右する大震法が成立するときも、疑問を呈することも提言することも、何もしなかった。学者としての社会的責任はどこへいったのだろう。
一時はバラ色に見えた地震予知研究が世界的に暗転していったときに、地震予知研究について、学会と して議論したことも意見を表明したことも一度もない。つまり地震学会 は、学者の仲良しクラブにすぎないのだ。
ところで、地震をめぐる政・官・学のあきれる歴史を述べた、私の 『公認「地震予知」を疑う』(柏書房、 2004年)は、予想通り、見事に 黙殺された。それ以前に出した本は いろいろ紹介してもらっていた。 地震学会もまた、貝のように口を 閉じたままだった。しかし、これは 学会員が本を読んでいない、という わけでは決してない。
私が関西のある大学に頼まれて講 演をしに行ったときのことだ。講演を終え、懇親会がお開きになりか かったとき、若い研究者が教授たちの目をはばかるようにやって来ての本を差し出しながら「サインを してくださいますか」と言ってきた。ある官庁の研究者からは「今は発言できないが、定年になったら、私にも言いたいことがいっぱいあります 支援しますからね」と言われた。
私は『公認「地震予知」を疑う』 が出版されたときには、それまで教授として勤めていた北海道大学理学部を出て、国立極地研究所の所長になっていた。一大学の教授ならともかく、国立研究所の所長としては許されない発言だったのであろう。2006年、北海道大学から冤罪で 起訴され、拘置所で半年を失った。
いわれのない逮捕・拘留であった北海道大学の起訴は、最初は公金横領だったが、公判を維持できないと悟ったのか、のちに詐欺罪で起訴された。ところが、被害者とされたノルウェーのベルゲン大学側は「詐欺に遭ったとは思わない」と証言した のである。
いたずらな予想は被害を拡大させかねない
私が『公認「地震予知」を疑う』 を書いた後も、政府が危険度を計算している活断層調査や、発表されている地震危険度をあざ笑うように、危険とされていないところにばかり 地震が起きている。
2000年の鳥取県西部地震、2004年の新潟県中越地震、2005年の福岡県西方 沖地震と首都圏直下地震、2007 年の能登半島地震、新潟県中越沖地震、2008年の岩手宮城内陸地震、 2011年の東日本大震災、どれもそうだった。
御用学者は政府が進めようとして いる原子力発電所の推進に都合がいい。たとえば原発を作るときに「内陸ではマグニチュード(M) 6 - 5 を超える地震は起きない」という説 を前提にしているのは、明らかに地震学者が関与していた。しかし、その後はそれよりもずっと大きな地震が起きている。
また、原発を作る設計指針で「将来起こりうる最強の地震」とか「お よそ現実的ではないと考えられる地震」と想定していた揺れ(加速度) にも、地震学者の関与がある。実際 には、その後はそれをはるかに超える揺れが記録されたのだった。 普段、モノ言わぬ御用学者は、政 府が言ってほしいことだけは口にするのだ。
はたして地震の予知は 可能なのか?
古典力学のバックグラウンドを持つ人間にとっての「予知」とは、ある瞬間の物体の状態を知ることで、 それから後の任意の時刻でのその物 体の位置や速度を一義的に決めることができるもののはずだ。
となれば、地震が起きるかが物理学的にきちんと分かっていることが、学問としての地震予知の基礎だろう。それができな ければ、地震予知は科学にはなりえない。そして、地震には前兆現象が出るものだとすれば、それがいつ出 るのか、なぜ出るのか、どのように出るのかが、きちんと分かっていな ければならない。
では、これらの要件が成り立って いるかどうか、見てみよう。
①「震源」で何が起きるかが物理学的に分かっている。➡×
これはつまり、「準備」から本震までの過程が、逐一、分かっているということだが、残念ながらノーで ある。定量的で検証可能なモデルは ない。
②本震の前にどういう前兆が、いつ、 なぜ、どのように出るか分かっている。➡×
③前兆が他の自然•人工現象と区別 して確実に認識できる。➡×
日本のような人口密集地では人間活動に起因した雑音が極めて多く、たとえ前兆があったとしても、それを雑音と区別することが難しい。しかも、地震予知の研究の困難は地震の例数が少なすぎるということにある。
統計的に十分有意な結果を得るためには数百例くらいはないと、有意な数字とは言えない。地震はそれぞれ起き方もメカニズムも違うか ら、阪神淡路大震災を起こした地震 と北海道の地震を同じ統計として扱うわけにはいかない。
④地下の「震源」で起きている過程 を時々刻々、観測によって監視できる。➡×
たとえば、地下で歪みがどこにどのくらい溜まっていっているのかというデータは、現在の観測ではとうてい得ることはできない。地震予知 が科学を自称するためには、地下 の「震源」で起きている過程を時々刻々、観測データの変化として監視 できるということが、まず観測の基 礎になるが、これはほとんどできて いないのだ。
1999年に世界でもっとも権威がある英国の科学雑誌「ネイチャー」 が、「地震予知は可能か」ということについて公開討論会を実施した。 しかし不可解なことに、世界でもっとも多くの研究予算を使っている、突出した「予知大国」日本からは、誰も参加しなかった。日本は説明責任を放棄して「敵前逃亡」した のである。
「ネイチャー」誌の結論は、「一般の人が期待するような地震予知はほとんど不可能であり、本気で科学として研究するには値しない」というものだった。
(続く)
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②中国を抑えるための日本の戦略 :231107の2情報
(午前 からの続きです。著者の許可を得て掲載しています。)
■5.「国の大きな運命を誤った満洲進出」
この英独関係が、ユーラシア大陸の反対側の日中関係に似ており、日本の進むべき道は100年前のイギリスが教えてくれている、というのが、北野氏の指摘です。
まず、日本とイギリスの類似点を見てみましょう。地政学から見れば、日本もイギリスも共に「外周の半月弧」に属しています。しかも、日露戦争、第一次大戦と、日本は日英同盟のもとでイギリス側について戦ってきました。
その後、韓国併合、満洲建国と日本は大陸に進出して、ランド・パワーになろうとしました。これはロシアの進出に備えて緩衝地帯を作ろうとした戦略ですが、このあたりからイギリスとは異なる道を歩み始めます。
北野氏は「水の抑止力」に頼って、あくまでもシー・パワーに留まるべきだった、と主張しています。この点は、筆者も同感です。日露戦争後のポーツマス講和条約の結果、日本は南満州鉄道の租借権を獲得しましたが、アメリカの鉄道王ハリマンが協同経営を持ちかけてきたのです。
鉄道と付属施設はアメリカが買収し、日本は所有権をアメリカと折半する、という条件で、国富を使い果たしていた日本にとっては渡りに船の好条件でした。伊藤博文、井上馨の両元老とともに、首相の桂太郎も賛成でした。
