komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

「フランス窓便り」田淵由美子

2016年06月13日 | イラストなどなど

                     


「フランス窓便り」田淵由美子(りぼん 1976年6~8月号)

 すみません、写真がちょい小さすぎ。
 右のイラストは「りぼんオリジナル」という雑誌の表紙でした。イラスト部分だけ切り取ったものを、あと何枚か持っているので、次回大きく出しますね。

 で、田淵由美子さんです! 言わずと知れた「りぼん」の看板作家さん。なつかしい~!
 とにかく絵柄が好きでした。かわいくて、あたたかみがあって、ハイセンス。
 ちょっとアンティークな感じのファッションも、おしゃれですてきだった。
 定規を使わずにペン入れするフリーハンドの手法で背景を描いてますが、それが効果的で、手作り感いっぱいでしたね。
 

 お話のほうは、ほとんどが「自分に自信のない女の子」と「超イケメン男子」のラブストーリー。
 性格のゆがんだ人間は皆無、まちがいなくみんな善人、まちがいなくハッピーエンド。
 でもそこがよかった、というか、それがよかった。
 安心して好きな絵柄にひたっていられました。
「このストーリーが好き!」というより、「田淵由美子ワールドが好き!」っていうのかな。
 でもこれって、案外大変なことですよ。よほど画面に力がないとできないことですから。


             


「フランス窓便り」は、ひとつの家でくらしている3人の少女たちの連作短編でした。
 安心の由美子ワールドでしたが、同時収録の「ローズ・ラベンダー・ポプリ」がさらに好きだったので、記念に写真を。
 タイトルからして、あこがれでしたねー。ラベンダーとかポプリとかいう単語を知らない、女学生時代に読んだものだから(笑)。


 あと、特筆すべきだと思うのは、キャラたちの年齢と舞台ですね。
 ほとんどが大学生(たぶん早大生)で、大学のキャンパスとかもしょっちゅう出てくる。これが大変よかった。
 高校じゃだめなんですよ。大学というのがポイント。
 自分たち(女学生)が住んでいる場所とは少し離れた、少しおとなの世界。
 かわいい絵柄にもかかわらず、そういうムードが、とくに男性キャラのほうにはっきり出ていてとても魅力的でした。


 あたりまえですが、幼い絵柄のまま設定だけを大学生にしたって、魅力的でもなんでもありません。
 おとなのムードを演出するに足る力が、作家にあったということです。
 田淵さん自身は、「りぼん」時代のあとのほうでは、ハッピーエンドじゃない切ないストーリーに移行しようとした気配があります。
 本当の意味でおとなっぽい、別のタイプの話も描きたくなったのかな、と思いながら読んでいましたが・・・。
 出版社のニーズもあるし、それこそオトナの事情も大きい世界なんでしょうね。

 

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「夜のお茶会」坂田靖子

2016年06月12日 | イラストなどなど

             

「夜のお茶会」坂田靖子(1977年 LaLa7月号)

 とびっきりの短編ばっかり、9本。
 愛すべき小品って言葉は、こういう作品たちのためにあるんだと思う。

 外国が舞台のものが多いですが、なかには日本の時代物もはいってたりして、バラエティゆたかです。
 内容も、子どもたちが生き生きと動くハッピーな話から、実の母親に恋をする美少年の切ない話まで、これまたいろいろ。

 シンプルな仕上がりなのに、実は深遠。
 コミカルでおとぼけ風味なのに、実はすごく知的。
 魅力のあるマンガ家さんって、そういう相反する要素を自然にあわせもっていますよね。
 片方だけをうまく描ける人ならいっぱいいる。でもプロの作品だなあと思うのは、別々に見える要素がひとつの作品の中でとけあっていることを感じたときです。

 

             


 このお話は、とくに気に入っていたので記念にのせちゃいました。
 雑誌未発表のものらしいんだけど、なんで未発表? まさかこんな良い話がボツにされたわけじゃないよね・・・あ、同人誌にでも出したのかな。


 坂田靖子さんの作品では「バジル氏の優雅な生活」というのが、かなり長期間続いて有名だと思いますが、あいにく私は読んでいなくて。
 ていうか、この単行本以外の作品をほとんど読んでいないことに、たったいま気づいた。
 あれ~?? 変だわ、名前はいつも意識していたはずなのに・・・。ウィキによると、かなり大量の作品があるみたいなのに、なんで追っかけてなかったのかなあ。
 と思いながら、アマゾンを探してみたら、おいしそうな本がこりゃまたいっぱい。あらら、知らなかった。


