◯しずしずと降る雨、ゆく秋の気配、淋しさが漂う。。。昔の詩人の断片を口ずさんでいると、母の顔が曇り空に浮かんでいる。何十冊もあった日記帖の一冊だけ開いてみる。万年筆で箇条書きの大学ノート。
枕辺にノートを開いたまま
寝てしまっている、母の姿を何度もみたことがある。
◯秋の日の ヴィオロンのためいきの みにしみてひたぶるに うらがなし…
母もよく、ヴベルレーヌの詩の断片を口ずさんでいた。貧しかったけれど、子どもの中に座って本をよく読んでくれた日があった。とは言いながら、私は父びいきだった。大人しかった人。女性にはよく持てていたと思う。
◯ふと今日は、遠い昔が甦った日でした。