この案件は、「満洲は日本の勢力範囲におくべき」と信ずる外相・小村寿太郎の反対で没になりましたが、もしアメリカがこの時、満洲に足がかりを持っていたら、その後の歴史は大きく変わったでしょう。アメリカが中国進出を狙って、日本を敵視する政策をとることもなかったでしょう。
外交評論家の岡崎久彦氏は、こう語っています。
__________
いまとなってみれば、日本としては、ハリマン提案を受諾しておくことが正解であり、(JOG注:満洲を日本の勢力範囲におこうという)小村の術策は、国の大きな運命を誤ったというべきであろう。[岡崎、p359]
__________
として、日米戦争の遠因となったと述べています。
__________
日本は、日露戦争までアメリカと非常にいい関係でした。日本、イギリス、アメリカの三国は、シーパワー(海洋国家)同盟のような状態だった。日本が、朝鮮半島、満洲に進出しなければ、「日米英のシーパワー同盟で、ソ連の進出を止めよう」となり、協力関係がつづいていた可能性もあります。[北野、p43]
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という北野氏の指摘は、同意見の歴史家も少なくないようです。大東亜戦争は近代日本の唯一の敗戦でしたが、それは地政学を無視した戦略に走ったからでしょう。
■6.ドイツの3B政策と中国の一帯一路
一方、21世紀の中国は20世紀初頭のドイツと似ているのでしょうか? まず、地政学的位置はドイツと同様、ハートランドであるロシアに外接したリムランドに属します。
歴史的に見ても、鄧小平から江沢民、胡錦濤までは平和的台頭路線を堅持していました。そして、中国は豊かになれば民主化する、という夢をばら撒いて、巨大な国内市場を餌に、西側企業の投資を惹きつけていました。このあたりはビスマルクの内に力を蓄えながらも、外には打って出ない路線とそっくりです。
しかし、中国は密かに「中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」という野望を秘めていたようです[JOG(937)]。
習近平の時代になってから、急に爪を剥き出しにしました。「一帯一路」というスローガンのもとに、中国からヨーロッパにつながる陸路の「一帯」と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を海路で結ぶ「一路」を唱えました。
ちょうどヴィルヘルム2世が「世界帝国」を目指して、「3B政策」(ベルリン-ビザンチン(イスタンブール)-バグダッドを鉄道で結ぶ)を目指したのと似ている、とは北野氏の指摘です。
ドイツの3B政策に対して、当時の覇権国家イギリスは「3C政策」、すなわち南アフリカのケープタウン、エジプトのカイロ、インドのカルカッタを鉄道で結ぶ、という計画を持っていました。
__________
当時の覇権国家イギリスは、ドイツの3B政策を許しませんでした。この3C政策と3B政策の対立が、第1次世界大戦の原因になったのです。同じように現在、中東から自国につづく海路を支配したい中国が、アメリカの世界制覇に挑んでいる。それが、現在進行中の米中覇権戦争の原因になっています。[北野、p67]
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■7.日本の対中戦略は?
ここでアメリカの地政学上の位置づけを見ておきましょう。
「アメリカはユーラシア大陸に対するイギリス」とはアメリカの地政学者ニコラス・スパイクマンの見方です。確かにアメリカは、ユーラシア大陸から見れば、イギリスの向こう側にあるもう一つの、より巨大なシーパワーです。
第1次大戦でイギリスが勝ったのは、ドイツ包囲網を築いたことと同時に、なによりもアメリカの参戦を勝ち得たことでした。第2次大戦においても、イギリスはドイツの空襲を受けるまで追いつめられていましたが、アメリカの参戦により、なんとか最後の勝利を収めました。
スパイクマンは「アメリカの安全を脅かすような強力な国家や同盟が、ユーラシアに登場するのを阻止せよ!」という警告を残しました。第1次大戦ではドイツを降伏させ、第二次大戦ではドイツと日本を屈服させ、冷戦ではソ連を崩壊させたのは、この戦略の忠実な実行に見えます。
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現在、私が「東洋のドイツ」と呼ぶ中国が、アメリカの安全を脅かす国になっています。アメリカは、スパイクマンの教え通り、中国の力を削ぐことに全力を尽くすでしょう。これは、明らかにアメリカの存亡にかかわる大問題だからです。[北野、p112]
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台頭する中国の覇権を防ぐ事は、アメリカの生存に関わる課題であり、いざ国難となれば、支持政党に関係なく挙国一致体制をとれるのが、アメリカの強みです。したがって、次の大統領が誰になろうが、アメリカの打倒中国の決意は変わらないでしょう。
この状況で、日本はどう振る舞うべきか。
以上の地政学的考察を踏まえれば、日本がとるべき戦略はあきらかです。第1次大戦時のイギリスと同様、シーパワーとして、アメリカとの同盟を堅持して中国と対峙しなければなりません。
アメリカは大西洋をはさんでイギリスの背後に控える最強シーパワーであるとともに、太平洋をはさんで日本の背後に控える最強シーパワーでもあります。基本戦略はアメリカと組んで中国と対峙する事で間違いありません。
ただし詳細を見れば、様々な攪乱要因があります。
たとえば、国際金融資本はどう動くか、インドはどうか、台湾は独立に向かうのか、日本はアメリカの同盟国として義務を果たせるのか、等々。-これらの点を北野氏は明快に説いていきます。日本の進むべき道を具体的に考えたい人には、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
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①中国を抑えるための日本の戦略 :231107の1情報
遡ること約20年…。急速に経済が発展し「世界の工場」と呼ばれるまでになった中国。その後も、「アメリカを追い抜き、21世紀は中国の時代になる」、メディア、経済系シンクタンクなどあらゆるところでそう言われました。
しかし、2005年に「中国の経済成長は2020年くらいまで」と予測し、正確に的中させた人物がいます。当ブログに再三登場していただいている伊勢雅臣氏は、『日本の地政学』を著した北野幸伯氏をそのように評しながら、「中国を抑えるための日本の戦略」について考察しています。
歴史的事象を踏まえての考察と解説です。伊勢氏の許可を得て掲載いたします。
★地政学で対中戦略を考える ~ 北野幸伯『日本の地政学』を読む
地政学的に見れば、21世紀初頭の日中関係は20世紀初頭の英独関係にそっくり。台頭するドイツを英国はいかに抑えたのか?