 そういうわけで、あまり語れなくて残念です。
 ただ、上にあげた単行本は、坂田さんデビュー後2冊目という初期の初期で、それをいまでも保管している自分がちょっとうれしかったので、ここに取り上げさせていただきました。

 

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「林檎物語」立原あゆみ

2016年06月10日 | イラストなどなど

              


「林檎物語」立原あゆみ(週刊ヤングレディ 1978年)

 これはさすがに小学生ではなかった・・・内容的にもね。中学生のときに買った単行本だと思います。
「すーぱーアスパラガス」といっしょに並べてみましたが、カラーのセンスの良さがきわだっていて、ほれぼれ。
 繊細な水彩画。ブルーグレーとセピアの濃淡だけで、こんなに描けるなんて・・・。

 モノクロもハイセンスです。
 こういう作品、残念ながらもはや書店で見る機会もないでしょうから、3枚続けて出しちゃいますね。



        

  
      

 

 上の2枚は、両方とも短編の表紙。長いタイトルが、またおしゃれ。
 下のは、表題作の中のひとこまで、海岸で教師(おじさん)が昔の教え子(カラー表紙の少女)を追いかけている場面ですが・・・。

 いきなり見開きの大胆な構図、リアルな廃船、スクリーントーンをひっかいた空。
 これだけ画力のあるマンガ家さんが、いまの少女マンガ界にいるでしょうか。
 青年誌にならいるかもしれないけど・・・。
 

 ストーリーのほうは、どれも「詩情」「抒情」「余情」などの形容がぴったりの小品です。
 それでいながら、実はけっこう濃厚に、性についてを取り扱っていまして。
 林檎の少女は、風俗店で働いている設定でした。いわゆる「トルコ嬢」。
 えーとですね、風俗のことを「トルコ」という名称で呼んでいた時代があったんですよ・・・とんでもない名称ですよねー。いま考えると、ほんとひどいわ。


「すーぱーアスパラガス」のほうは、林檎より数年あとの短編連作。少年がなぞのアスパラを食べたら、女性に性転換しちゃって、オンナノコのカラダやココロにとまどう、なんつー・・・。
 これは連載しているうちにエンタメ要素が強くなりすぎて、私の趣味からはずれてしまい、ラストを読んでないんですが。
 立原さんは、かわいらしい絵柄できわどいネタを描いている不思議なマンガ家さんでしたが、あるとき突然(でもないのかもしれないけど)男性向け雑誌に場所を変えました。
 そして「本気(マジ)!」などというヤクザものをヒットさせ、その後はその路線をばく進。
 ど、どーしたの?? 少女マンガの反動か?

 あ、立原あゆみさんは男性です。女性じゃないですからねー、念のため・・・。

 

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「帰らざる氷河」美内すずえ

2016年05月30日 | イラストなどなど

              


「帰らざる氷河」美内すずえ(1975年別冊マーガレット1月号)

 小学生のときに読んだ記念すべき名作、第3弾。
 当時の別マは、河あきらさん、和田慎二さん、美内すずえさんの3枚看板だったような覚えがあります。
 あと市川ジュンさんとか、巻頭とったりしてましたね。
 いまの別マからは考えられないスケール感たっぷりのラインナップでした。


 上の作品も、本当にスケールが大きくてドラマチック。
 国王の落とし胤であるヒロインが、暗殺の手をのがれて何とか生きのびる。彼女には、母親ゆずりの歌の才能があった。
 やがて天才歌手として成功した彼女が向かった先は、母を殺した憎むべき故郷。そしてその大劇場で、国王と再会し・・・。

 天才の描きっぷりのすばらしさは、美内マンガの独壇場といっていいですね。
 少ないコマ数なのにすごく説得力があり、この表現の力が、のちに「ガラスの仮面」を描き出すことになるわけです。
 ちなみに、ヒロインの才能を見出す敏腕プロデューサーが登場しますが、これが若きイケメンで(笑)。
 思い出すのは、もちろんマヤちゃんと速水社長。こんなところに片鱗があったとは・・・。


 さて、「わたり鳥~」でテレビドラマ化を、「超少女~」で実写映画化を希望した私。
 この作品では何が希望かといいますと、当然! 舞台化です! 
 以前から、劇団四季あたりがミュージカルにしてくれないかと期待してましたが、今回読み直して、ますますその気持ちを強くしました。
 

