「那由他」佐々木淳子(週刊少女コミック 1982年6月~1983年1月)
連載第1回目を読んだときのドキドキと、わくわく。
ハンパないときめき感が、忘れられません。こんなのが読みたかった!って、心から思いました。
ごくふつうの平凡な少女だった那由他。偶然出会った少年を家にかくまうが、彼が頭にはめている輪には不思議な力があった。
那由他自身がその輪をはめたことにより、平凡な日常はこわされ、謎の宇宙人との闘いに、いやおうもなく巻き込まれ・・・。
テレパシー、テレポートなどなど超能力満載。宇宙人、宇宙船、謎だらけの敵がうじゃうじゃ。
頭にはめる輪っかのアイテムの魅力。超能力戦に加え、銃撃戦のアクションもあり。
当時、流行していた要素を全部つめこんで、なおかつすごいのは、これが純粋なSFだってことです。
キャラが描きたいための話ではなく、SFが描きたかったんだとわかる。
ラストは宇宙規模まで話が進んでしまいます。
これで単行本3冊ですからね・・・いまならぜったい、倍くらいいきそうですよね。
こちら左側は「那由他」のキャラたち。右は別の連作長編で「ブレーメン5」。
ブレーメンのほうは、残念ながらラストまで追ってなくて・・・どうなったか、気になるんですが。
佐々木淳子さん、短編もいろいろ描いていますが、どれも本当にSFで、彼女にしか描けない話ばかりでした。
しつこいようですが「ファンタジー」ではありません。いまはファンタジー全盛だけど、
「キャラ(の絵)が描きたいため(だけ)のファンタジー」
「かつて外国を舞台にしていた少女マンガが、異世界にお引っ越ししたファンタジー」
「SF考証、時代考証、取材なしでも、魔法があればすべてOKファンタジー」
が、あまりに多い気がするのは、私だけでしょうか。
なーんて言いつつ・・・。
最初に、佐々木さんの作品を読み始めた理由が何かといいますと・・・。
ずばり、男性キャラが好みだったから!(笑)
もともと、荒けずりなタッチの絵が好きなんですよ。
今回、久々に画面を見たら、当時はなんとも思ってなかった少年時代のキロにまで、ときめいたわ。
リョータローくんのファンだったけど、河あきらさんの「わたり鳥は北へ」に出てくる次郎くんに感じが似ていると気づき、人のシュミっていくつになっても変わることがないのだと、あらためて知りおそろしかったわ。あわわ。
ところで「那由他」というのはヒロインの名前ですが、ずいぶんインパクト大ですよね。
これの意味を、子育て中にはじめて知った私。
大きい数の単位だったんですね!
かのEテレ「にほんごであそぼ」、あれでしょっちゅう歌われている
♪ なゆた ふかしぎ むりょうたいすう~ ♪
聞くたびにこのマンガを思い出してしまいます。
どうしてこんなネーミングを思いついたのか、佐々木淳子さんにうかがいたいくらいです。
つづきます