■1.20世紀の英独関係は、21世紀の日中関係
北野幸伯氏の『日本の地政学』がとにかく面白い。今回は、その中でも特に地政学を応用して、21世紀に台頭しつつある中国を20世紀のドイツの台頭になぞらえて、対中戦略を論じている部分をご紹介しましょう。
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ドイツは1903年、欧州最強になっていました。ドイツはそれ以前、比較的平和な態度をとり、力を蓄えてきた。ところが、「俺たちは欧州最強になった!」と認識した後、アグレッシブになっていきました。「東洋のドイツ」である中国も、同じような行動をとっています。[北野、p74]
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20世紀初頭に欧州最強になったドイツを倒したのは、軍事的経済的には劣勢となっていたイギリスでした。英国はフランス、ロシア、アメリカ、日本を味方につけてドイツを打倒しています。
地政学的に見れば、ユーラシア大陸西側の大陸国ドイツと島国イギリスは、東側の中国、日本に相当します。とすれば、台頭する中国を軍事的経済的に劣勢な日本が抑えようとすれば、イギリスのように周辺国との同盟によって対中包囲網を築く、という大戦略が描けます。
北野氏の著書は、この大戦略を、具体的な政治経済状況で肉付けしていくのですが、その内容は同書を直接読んでいただくこととして、本稿ではその導入として、20世紀の英独関係が21世紀の日中関係に相当するという地政学的な見方をご紹介していきましょう。
それ自体、20世紀前半の地球史を明快に描く優れた歴史観だからです。
■2.ランドパワーとシーパワー
地政学の父と呼ばれているイギリス人地理学者ハルフォード・マッキンダー。彼の世界観では、ユーラシア大陸の中心部「ハート(心臓)ランド」がロシアであり、それを半月弧で囲むのが「リム(周縁)ランド」の欧州、中東、インド、中国。
さらにその外周の海に浮かぶ半月弧がイギリス、オーストラリア、日本、アメリカ、カナダです。
このうち、ハートランドは陸軍中心のランドパワーであり、外周の半月弧は海に囲まれて海軍中心のシーパワーとなります。その間のリムランドはランドパワーにもなれば、シーパワーにもなる「両生類国家」です。
外周の半月弧は、リムランドとは海で分断されているだけに、ハートランドやリムランドから攻撃されにくく、攻撃もしにくい、という特徴があります。これを「水の抑止力」と言います。
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そのこと(JOG注:水の抑止力)を知っていたイギリスは、もっともパワーが強かった時でも、「欧州全土を征服しよう」といった野望は持ちませんでした。イギリスは、軍事力、技術力で圧倒的に差がある欧州以外の国々を攻め、どんどん植民地にしていった。しかし、すぐ近くにある欧州を支配しようとは考えなかったのです。[北野、p38]
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イギリスは対リムランド防衛のために、欧州のバランス・オブ・パワーを維持する戦略をとりました。欧州内で一国が強くなりすぎると、他国を支援して対抗させたのです。こうしてイギリスは「七つの海を支配する大英帝国」を築いたのですが、それはこうした地政学的に正しい戦略を持っていたからでした。
■3.イギリスにシーパワーで挑戦したドイツ
欧州をバランス・オブ・パワーでコントロールするというイギリスの戦略を時代遅れにしたのが、ドイツの勃興です。19世紀末のドイツは産業革命において、イギリスに追いつき追い越しつつありました。当時の最先端産業であった化学分野ではドイツの優位は決定的となっており、また軍備に不可欠の鉄鋼産業もドイツの優位は確立されつつありました。
その原動力として、ドイツの大学は科学、工学などの研究でイギリスの大学よりも進んでおり、一方、イギリスの経営者は科学技術に無知だったのです。
しかし、1890年まで首相を務めたビスマルクは、ドイツ統一を成し遂げて、こうした躍進をもたらしたものの、それ以上の拡張主義は内政と外交のトラブルを増やすだけと考えていました。そこで巨大な力を蓄えながらも、イギリスには挑戦しなかったのです。
ビスマルクを信任していたヴィルヘルム1世が亡くなってから、転機が訪れます。後を継いだ孫のヴィルヘルム2世は1890年にビスマルクを解任します。10年ほどはビスマルク路線を継承しましたが、植民地再分配を狙ってイギリスを凌駕する海軍力を目指します。
リムランド国家としてランドパワーを誇っていたドイツが、両生類らしく、シーパワーも目指し始めたのです。
■4.ドイツの野望を打ち砕いたイギリスの「外交革命」
ドイツの海軍力増強を脅威に感じたイギリスは巧みな外交によって、ドイツ包囲網を築きます。まず1904年には、それまで最大の仮想敵としていたフランスと和解し、「英仏協商」を結びました。ロシアとは日露戦争後の1907年に「英露協商」を実現しています。