 四季じゃなくて宝塚でも、案外いけるかもしれませんね。いや、いけそう、いけるって絶対。
 主人公は女性だけど「エリザベート」ができたんだから大丈夫なんでは?
 イケメンプロデューサーの側にもう少しドラマを作ってですね。たとえば彼自身にも、ヒロインの出自に共感できるような過去があるとか、歌に共鳴できるような生い立ちがあるとか。
 歌の世界に身をおいた理由を語るとか、彼女を妨害しようとした故郷の追手たちを華麗に撃退するとか、無事に大劇場でコンサートが開けるよう個人的な犠牲を払うとか。いったい私は何を妄想しているのか。


 美内すずえさんの読み切りでは「王女アレキサンドラ」というのも、単行本をもってはいないけど印象に残っています。
 目の見えない王女が人々の心をつかんでいく、とっても良い話でした。
 あ、「白い影法師」ってのも印象に残り、印象を消すのに何年もかかりましたよ(涙)。ああいうのめちゃめちゃ苦手なのに、あまりに流行っていたから読んでしまい・・・。
 ホラーマンガの名作、あれを現役女子高生時代に、教室で読んだ恐ろしさ(涙々)。


 私の少女マンガ歴の巻頭を飾る3作品を、続けてご紹介しました。
 カラー表紙の写真じゃないのは、あまりに古くて単行本の劣化がはげしいためと、モノクロのほうが断然好みであるため。
 次回もかなり古いマンガの予定です。巨匠たちとちがってマイナーだから、知ってる人はほとんどいないかもしれないですね。



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「超少女明日香」和田慎二

2016年05月22日 | イラストなどなど

                 

 
 超少女明日香(和田慎二 1975年別冊マーガレット4、5月号)


 小学生のときに読んだ記念すべき名作、第2弾。あまりの面白さに、もう、夢中になりました。
 こんなお話を自分も生み出せないかと思い、真似してマンガ描こうとした記憶が・・・。
 資質のちがいで、残念ながら挫折しましたけどね(資質は清原なつのさん系だったため・笑)。


 ふだんは、単なるちんちくりんの女の子、明日香ちゃん。でもその正体はスーパーお手伝いさん。
 しかもさらなる正体は、人智をはるかに超えた能力の数々を発揮して巨悪に立ち向かう、スーパー美少女。
 どれだけ超えてるかというと、高圧電流OK、3階から飛び降りてもOK、鉄柵もへし折る、きわめつけは分身の術で5人にふえる。
 こんなに破天荒な設定なのに、ちっともそれを感じさせず、自然にヒロインに共感し応援したくなってしまうなんて。
 作者である和田慎二さんの力量です。すばらしい。


 明日香ちゃんの能力は、いわゆる超能力ではなく、「自然が力を貸してくれる」のだと作中に説明があります。
 自然をねじ曲げるのではなく、自然が味方になってくれるんだと。
 それで強く思うんですが、このお話、いまこそ映画化するべきじゃないでしょうか!? 
 地震とか異常気象とか、それこそ人智を超えた自然の脅威をまのあたりにしながら、自然破壊をやめない現代社会。
 いまだからこそ、明日香ちゃんみたいなヒロインに出てきてほしい。
 アニメではなく、実写で。昔は無理だったかもしれないけど、いまのCG技術ならできる!


 私の記憶では、このあと柴田昌弘さんの「狼少女ラン」が出て、サイキックアクションというものを少女マンガ界に認知させた気がするんですが、さきがけは明日香ちゃんです。
 

                  


 こちらは「銀色の髪の亜里沙」。明日香より前の作品ですが、ちゃんと美少女、そしてセーラー服!
 和田慎二さんは、のちに「花とゆめ」にうつり、かの有名な「スケバン刑事」の連載をはじめます。
 あれももちろんセーラー服だったなあ。
 しかし、連載初回からリアルタイムで読んだ私っていったい・・・まあ深く考えないことにしよう・・・。

 

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「わたり鳥は北へ」河あきら

2016年05月14日 | イラストなどなど

                                                   

 「わたり鳥は北へ」河あきら(別冊マーガレット1974年11月号)