一方、イギリスは1902年に日本と日英同盟を結んでいます。これは対ロシアを目的としており、日露戦争の日本勝利に大いに貢献したのですが、対ドイツの意味合いもあったようです。確かに、その後、第一次大戦で日本が地中海艦隊を派遣したり、中国大陸や太平洋諸島からドイツ勢力を一掃したことを考えれば、対ドイツという戦略もあったのでしょう。
さらに、元植民地アメリカとは独立戦争で8年半も戦って以来、あまり良い関係ではありませんでしたが、1898年の米西戦争でアメリカ側についてから友好的な関係に入りました。これら一連の外交により、イギリスはフランス、ロシア、アメリカ、日本によるドイツ包囲網を築くことに成功したのです。
その後の第一次大戦は、まさしくドイツとその周辺国 対 イギリスが構築した包囲網の戦いになりました。イギリスのシーパワーに挑戦して植民地帝国を作ろうとしたドイツの野望は、イギリスの巧みな外交戦略によって打ち砕かれたのです。
(午後に続く)
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中露同盟の内実——ロシアが中国の属国になった日 :231106情報
ソ連崩壊時からロシアに在住し、ロシアの手の内を知り尽くした北野幸伯さんが「中露同盟」について大変興味深いお話をされています。許可を得て掲載いたします。
私の本に『中国ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日』があります。出版されたのは2007年、16年前のことです。当時なじみのなかった「中国ロシア同盟」という言葉は、今なら、「とてもしっくりくる」でしょう。実際、中国とロシアは、いつも一緒に動いています。
中ロは、一体化して金正恩政権を守っている。
中ロは、ハマスのイスラエルに対する大規模テロを非難しない。
中国は、ロシアのウクライナ侵略を非難しない。
今なら誰でも、「中国ロシア同盟は、アメリカと戦っていること」を認識しています。ところが、この本が出されたのは16年前。その当時、「中国ロシア同盟」という言葉を使っていた人は、ほとんど、あるいは全然いませんでした。
28年間モスクワに住んでいた私から見ると、中国ロシア同盟は、2005年に成立したのです。
その前に、アメリカとロシアは、
・ユコス問題(2003年)
・グルジア(現ジョージア)・バラ革命(2003年)
・ウクライナ・オレンジ革命
・キルギス・チューリップ革命
などで対立していました。
プーチンは、ロシアの勢力圏である旧ソ連諸国で、立て続けに革命が起こっていることを心配していました。そして、彼は、カラー革命の背後にアメリカがいることを確信していた。
「このままでは、ロシアでも革命が起きる!」 それで、「中国と組んで、アメリカ一極世界をぶち壊そう!」と決意したのです。それが、2005年でした。
さて、中国とロシアの事実上の同盟関係は、すでに18年間続いています。しかし、両国関係は、この期間に変化しました。2005年、同盟を持ちかけたのはプーチンでした。当時は、「プーチンが主導し、中国が従う」という感じだった。というのも中国は、2012年に習近平がトップになるまで、アメリカとも良好な関係だったからです。
ところが、今ロシアは、中国の「属国」になってしまいました。 なぜ?
プーチンが、ウクライナ侵略をはじめたからです。なぜそれでロシアは中国の属国になったのでしょうか?
ウクライナ侵略をはじめたプーチンには、いろいろな誤算がありました。たとえば、欧州が、ロシア産石油、天然ガス、石炭の輸入を劇的に減らしたこと。もう一つは、欧米が制裁として、ロシアの主要銀行をSWIFTから排除したこと。
困ったロシアは、中国に助けを求めました。一つは、「欧州に売れない資源を買ってくれ!」。もう一つは、「SWIFTを使えないから輸出ができない。中国版SWIFTと呼ばれるCIPSを使わせてくれ!」。
結果、どうなったのか? ロシアは、中国に石油、天然ガス、石炭などを大量に、しかし【激安】で、【人民元】で輸出することになった。要するに、ロシアは、【人民元圏】に取り込まれてしまったのです。プーチンは、習近平に頭が上がらなくなりました。
たとえば、今年5月、「中国中央アジアサミット」が開催されました。ここで習近平は「中国中央アジア運命共同体をつくる!」と宣言した。
中央アジアは、「旧ソ連国」。プーチンが、「ロシアの勢力圏だ!」と常々主張してきた地域です。ところが習近平は、「中国は中央アジアと運命共同体をつくる」と言う。これ、別の言葉で、「中央アジア、もらいますよ」ということでしょう。
ですが、属国の悲哀。プーチンは、習近平に抵抗することができないのです。
ところで、超名著『エネルギー危機の深層 ──ロシア・ウクライナ戦争と石油ガス資源の未来』の中で、原田大輔先生が、興味深いエピソードを取り上げておられます。
2023年3月、習近平がロシアを訪問しました。原田先生によると、ロシア政府は、習近平から「3つのお土産」
を期待していたそうです。
1、ウクライナ東部4州のロシアへの帰属承認
つまり、習近平は、ロシアが2022年9月にウクライナから奪った4州(ルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン)を「ロシア領である」と認めてくれる?