 人生ではじめて感動したマンガが何だったのか、覚えてる。そのときの衝撃が、いまも記憶に残ってる。
 まちがいなく、これ。私はたぶん小学校の高学年でした。


 つまんない毎日を送っていたつまんない女子高生のあさみちゃんが、ヤクザの世界に足をつっこみかけたお調子もんの次郎くんと、ふとしたことから逃避行。
 意気投合して、でも真っ当な道に戻ろうとして、次郎くんの故郷をめざすんだけど・・・。
 もう・・・切ない。
 前回の記事に書いたように、いまになって読み返すと・・・なんてかわいそうな話なの!? 
 こんなに良い子たちが、なんで幸せになれないの!? ほとんど義憤すら覚えますよ、もう!
 この子たちの親だってどんなに悲しむことか。もうもう!
 いえ、実はちゃんと読み返したわけじゃなく、パラパラめくっただけなんですけどね。それでも、次郎くんの最後の台詞が私の切なさのツボを直撃し、悶絶ものでした(涙)。
 でも、その台詞があるから名作なんですよね・・・作者の河あきらさん、すごいです。
 

 今回、河さんのウィキを調べて知りましたが、これを含めた5作品はBAD・AGEシリーズって呼ばれているそうです。
  「赤き血のしるし」
  「ゆがんだ太陽」
  「太陽への道」
  「さびたナイフ」
「赤き~」だけ未読ですが、それ以外はほぼリアルタイムで読みました。
 私の記憶では「わすれな草」というのもこの系列だと思うんだけど、ちがうのかな。
 どれも無軌道な若者、無理解な大人、葛藤、反抗、犯罪・・・とまあ、いまの少女マンガじゃまずお目にかかれない、濃厚かつ反社会的な要素が満載。
 そして全体的にシリアスで大人のムード。別世界をのぞき見るような、危なくかっこいい感じ。


 そんな中で「わたり鳥」は、主役カップルが身近で、とても感情移入しやすかった。
 次郎くんのキャラが軽くてコメディタッチな描写もあり、彼といっしょにいることを選ぶアザミ(と彼に呼ばれていた)に、とても共感できました。
 ずいぶん昔の作品ではありますが、たぶん、いまの若者たちにだって共感できる部分があるんじゃないかな。
 だからこの話、時代設定を変えればテレビの2時間ドラマにすごく向いていると思うんですよね。
 上手な役者じゃなくていいから、売り出し中の初々しいアイドルたちでやるの。そのほうが、かえって痛々しい感じが出る気がする。夏のスペシャルドラマ、みたいな企画でどう?
 どこかのテレビ局で考えてくれないかなあ。


            


 こちらは同時収録されていたコメディで、いま読んでも好きな話です。
 河あきらさんのコメディで有名なのは「いらかの波」だと思いますが、シリアスとコメディ、両方を描き分けられるのがまた魅力的でした。
 これらの作品、再販されていない気がしますが、もったいないですよね。
 たしかに「典型的な昭和」な部分が多い作品ではありますが、ほら、映画界では石原裕次郎やら小林旭やらの作品っていまも見られるでしょ?
 マンガの世界だって、それと同じようにしてもらいたいものです。

 

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心にのこるマンガたち 雑談その1

2016年05月05日 | イラストなどなど

 今回は雑談です。テーマは「切なくて読み返せない」。    

 

            こちらは、おまけ。
                              お花は手描きじゃなくて布ですよ~。

 
 こういうカテゴリーをやっているからには、とりあげた作品をきちんと再読してからのぞむのがスジだとは思うのですが・・・。
 実はあんまり、していないんですよね。してないというか、できないというか。


 理由、ひとつめ。読み始めたら没頭するから、1年くらい軽くふっとぶ(比喩ではない)。
 ふたつめ。いまとなっては、切なくて読めない内容のものが多々ある。

 なんかねー。ここ数年、切なかったり虚しかったり死んじゃったり別れちゃったり、っていうエピソードのものが、すごく苦手になってきてまして。
 若い頃はなんでもなく読めてたものが、胸に刺さるといいましょうか。
 リアルでいろんなものを(体験でなくニュースとかでも)見てしまうと、たとえ二次元であれ、見過ごせなくなってしまったらしく・・・。
 しかもリアル少年たちが、ベタベタくっついている現状ではね。
 40後半あたりから、小説でもドラマでも後味が悪いものは徹底的に避ける姿勢になってきています。
 たぶん、その年代年代に必要な物語というのがあるんですね。


 で、少女マンガですが。思春期に必要だった物語って、かわいそうな題材が案外多いんですよ。大島さんにしろ萩尾さんにしろ。
 まあ少女に限らず、少年マンガも考えてみるとひどいですけどね。「愛と誠」とか大流行りしてたけど、ひどいわ~、何あの悲劇的な話。


 そういえば最近、萩尾望都さんの「バルバラ異界」を借りたんだけど、出てくる少年(キリヤくん)に感情移入してしまい、かわいそうすぎて読むのが苦痛なくらいでした。
 おかげさまで、壮大な謎解きの醍醐味も全然理解できない始末。
 短編で「春の小川」というのも読んだけど、あれも少年が気の毒で気の毒で・・・。


 って、どうも「子ども」「少年」に異常に肩入れしてしまう傾向が。ははは・・・昔はまったく平気だったのに。
 自分の子どもが大きくなったら、また平気になるのかも。
 かの有名な「はみだしっ子」シリーズ、2冊ほどまだ持っていますが、いまはまず読めないにちがいない。子ども相手につらすぎますよ、あんなの(涙)。
 あ、ちなみにサーニンが好きでした、美少年たちではなく(笑)。もちろん名作であるという評価に異存はありません。
 
 
 でね。それじゃあ、そこまで深刻ではない清原さんみたいな作品が読めるかというと、これまた別の問題がありまして。
 なんていうのかな・・・読んだ当時のういういしい自分、やわらかくてこわれやすい感情、みたいなものを思い出してしまって。
 これはこれで、なーんか、すごく切ない気分になっちゃうんですよね・・・。
 おばちゃんの心は若者たちより、ずっとセンチメンタルなのでありました。


 昔、大好きだったマンガたちが単純に楽しめなくなってきているのかと思うと、ちょっとフクザツな気分かも。
 ただ、昔のマンガってドラマチックさを強調してたから、いまどきのマンガに比べてびっくりするほど悲劇だったりしますよね。
 フランス映画ですか~?みたいな。
 それと、当然のことながら力量のない作品は、どんなに悲劇だろうと別に切なくありません。
 いまのマンガにも言えることだけど、「感情が動く」というのは作家さんの力量の証明でもありますね。


 雑文が長文になってしまいました。
 そういうわけで次回は、ページをパラパラめくっただけなのに切なくて悶絶した、大昔の作品をご紹介します。
 さて、なんでしょうか。古すぎて知らないかたも多いかな~(笑)。

 

             

        左が原画。プリントごっこって色が思うようにいかないから、モノクロの
        ほうが気にいってましたが、布の上においたらカラーも案外いけた。
        右側は住所がはいってたので、ちょん切ってます。
        ハッピーミレニアムって読めるので、2000年の年賀状だったらしいですね。


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「花岡ちゃんの夏休み」清原なつの

2016年05月03日 | イラストなどなど

 大島弓子さんに引き続き、いきますよー。     

 

     

 

 「花岡ちゃんの夏休み」。単行本の表紙は地味ですが。
 でもこれが、清原なつのさんを世に(というか「りぼん」の読者に)知らしめた出世作ではないかと、勝手に思っています。
 

 主役の花岡ちゃんは、おかっぱにメガネの女子大生。
 女の子らしさのかけらもなく、興味もなく、もちろん恋愛のれの字もなく、頭にあるのは常に哲学的な命題だけ。
 当時のりぼんにあるまじき(?)型破りなキャラにもかかわらず、絵柄がとっても親しみやすくて、みごとに読者のハートをつかみました。
 って、私のハートですけどね(笑)。

 「りぼん」を愛読しているわりに、恋愛には実はまったく興味がなかったヘンな女子中学生の私。
 花岡ちゃんにはシンパシーを覚えたなあ。
 相手役の天才大学生が、また妙なキャラでね~。ラブコメだから当然恋愛するわけだけど、それだけではない何かを感じました。


  実際、それだけでなかったのは、その後の作品を見れば一目瞭然。
 SFあり時代物ありですが、いちばん多いのはやっぱり、思春期の少女の微妙な心理をすくいとった短編群。
 「群青の日々」を読んだとき、この作家さんはひとつの到達点に達したんじゃないかと、これまた勝手に感動しました。


 なつのさん、最近「千利休」のマンガを描いて、新聞の広告欄でしょっちゅう目にとまります。
 題材が題材だけに切ない話にちがいないから、残念ながら読む予定はないんですけど、いまも描き続けてるのはうれしいですね!