2、武器または半導体等、欧米制裁で不足している物資の供給
3、欧州代替を成立させる「シベリアの力2」による長期天然ガス供給契約での合意
しかし、プーチンに対して強い立場にいる習近平は、ロシア側の願いをことごとく無視したのです。この事実について原田先生は、どう見ておられるのでしょうか?
〈中国にしてみれば、ウクライナ侵攻については国連決議でも世界の大多数の国が反対を表明しており、そうした中でロシアの肩を持つことは世界から反感を買い、欧米諸国も中国に対する敵対を強めることは明らかであった。〉(150p)
中国は、「4州はロシア領だ!」と認めたり、武器や半導体をロシアに供与することはできない。なぜなら、ロシアの味方をすれば、国際社会や欧米諸国が反中になるからだと。
〈また天然ガスについても需給は満たされており、わざわざ今5年後の天然ガス調達に動き、ロシアへの依存度を高める必要はない。待っていれば、いずれロシアは追い詰められ、さらにガス価格を値下げしなければならないことも明らかであり、今は買うべきではないという判断が働いたのだろう。〉(150~151p)
待っていれば、ロシアはさらに苦しくなり、ロシア産ガスはもっと安くなるだろうと。
皆さん、「プーチンは孤立していませんよ。なぜなら中国がいるからです」という主張を聞いたことがあるでしょう。本当にそうなのでしょうか?
米中ロ関係は、実際どうなっているのでしょうか?
まず、中国ロシアの事実上の反米同盟が存在している。これは間違いありません。しかし、2005年に「中ロ同盟」が成立した後、中国は常に「自国の利益のみ」追求してきた。結果、ロシアは、中国の属国に落ちた。
習近平が訪ロした際、プーチンは、「どうか、三つのお願い、どれか一つでもお聞きいただけないでしょうか?」と懇願した。習近平は、「あなたの願いを聞けば、わが国の評判が下がるではないか? そんなことはできない」と軽くあしらった。
だから、米中ロの関係は、
1、反米の中国ロシア同盟が存在している
2、中ロ関係は、「ロシアは中国の属国」
ということなのです。
▼日本も要注意
ところで、二国間関係において、中国が常に「WIN(中国)ーLOSE(他国)」を目指す国であること、日本も決して忘れてはならないでしょう。
たとえば1970年代初め、アメリカと中国は、事実上の「反ソ連同盟」になりました。その後、アメリカは、中国に資金と技術を惜しみなく提供し、まさに「中国を育てた」のです。同じことを日本もしました。
中国は、日米の資金と技術をどんどん受け入れ、巨大化していきました。そこそこ強くなった1990年代、江沢民は、国内における反日教育と、世界における反日プロパガンダを開始。日米を分断させることに成功します。
中国は2010年、GDPで日本を超えました。そして2015年ぐらいになると、アメリカも、「しまった!俺たちは騙されていた!」と気がつきはじめます。
2018年米中覇権戦争がはじまりました。中国のような国のことを、本当の「自国ファースト」とよぶのでしょう。
しかし、だからといって私たちが、「ジャパンファースト!」「WIN(日本)ーLOSE(すべての他国)を目指せ!」となるべきではないでしょう。
日本は、いつでも「WINーWIN」を目指すべきです。その一方で、中国政府の本質が常に「WIN(中国)ー LOSE(日本)」であることを理解し、決して忘れないことも重要です。
プーチンも、「気づいた時には遅かった!」と地団駄をふんでいるかもしれません。想像ですが。
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戦時大統領になりたいバイデン氏とそれを阻むトランプ派議員 :231105情報
昨日の『WWⅢ(第3次世界大戦)を抑えるトランプ派』 の続きになると思いますが、なぜ、バイデン大統領は戦時大統領になりたいのか、大東亜戦争を引きおこしたルーズベルト元大統領を例にとって、国際政治学者が解説を掲載しました。
フランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)は第2次世界大戦ときのアメリカの大統領ですが、晩年は健康を害していましたので本人は決断できなくて、お神輿に乗って彼の周りの人間が全ての政治的決断をしていました。
第2次世界大戦の終結に向けてヤルタ会談やポツダム会談といったようなことは集団で決定していたもので、本人がリーダーシップをとっていたわけではありません。つまり、そこまで健康状態が悪化していたのです。
しかし、彼はニューディール政策をやって有名になりましたが、1929年から始まった世界大不況の問題を解決することができませんでした。それで1939年から始まったヨーロッパで始まった戦争、1941年12月から始まった太平洋戦争によって、戦時大統領として力を復活させたのです。
それまでは経済政策がうまくいってなかったので、彼に対する支持率が落ちていました。しかし、1939年からせヨーロッパで戦争が始まって、ルーズベルトはイギリスのチャーチル首相とも仲が良かったので、40年は彼が当選しています。
そして44年も戦争中ということもあり引き続き当選し、アメリカの歴史上で初めて4回当選した大統領ということになっているのです。そして、第2次世界大戦の終戦を待たずに死んでしまいます。
要するに戦争をやることによって戦時大統領(War time president)は強くなるのです。
現役の大統領というのは1人だけなので、戦争のときに国家は一致団結しなければいけません。しかも、そのときは大統領に対する批判は差し控えておこうという政治的な雰囲気にもなります。
まさにバイデンは、それを狙っているのでしょう。ウクライナ戦争に関しては、うまくエスカレートさせることができませんでした。ロシアと第3次世界大戦のシナリオに繋がらなかったわけです。
どちらかというと、ロシア有利のうちにウクライナ戦争は終結しつつあり、ウクライナの判定負けのような感じになってきているのです。
そこで、もう一つの戦争のチャンスが出てきたのが中東地域であり、これは古くて新しいアラブ諸国とイスラエルの戦争と言って良いでしょう。これも直前まではトランプの書いたシナリオがうまくいき、サウジアラビアとイスラエルは国交を樹立しようという方向に来ていました。
それを吹き飛ばすかの如く、ハマスが奇襲をかけたということです。それに乗じてこれが大紛争に発展すればイスラエル対イランの戦争になって、アメリカも介入します。そうなったイランの背後にはロシアがいるので、中東において対決する米露戦争、第3次世界大戦に発展しかねません。
むしろ、そういうものをうまく操ることによって権力を維持していこうというのがバイデン政権でしょう。だから、バイデンは“おっとり刀”でイスラエルにすぐ向かったのです。しかし、そのイスラエルにおいてバイデンもボケが進んでいて言語不明瞭で、ほとんど何を言っているかわからない大統領の発言になっていました。このバイデンの謀略とも言える、戦時大統領として権力を維持していこうというのを防ごうとしているのが、上院議員のタバービルや下院議長になったジョーダンなどのMAGA議員たちがこれをストップしています。
具体的に言うとバイデン大統領は「1000億ドル(約15兆円)の戦争予算を早く通せ」と主張しているわけです。議長選挙もやっていましたが、なかなか通りません。タバービルは600人くらいいる米軍トップの人間たちの承認を拒んでいます。
今、こういった人たちが頑張って、アメリカで第3次世界大戦に入るシナリオを止めているのです。いわゆる、全員トランプ組ですが、タバービルはアメリカンフットボールのコーチで有名だったそうです。
一方のジョーダンはアマレスのチャンピオンで、大学のレスリングのコーチだった硬派な人であり、そういった人たちが頑張って戦争にストップをかけています。
この予算のうち1000億ドルのうちウクライナの戦争予算が600億ドルです。イスラエルには140億ドルを計上しています。ウクライナに兵器を相当出してしまったので、それもあって米軍の対応力・戦闘力が落ちているとも言われているのです。
しかし、イスラエルも兵器が欲しいところでしょう。イスラエルの正当防衛権を全面的に支援しますが今は我慢してもらって、この予算を安易に通さないというのは第3次世界大戦を起こさないためにも大事なところです。
これはジョーダンにしても共和党のMAGA議員にしてもイスラエルを支持していますが、危険な戦争エスカレーションを同時に防ぎたいと思っています。
彼らは本当の反戦議員なので戦争に反対して平和を維持しようと思っているため、トランプ派の議員たちが体を張って一生懸命頑張っているということです。
日本の左翼がやっている反戦運動というのは、戦争を起こすための運動であり、まさに暴力的な反戦運動という訳がわからないものでした。MAGA派の人たちは、アメリカを第1次大戦や第2次大戦のように戦争へ巻き込んではいけないと考えています。
そして、イギリス守旧派の特に植民地的な支配のために、アメリカンボーイズを殺してはいけない、世界で戦乱の炎を広げてはいけないという考え方です。現在の図式としては英国守旧派が中心になって、それに対してバイデンが忠実な実行部隊のリーダーをさせられているのでしょう。
一方でイスラエルの極右を英国守旧派が応援すると言うよりも利用しようとしています。そして、ハマスに火をつけてパレスチナと戦争を起こさせて自分たちは常に漁夫の利を得るという構図です。バイデンは60億ドルもイランに凍結していた資金を既に与えてしまいました。
WWⅢ(第3次世界大戦)を抑えるトランプ派 :231104情報
トランプ前大統領は「新しい戦争を始めなかった唯一の大統領」です。これに対して、バイデン大統領はWWⅢ(第3次世界大戦)をしたい気満々のようです。なぜなら、党内の引きずりおろしを阻止して次の大統領の座に収まるためには「戦時大統領」になるしか方法がないからです。
いま、アメリカにとっての最大の同盟国であるイスラエルの危機に乗じて、ハマスの後ろにいるイラン、ロシア、ラスボスの中国と事を構えることができれば、認知症のバイデンとか一族の様々な疑惑はすっ飛び、強い大統領として国内はもとより、西側諸国に君臨できます。
その意味でいまアメリカは極めて危険な兆候にあると思いますが、ここにきて、米下院の議長が正式に決まったことでWWⅢの危険性が少なくなったというお話を国際政治学者が述べていますので、引用させていただきます。
アメリカから良いニュースが飛び込んできまして、アメリカの下院議長にマイク・ジョンソン(51歳)が選ばれました。これはトランプ派の米下院会議長に就任したという良いニュースです。アメリカの10月25日の日付ですが、これはトランプ派の勝利であると言えます。トランプ前大統領が推薦した人が通ったということは、久しぶりにアメリカで良いニュースであると言えるのです。
WWⅢ(第3次世界大戦)を抑える最前線がアメリカの議会、特に下院であります。ここでバイデン政権は1000億ドルの戦争予算を計上しました。これはアメリカのものということではなく、このうちの6割(600億ドル)がウクライナに行くということです。その内さらに140億ドルがイスラエルに行くということになっています。
これで今、ウクライナに戦争予算を送って兵器を与えても、ウクライナの若者が無駄に死ぬだけです。東部にある堅固なロシアの防衛線を破ることはできないと思います。
ここは元々ウクライナの領土ではあるのですが、そこを全部ウクライナの領土として開放して、ロシア軍を全部追い出すまで戦争をやるというのが一応の建前です。そのためにウクライナの若者が虚しく死んでいくという状況であります。東部の元々ドンバス地方というところはロシア系住民が多いので、この自治は認めざるを得ません。そして、今のところロシアも占領地の防御は非常に強いから、ここを譲らないという固い意志を持っているので、この予算というものはウクライナの若者を死に追いやる予算になる危険性が非常に大きいです。
そこで、この戦争が下手するとアメリカとロシアの第3次世界大戦に発展しかねません。そして、中東の方でもイスラエルとハマスが戦っていて、ハマスの背後にイランがいるため、イスラエル×イラン戦争に発展してしまったら、イランを応援しているロシアが介入し、イスラエルを応援しているアメリカが介入する第3次世界大戦にもなりかねない非常に危険なところに来ています。
私の見るところ、バイデン大統領は第3次世界大戦を起こすことによって自分が戦時大統領になって、自分の権力の座を維持するのでしょう。今の民主党の中でもバイデン引きずり下ろしが仕掛けられているので、それを回避するには“戦時大統領になるしかない”というのがバイデン周辺の考え方のようです。
非常に危険なことなのですが、この予算を完全に出さないわけにはいかないので、これをストップして大幅に削減させるということが下院議長として大きな仕事になると思います。