 

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「飛鳥昔語り」清原なつの

2016年05月01日 | イラストなどなど

             

 

「飛鳥昔語り」清原なつの(1978.5)

 好きなマンガ家は誰ですか?と聞かれたときに、迷わず答えていたのが、清原なつのさん。
「りぼん」の常連さんでしたが、大ファンでした。


 萩尾望都さんとか大島弓子さんのことは、手の届かない巨匠って感じでとらえていましたが、なつのさんはも少し身近な雰囲気で。
 デビュー当時から知ってるし、作品も読み切り短編ばかりで、読み切り好きの私にはぴったり。
 短編なので、舞台とかキャラとかがその都度変わり、楽しみも倍増でした。


「飛鳥昔語り」は歴史上に実在した有馬皇子を主人公にしたお話で、飛鳥時代の髪形や衣装をこれではじめて知りました。
 目新しくてかわいくて、当時、真似して描いてたなあ。
 実際は悲劇的な皇子さまですが、こちらはSF風味でハッピーエンド。そういう趣向も「りぼん」らしくてよかったです。

 
 もう一冊、「真珠とり」のほうは、はっきりとSFです。主役がちがう3連作。
 けっこう甘くない世界で切ないラストなんだけど、なつのさん流のおとぼけタッチというか、あっさりさっぱりな描き方で、深刻でなく読ませちゃう。
 難しい説明もないから、アタマのついていかない読者でも大丈夫(笑)。
 でも実はすごく深いことを言っているので、時間がたっても妙に記憶に残るんですよね。
 SF界でも認知されている証拠に、早川書房から文庫本が出ています。
「りぼん」や「ぶ~け」に描いてたマンガ家さんだと思うと、すごーい! 読む人はちゃんと読んでくれてたんだわー、なんてうれしくなってしまったりして。

 なつのさんの単行本はたくさん持っているので、次回にどーんと出しますね。

 

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「11人いる!」萩尾望都

2016年04月28日 | イラストなどなど

                            


「11人いる!」萩尾望都(1975.7)

 それはまだ、わたくしがいたいけな中学生だったころ(たぶん中1)。
 近所の友人の家でふと手にとった、文庫本サイズの少女マンガ(たぶん友人の姉の所有物)。
 夢中で読み終え、こんなにも面白いマンガのジャンルが世の中にあったなんてとおどろいた。
 人生初のカルチャーショック、「SF」という概念との、それが出会いでありました。


 しかし、大胆なタイトルですよね・・・。
 内容も大胆で、話のほぼすべてが一隻の宇宙船の中だけで展開しています。
 11人目は誰なのか、という密室のミステリーにもなっていて、よくぞこんなストーリーを思いつくものだと・・・。
 密室の中で右往左往する、キャラクターたちの魅力。描き分けの鮮やかさも、文句なし。
 きれいなドレスや小物で飾らなくても、華やかなヒロインは十分描き出せるのだということを、フロルが証明してくれました。


 あ、写真はもちろん、あとから買い直した単行本です。
 最初に読んだのは、大島弓子さんのとこでも出した小さいサイズの本だった気がするけど、当然絵が大きいほうがすてきなので。
 これに同時収録されてる「精霊狩り」という連作も、すごく好き。
 萩尾望都さんは、初期から近年の作品にいたるまで、これぞSF、という大作をいっぱい手がけてますね。
 でもSFとは関係ない、人間ドラマだけのストーリーも大量に産み出していて、これほど広いジャンルで一流の表現ができる作家さんは唯一無二だとあらためて感じます。


 ところでSFって、最近の少女マンガにも存在してるのかな? 
 ファンタジーなら花盛りだけどSFは見当たらないような。 最近のものにはくわしくないので、気がつかないだけかもしれないけど・・・。
 昔は本格的なのが、いろいろありましたよね。
 佐藤史生さんの「ワン・ゼロ」とか、いまだに持ってるし。持ってないけど竹宮恵子さんとかもしっかりSFしていたし。

 ちなみにマンガではありませんが、かつてはハヤカワSF文庫にも手を出していた女子高生の私でした。
 いま考えると、「11人いる!」を読んだからこそ、そういう方面に流れたのかもしれません。
 しかし頭がついていかず、サイバーものなんぞも流行り始めて、あえなく挫折。
 もはや、なんであんなこ難しいジャンルが読めてたのかと、あきれるくらいでございます。
 十代のころは、いまよりずいぶん頭がよかったにちがいない。あれから○十年(げ)、よかったアタマもすっかりアホに・・・(笑)。

 

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