マイク・ジョンソンはトランプに対して忠実な人であり、トランプがこの人が良いという推薦の言葉が出て、それで勢いが出て下院議長になりました。彼は明確に2020年のアメリカの大統領選挙で不正があったと明言している人です。これをやっている人は共和党の下院議員の中でもそこまで多くはいません。
ジョンソンは戦争予算をストップして「これ以上戦争を続けるな」と言ってくれる立場の人です。最も下院議長になりましたから全面的にストップするというわけにはいかず、バイデン政権とも話し合いに応じると言っています。
下院議長というのはアメリカの中で3番目に強い権限を持つポジションです。順番としては大統領、副大統領、下院議長であり。副大統領はお飾りのことも多いので、実際上は大統領に次ぐくらいのポジションと言っても良いでしょう。
そして、大統領が死んだときは副大統領が昇格し、大統領と副大統領がときを同じくして亡くなるということになったら下院議長が昇格して大統領になるという非常に大事なポジションです。議会でどういう法律を優先させて通すとか、各委員会の人事なども全て決めるといった非常にパワフルなポジションであります。
ここにトランプ派の人が就任するというのは大変心強いことです。このマイク・ジョンソンはダークホース的な存在でしたが、2016年にトランプが当選した年に初当選しています。そして今が4期目で“非常に地味な仕事人”という感じですが、トランプ派の信念は固いということです。先ほども言ったように「2020年の大統領選挙は明らかに不正があった」という立場の人になります。ウクライナの戦争予算を使った支援には反対していました。
今まで下院議長の名前が出たのは、マッカーシーがクビになった後はスカリスという人も出ましたが駄目になって、ジョーダンはトランプに近い人でしたけど、もう少しというところまで行ったのですけど駄目でした。そこでエマーという人が候補者の名前として出たのですけど、トランプがすぐに拒否権を出して駄目になりました。その人はジョージ・ソロスの子分みたいな人です。
そこで今回は、ダークホースのマイク・ジョンソンが就任しました。トランプ派のMAGA運動をしている人たちにとっては、久しぶりの大勝利と言えると思います。ただし、急に偉くなったので、長いキャリアがある人がなるのが下院議長なのですが、舞い上がって敵陣営に買収されたり、不要な妥協したりしなければいいなというところで少し不安なところはあるのです。しかし、これは素直にいいニュースと言って受け止めたいと思います。
戦争の最前線のガザ地区で起きているハマス×イスラエルの戦争ですが、実はイスラエルがガザ地域に侵入してハマスの兵器庫を全て叩いて早期に引き上げるという戦争計画があるのです。しかし、これをやらせないでストップしているのがバイデン政権であります。
表向きの理由は人質云々と言っていますが、イスラエルからすれば早くガザに入ってハマスの兵器庫を全て叩いて、彼らの継戦能力を落としたいということですけど、それをやらせないということです。バイデン政権としては、逆に戦争が長引く危険な選択をしていると言えます。
そこで、さらにこの戦争のエスカレーションが心配になるということです。表向きは戦争を大きくしないと言っていますけど、実は戦争のエスカレーションを狙っているのがバイデン政権であると思います。バイデン政権の国務長官はブリンケン、それから“スネーク”の異名を持つスネーク・サリバン大統領補佐官、そして国務副長官代理がビクトリア・ヌーランドという非常に危険なおばちゃんがいます。特にサリバンとヌーランドは左翼の戦争屋で、戦争にエスカレートさせたくてたまらない人たちです。
ブリンケンも穏健のように見えますが、根は一緒だと思います。このブリンケン、サリバン、ヌーランドというのは、ヒラリー・クリントン国務長官のときの下で働いていた人たちです。いわゆるチーム・ヒラリー・クリントンでした。ヒラリー・クリントンも戦争屋だったのです。
非常に危険な人たちが今、政権の中枢にいるので、戦争拡大しないようにストップしているのが下院の共和党であり、そこから新しい議長が生まれました。その辺りの経緯も全部わかっている人が下院議長になったということは非常に心強いと思います。また、2024年のトランプの大統領選挙に於ける勝利に向けて、これは貴重な第一歩になるでしょう。
良いニュースがアメリカから来て、マイク・ジョンソンというトランプ派の人がアメリカでも非常にパワフルなポジションである、下院議長の座についたというお話を今日はいたしました。
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「テロ組織・ハマスの正義」を応援する日本メディア :231103情報
10月7日、イスラムテロ組織ハマスのイスラエル攻撃で始まったイスラエル対テロ組織・ハマスとの戦い。
イスラエル軍は陸と空、それに海からハマスの拠点への攻撃を強化する一方、ハマス側も徹底抗戦する構えを示し、死者は双方あわせて1万人を超えました。悲惨な戦いが続いていますが、なぜか、日本のメディアはその背後にいる日本の中東研究者は、テロ組織ハマス寄り。世論を「どっちもどっち」から「難民を虐殺するイスラエルが悪い」とばかりに誘導しています。
しかし、10月7日にテロ組織・ハマスが、イスラエル領内に数千発のロケット弾を撃ち込み、ガザ地区近隣のイスラエル南部各地に戦闘員を侵入させて民間人多数をレイプ・殺傷・拉致しなけれればそもそもこんな事態に至らなかったはず。
しかも、日本の報道では、ガザ地区の人びとが困窮して貧困にあえいでいるとのイメージが振りまかれていますが、実際の映像を見ると、ガザ地区の難民キャンプは、一般の難民キャンプとは全く違う「豊かな」実態に驚かされ、逆に、テロ組織・ハマスがガザの人びとを意図的に破滅に巻き込んでイスラエルへの憎悪をたぎらせているようにしか見えません。
その実相は日本のメディアは絶対に発信しませんので=自分の見たい、期待通りの映像しか発信しませんので、ここではX(旧ツイッター)から、事実に基づく映像を発信している人たちの投稿を引用して、日本のメディア報道のゆがみを正していきたいと思います。
まずは、当ブログでおなじみのイスラム研究者の飯山陽(あかり)さんのX(旧ツイッター)を基調に。
飯山陽 :ハマス「我々の目的はイスラエル殲滅。イスラエル殲滅まで何度でも10月7日の攻撃を繰り返す。我々の行為は全て正当化される」
東大特任准教授・鈴木啓之氏「ハマスは福祉団体。ガザの人々にサービス提供」
防衛大准教授・江崎智絵氏「ハマスの目的はガザの人々によりよい生活を提供すること」
テロ組織・ハマスの主張
MEMRI:Hamas Official Ghazi Hamad: We Will Repeat the October 7 Attack Time and Again Until Israel Is Annihilated; We Are Victims - Everything We Do Is Justified
【Googleによる英語からの翻訳】ハマス当局者ガジ・ハマド氏:イスラエルが殲滅するまで、我々は10月7日の攻撃を何度も繰り返す。私たちは被害者です - 私たちの行動はすべて正当化されます【動画】
これに対する反論の一つ
This Ongoing War:Whether the Gazans are behind Hamas or not, Israel's determination to end the terror-doing capacity of the Hamas thugs who rule there is lawful and right. No nation that experienced endless Hamas efforts to murder its civilians - as Israel has - would hesitate to do the same.
【Googleによる英語からの翻訳】ガザ人がハマスを支援しているかどうかに関係なく、ガザを支配するハマスの凶悪犯のテロ行為能力を終わらせようとするイスラエルの決意は合法であり、正しいものだ。イスラエルのように、民間人を殺害しようとするハマスの果てしない努力を経験した国は、同じことを躊躇しないだろう。【画像】
テロ組織・ハマスに連帯する日本共産党(テロ組織の親和性がよく出ている)
志位和夫:難民キャンプを空爆し、罪のない民間人多数を殺害するというのは、まごうことなき国際法違反の戦争犯罪だ。強く非難する。イスラエルは無法行為を中止せよ。人道的休戦を呼び掛けた国連総会決議を順守せよ。本政府はイスラエルの無法を批判し、休戦のために行動せよ。
テロ組織・ハマスの残薬行為を日本のメディアはなぜか語りません。
Imshin:A Hamas terrorists describes to his interrogator how he shot small children he heard crying in Kibbutz Kfar Aza until there were no more sounds because they were dead.
【Googleによる英語からの翻訳】ハマスのテロリストは、キブツ・クファル・アザで泣き声を聞いた幼い子供たちを、彼らが死んで音が聞こえなくなるまで射殺した様子を取調官に説明した。【動画】
ところで、日本のメディアや中東研究者が貧困の代名詞にあげているガザ地区とはどういうところなのでしょうか。百聞は一見に如かず。
Imshin:The big Abu Arar wedding in Gaza, just days before Hamas invaded Israel, committing horrific atrocities and bringing destruction on Gaza.
【Googleによる英語からの翻訳】ハマスがイスラエルに侵攻し、恐ろしい残虐行為を行ってガザに破壊をもたらす数日前に、ガザで行われたアブ・アラルの大規模な結婚式。【動画】
Imshin:How uninvolved are uninvolved Palestinians in Gaza? This is a street in Gaza on 7 October 2023.
【Googleによる英語からの翻訳】ガザに関与していないパレスチナ人はどれほど無関心なのでしょうか? これは2023年10月7日のガザの通りです。【動画】
Imshin:Palestinian "refugee camps" in Palestine are not really refugee camps. They are a political statement. The political statement is: "One day we will conquer the whole of Israel and kill all the Jews".
【Googleによる英語からの翻訳】パレスチナにあるパレスチナ人の「難民キャンプ」は、実際には難民キャンプではない。それらは政治的声明です。その政治的声明は、「いつか我々はイスラエル全土を征服し、すべてのユダヤ人を殺すだろう」というものだ。
関連映像(パレスチナにあるパレスチナ人の「難民キャンプ」は、実際には難民キャンプではない。)
Imshin(2022年12月31日):The men's area of the new branch of Mohanad Restaurant, Jabalia "refugee camp", #Gaza City. They usually call the women's area - "the family area". #TheGazaYouDontSee #Palestine #eatingoutinGaza
【Googleによる英語からの翻訳】#Gaza市、ジャバリア「難民キャンプ」のモハナド レストランの新店舗の男性エリア。彼らは通常、女性エリアを「ファミリーエリア」と呼んでいます。【動画】
Imshin(2022年11月7日):The new branch of Mohanad Restaurant, Jabalia "refugee camp",
【Googleによる英語からの翻訳】Mohanad レストランはガザ市のジャバリア難民キャンプにあります。【動画】
日本メディアのガザ地区の難民は、通常の難民のイメージと実際は大きな違いがありますね。彼らにとって、今起きていることは、イスラエルの攻撃による被害よりも、テロ組織・ハマスの暴走によって甚大な被害を被っていると見る見方もできるのではないでしょうか。
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